日本のDX投資を「成果」にする設計者へ。人材マッチング紹介の枠を超え、DX/AI組織のアーキテクチャを変える挑戦
本記事では、当社が利用している採用支援サービス「ツクチム」を運営する株式会社C(以下、C社)にインタビューいただきました。
株式会社クラウド人材バンクは2021年に設立し、「人材の流動化によって、日本の競争力を強化する」をミッションに掲げ、フリーランスのハイスキルデジタル人材と企業のDX案件をマッチングするプラットフォーム「デジタル人材バンク」を運営しています。
今回は、「新設ポジション:DXプロジェクト・アーキテクト」について、金居代表に詳しく伺いました。
「企業のDX投資は、なぜ成果に結びつかないのか」
この問いに真正面から向き合う新しいポジション、「DXプロジェクト・アーキテクト」を新設します。
今回は代表の金居さんに、ポジション新設に込めた思いや、「言葉が現実を作る」という強い哲学について語っていただきました。「今の仕事にどこか物足りなさを感じている」「もっと経営に近い場所で本質的な課題を解決したい」、そんな想いを抱えるあなたに読んでいただきたいインタビューです。

金居 宗久|代表取締役
千葉県出身。早稲田大学 人間科学部卒業後、朝日アーサーアンダーセン株式会社(現PwCコンサルティング合同会社)に入社。ITコンサルタント、戦略業務コンサルタントとして4年間従事。その後、フリーランスや教育系ベンチャー企業を経て、2度の起業を経験。2021年3月、株式会社クラウド人材バンクを設立。
「言葉が現実を作る」──なぜ、コンサルではなく「アーキテクト」なのか
ー 今回新設された「DXプロジェクト・アーキテクト」。この名前にたどり着くまでに試行錯誤があったと伺いました。
そうですね。実は「コンサルタント」や「プロデューサー」という案も出ていたんです。でも、どれもしっくりこなかった。私は「言葉が現実を作る」と考えています。コンサルと呼んでしまうと、どうしても「外部からアドバイスをする人」というニュアンスが強まってしまう。私たちがやりたいのは、アドバイスではなく、顧客の組織構造そのものを、内部・外部含めてどう組み上げるかという「設計」なんです。
プロジェクトの体制や組織の構造を「アーキテクト(設計者)」として作り上げていく。もしここでの言葉選びを間違えて、世の中に「それっぽい職種名」で出してしまうと、入社される方が持っているイメージと現実の間に認識の齟齬が必ず生まれます。その齟齬は次第に取り返しのつかない大きさになる。だからこそ、正確に大切に伝えたい。その思いで、この職種名に決めました。
ー その「アーキテクト」としてのミッションを、改めて一言で表すと何でしょうか?
「クライアントのDX投資を、確実に成果に変えるためのサポート」です。
今、日本の多くの企業がDXやAIに巨額の投資をしていますが、その多くが人材不足や組織体制の不備で止まったり、十分な成果に結びついていない。
私たちは、その投資を「無駄」にさせない。
そのために、社員(内部リソース)と外部ベンダー(外部リソース))の「最適配置」の設計を支援します。
「そのコストは必要ですか?」──ニーズを疑うことから始まる

ー 人材紹介会社でのRA(リクルーティングアドバイザー)の仕事と、今回のポジションの決定的な違いはどこにあると感じていますか?
RAの仕事は極端に言えば、「顧客の人材ニーズを定義して、適切な人材を紹介してポジションを充足させること」です。
でも、私たちはその前提を疑うことから始めます。
極端な話、「そもそもこのポジションは必要ですか?」、「本当にその業務を正社員に任せるべきですか?」という提案から入るんです。
ー それは、人材紹介というビジネスモデルからすると「売上を捨てる」ことになりかねない提案ですよね。
はい。でも、そこを解像度高く考えないと、「投資を成果に変える」という本質からズレてしまう。
例えば、あるクライアントから「PMOができる人が欲しい」と言われたとします。RAはデータベースで「PMO経験者」を探すでしょう。
でも私たちは「そのPMOというポジションの期待値や役割は何か?」、「現状の体制を踏まえて、追加する場合の必然性は?」を、顧客に徹底的にヒアリングします。
ー そこで「実は正社員じゃなくていい」という結論になることもある?
あります。
特に新規事業などは、フェーズによって必要なスキルが変わります。特に複数の新規事業を進めた場合、最初から正社員で固めてしまうと、いくつかの事業は途中でクローズする可能性も十分あります。
その際、すべて正社員に担当させて人件費を固定化してしまうと、その後の経営を逼迫するリスクにもなります。
したがって、「複数の事業開発の中で、外部のプロ人材を活用することで投資コストに柔軟性を持たせ、開発スピードや品質を高める。そして、採択する事業が定まった段階で正社員体制へ移行する」という提案を行うのが、DXプロジェクト・アーキテクトの役割です。
リテラシーは「現場の一次情報」でインストールする
ー このポジションで身につくスキルについて、金居さんは「外部ベンダーの目利き力」も挙げられていますね。
これはすべての日本企業が徹底すべきだと考えます。
事業会社のDX責任者のリテラシーが十分でないために、外部ベンダーから過剰な提案を受け、十分な判断基準を持たないまま発注し、DXのROIが悪化するケースを数多く見てきました。
これは外部ベンダーが悪いと言っているのではなく、発注側のリテラシーも肝要です。双方の適切な緊張関係が、本当に必要なDX/AI投資を見極めるうえで重要だと考えます。
ー それはもったいないですね。
本当にもったいないです。私たちはDXプロジェクト現場からの一次情報に常に触れています。耳障りのいい言葉でアピールするベンダーの裏側にある実態を知り、顧客にとって最善の選択肢を提示する。この目利きができるようになれば、将来的にDX推進部長やCIO、CHROといった、経営をリードする立場に立った時に、圧倒的な優位性になります。
ー RA経験者からすると、「ITやDXの知識が自分にあるだろうか」と不安に思う方もいるかもしれません。その点はどうお考えですか?
結論から言うと、最初から知識がある必要はありません。
大切なのは、入社後のキャッチアップ力です。私自身もそうですが、様々なステークホルダーと直接対話する中で一次情報を集め、知見を広げています。こうした一次情報は、本を読んで身につくものではなく、プロジェクトという現場でしか得られません。
ー 不安に思う新入社員に対する、貴社の社内サポート体制はどうなっていますか?
最初は、私と共に顧客提案やヒアリングを一緒に行います。そこで「クライアントの抱える組織やプロジェクト課題は何か」、「今の提案の意図は何か」をすべて言語化して伝えます。
インターネットに落ちていない現場のナレッジを、まずはシャワーのように浴びてもらう。2〜3年この環境で揉まれれば、事業会社のIT担当役員と対等に渡り合えるリテラシーが、自然と身に染み付くと考えます。
「安定から挑戦へ」──くすぶっているプロフェッショナルへの招待状

ー 最後に、どのような方にこの新しい「アーキテクト」という役割に挑戦してほしいですか?
「現在の環境は安定していて魅力的だけど、もっと挑戦したいと思ってくすぶっている人」です。
現職で確かな成果を出していて、顧客との関係も安定している。
でも、どこかで「自分の介在価値って何だろう?」、「このままマッチングだけを繰り返していていいのか?」と自問自答しているような人。
これまでRAやCAとして培ってきた、人の心や課題を読み解く力を、より高い視座で、経営や組織設計に携わるなかで駆使して挑戦してほしいです。
決して楽な道ではありませんが、企業のDX投資をコストで終わらせず、社会を変える成果に変えていく。その手触り感に飢えている方と、ぜひ一緒に働きたいと考えています。
