映画『リライト』の業務試写に潜り込んだヨーロッパ企画のオタクによるネタバレなし感想
※ちゃんと正規ルートで潜り込んでいるので安心してください
私の勤め先は、映画の業務試写の案内が回ってくるタイプの会社である。
しかし、私自身は映画とは全く無縁の部署で働いているため、私の元に「試写会行きませんか?」みたいな連絡が来ることはほぼない。
「不健康運動さん、ヨーロッパ企画大好きだったよね?業務試写行く?」
願ってもないお誘いをしてくれたのは、試写会の窓口となっている部署で働いている会社の女性の先輩だった。
先輩とは、彼女が仕事で訪れている演劇、映画祭、落語会、お笑いライブなどに、私がかなりの高確率で自腹で見に行っていることをきっかけに仲良くなった。
行く先々で「また会ったね!」と会話するようになり、何かしらの機会に、私は先輩にヨーロッパ企画の大ファンであることを話していた。
「やっぱ好きなものは声を大にして言っておくべきだな!」と先輩への感謝を胸に、私は業務試写へと向かった。
映画『リライト』とは?
このタイトルのnoteを読もうとする気概のある人には既知の事項かもしれないが、映画『リライト』について説明しておこう。
原作は、法条遥先生の小説『リライト』。
発売当時中学生だった私は、この小説を呼んでいるのだが、何せ10年以上前の話なので、正直内容は1文字たりとも覚えていない。
今回の映画化の監督は松居大悟、脚本は劇団『ヨーロッパ企画』の上田誠が務めている。
松居監督は、キャリア初期にヨーロッパ企画の文芸助手を務めており、上田さんの弟子にあたる関係。
今回念願かなって、師弟タッグによる映画作品が完成したのである。
本作は、2023年8月上旬から9月上旬までにかけて、広島県尾道市で撮影された。
大林宣彦監督の『時をかける少女』を意識し、原作の静岡県から作品の舞台が変更されているのである。
当時エキストラも募集しており、広島在住の私は何日間か応募した。
しかし、一番大人数が必要な花火大会ロケの日に都合上応募できなかったということもあり、エキストラには全落ちした。
昨年末に映画の詳細が情報解禁された際、まさかの脚本:上田誠、原作既読の案件だったと知り、悔し過ぎて愕然とした。
悔し過ぎて、松居さんが演出を務める舞台のロビーで本人をつかまえて、一方的に上記の無念さをまくし立てる不審者になった。
……もはや『リライト』とは?の項目では全くなくなってきているので、次の話題に移ろう。
原作小説は予習した方がいいのか?
小説の映画化ということで、事前に原作の予習をした方がいいのか?と悩んでいる人もいるかもしれない。
だが個人的には、原作を読まずまっさらな状態で映画を鑑賞することをお勧めする。
「これはこういうことだったのか!!!」という驚きが肝となる作品のため、前情報はなければない方がいい。
私自身、ほとんど内容を覚えていない原作を鑑賞前に読み返すか悩み、結局時間の関係で読まずに鑑賞したが、この選択は正解だったと感じている。
映画鑑賞後に、映画と比較しながら原作を読むと、映画も小説もより楽しめそうである。(私はこれから読み返す。)
SF・青春・ミステリ要素のバランスの良さ
本作は、「新感覚"タイムリープ×青春ミステリ"」というキャッチコピーの通り、SF、青春、ミステリの3要素で主に構成された映画となっている。
この3要素のバランスが非常に良いのである。
ヨロ企ファンにしか伝わらないたとえで恐縮であるが、今作は『ドロステのはてで僕ら』の緻密さと、『リバー、流れないでよ』のエンタメ性のいいとこどりと言っても過言ではない作品なのだ。
作中に起こるタイムリープは、かなり複雑な構造になっているが、マニア向けの”難解なSF作品”という印象はあまり受けなかった。
その理由は、「青春の甘酸っぱさ」についてもしっかり描き切られており、「どうしてこんなことが起こっているのだろう?」「なんか含みのある言動だな」という謎が解明されることを待つワクワク感があるからだと考えている。
このバランス感覚は、数々の商業映画を成功に導いてきた"松居大悟"×時間ものを書かせたらこの人の右に出る者はいない"上田誠"という座組みだからこそ、保つことができたものではなかろうか。
キャスト陣の好演
私自身がヨロ企ファンということもあり、ここまで監督や脚本を中心に触れてきたが、キャスト陣のお芝居もちろん素晴らしい。
代表して3(+1)人挙げさせてもらう。
まずは、主人公・美雪の同級生である茂を演じた倉悠貴。
映画やドラマの撮影で日々忙しい中、松居監督作品ということで、なんとかスケジュール調整をして参加が決まったという。
個人的に、『市子』や『傲慢と善良』でもお芝居を拝見していたが、今回改めて彼の演技を拝見して、改めて「こりゃ売れっ子なだけあるわ!」と感嘆した。
特に、作中終盤でのワンカットで撮影されたとあるシーンは必見。
私は該当シーンを中心に、終盤では茂の行動を見ながら笑いが止まらなくなった。
全くfunnyなことは起こっていないのだが、なんかもう行動がすご過ぎてもはや笑ってしまうのである。
映画を実際に鑑賞し、私のこの気持ちを理解してくれる人がたくさん現れることを願う。
お次は、美雪の高校時代の友人・友恵を演じた橋本愛。
存在しているだけでにじみ出るミステリアスさ、底の知れなさ。
そして、とある重要なシーンでその底知れなさがばーーんと弾ける恐ろしさ。
友恵役は、まさに彼女にしかできない役だったように感じる。
そして最後に、未来人・友彦役を演じた阿達慶。
当時17歳、演技経験も少なかったようだが、その初々しさが未来人としての自然さ、現代人から見た異質感に直結していた。
逆に経験豊富な役者には、あの素朴な未来人感を出すことはできないだろう。
これからキャリアを積んで、どのようなお芝居を見せてくれるのかが非常に楽しみである。
ついでに、もう一人だけ。
なんとこの映画、少しだけ我らが藤谷理子さんもご出演されております!!拍手!!!
理子ちゃんが出てきた瞬間、「理子ちゃんだ~~~~!(実家のような安心感)」となったよね。
注:藤谷理子は、ヨーロッパ企画の最年少俳優。
最後に
これを1から100までうんうんと興味を持って読んでいる人は、もはやこんなnoteなんか読まなくても『リライト』のムビチケを購入済みのディープなヨロ企ファンな気がする。
果たしてこのnoteに意味はあるのであろうか……。
そんなぼやきはさておいて、映画『リライト』は、ヨロ企ファンも、松居ファンも、各キャストのファンも、原作小説ファンも、主題歌を担当したRin 音ファンも、大林宣彦ファンも、尾道近辺在住の地元民も、みんな楽しめる作品と言っても過言ではない。
全国ロードショーは、6月13日金曜日。
ぜひムビチケを買って、劇場に足を運んで、衝撃をその身で体感してほしい。

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