【書評】DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール
本の帯にバーンと「ゼロで死ね」と書かれているのを見て、強すぎる字面に思わず笑ってしまった。

パーキンスの言うところの"Die with zero"(ゼロで死ね)が意味するところは、人間とは自分が死ぬその日までに全く悔いのない形で、自分が今まで築いてきた貯金を使い切り、銀行残高0円、手持ちも0円の状態で死ぬべきであるということである。こう聞いて不安を覚える人も多いのも事実だ。自分が死ぬ日を完璧に予測できる人はいないし、仕事をリタイアして収入がなくなってから医療費がどれほどかかるかを考えるときりがないからである。子どもへの相続はどうなるという意見もある(どの論点も本書で解説されている)。しかしながら、自分に死が近づいていると悟った時に、使いきれなかった金とそれを稼ぐために費やした時間のことを考えて、その金と時間で誰とどんな思い出作りができただろうかと悔やんでしまうのは虚しい。
幸いにも私自身にはまだ死のお迎えがくる気配がないので、どちらかというと今際の際の虚しさよりも不安のほうが勝ってしまうのだが、「思い出作り」と「思い出作りのための労働」の間でいかにうまく均衡を図るかが人生を無駄なく楽しく生きるためのポイントとなる。
思い出が重要だとして、思い出作りに必要なものは何だろうか。パーキンスによればそれは「金と時間と健康の最適化」ということである。概して若い時は健康で、時間がある。年をとると金は貯まるが、キャリアを積んだり家族がいたりで多忙になる者もある。また、健康面では年を重ねるごとに誰もが確実に衰える。故にやりたいことをやりたい時にやるのは時に難しい。そのために、パーキンスは自身の寿命の予測や、長寿年金の購入を勧めている。必要ならば若いうちに思い切ってリスクがある行動をしてみるのもいい。
最適な思い出作りのため、パーキンスは各年代でやるべきことを順を追って提案している。20代では、今やりたいことを力一杯するべきだと言っている。特に旅行で行きたい場所があるのであれば、足腰が立つうちにした方がよいということは自明なので、ぜひ行ったほうがいい。30代〜40代では、時間を金で買う意識をした方がいいと言う。例えば毎日の洗濯を外注し、その時間を家族と過ごすためにあてるのがそれに当たる。50代では、それまで働いて築いてきた資産と、自分の予測寿命と、死ぬまでにやりたいこととを考えた時に、仕事を辞める意志を固め始めたほうがよいかもしれない者が現れてくると言う。
私自身のことを考えると、私は学生時代から30代前半までかなり自堕落に過ごしていたために、自分の経歴や働き方が彼の提案から15年程度ズレているということと真摯に向き合いながら今後の人生を検討しなければならない。改めて、私は今何をするべきなのか、何ができるのか、そして何がしたいのかを考え直すためのよいきっかけとなる本であった。
