好きな曲『Bad Apple!! feat. nomico』
かなしいだのわからないだの、うだうだ言ってても仕方ない気がするので、気晴らし、文章を書く練習がてら、唐突に、好きな曲について書こうと思う。とはいえ、音楽的な知識など露ほどもないので、簡単な感想やエピソードを書くことしかできない。
さて、はじめにこの曲について……今更説明することもないように思われる。この曲は東方Project(以下「東方」と略す)という、同人ゲーム作品に使われているBGMをアレンジしたものであるが、おそらく、東方を知らなくとも、この曲を聴いたり、この影絵の動画を見たりしたことのある人は多いのではないだろうか。だいぶ昔の曲ではあるが、ネットでは今でも愛されている、不朽の名曲に違いない。
僕は中学生の頃、この曲のイントロを聴いたとき、初めて、音楽のかっこよさや気持ちよさというものを知った。それまでは、母が車でよく流す歌と、雨の音とを、同じように聞いていた耳が、脳が、あのとき、音楽という存在をしっかりと捉え、やがてのめり込み、聴くようになったのである。
給食の時間中に流れたのは、今でもはっきりと覚えている。ターン、と軽快明快な音にはじまり、キックがシンプルに規則的に刻まれ、この無機質だがワクワクする不思議なリズム感に、なんだろう、と心をくすぐられていると、次の、あのサイバーなメロディーに、やられた。僕は慌てて、隣に座っていたアニメ好きな友達に、何の曲かを訊いた。そして、帰宅してすぐに調べて、この動画に辿り着いたのもはっきりと覚えている。
とにかくこの曲は、無骨にエレクトロニックのかっこいい味を忠実に奏でていて、ループする歌詞も含め、終始シンプルなままかっこいいのを突き通しているのがいい。展開しすぎることなく、良い意味で単調な気がする。絶妙な馴染みやすさであり、それが、当時の純粋無垢な少年の鼓膜に、するりと侵入したのであった。
以降、僕はこのような、エレクトロニックな音楽を中心によく聴くようになっていったけれど、今でもこの無骨なかっこよさと、歌詞にもあるとおり「気だる」げでありながら、どこか切ない歌い方をするボーカルの組み合わせは、なかなか聴く機会がない。無骨無骨と連呼しているけれど、この曲は結構メロディアスなもので、それはアレンジ元からして優れているといいたい。ここでは割愛するけれど(いつか別で書きたい)、だいいち、東方の曲は、メロディーが大変素晴らしいのだ。
それにしても、こんなかっこいい曲に、あの時代の技術とは信じられないくらい、素晴らしい影絵がついた動画を、多感な時期に見てしまったら、一目惚れしない方がおかしい。今見ても、影絵という、登場するキャラクターたちの秘匿された雰囲気を煽る演出は見事で、一寸心をくすぐられるようなかっこよさがあると思う。この動画を見ながら、東方のキャラクターを覚えていったものだ。
以上のように、曲について、どうでもいいエピソードを加えて書いてみたところで、かっこいいだ素晴らしいだの、その程度のことしか表せない。けれど、自分の好きなこと・ものについて、一寸でも良さの核に当たる部分に近づけたような気がして、なによりいつもの、かなしいことしか書けないという一種の病気から離れられたような気がして、たのしかった。
