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【ショート】 作家ワールドカップ

作家ワールドカップには、優勝した人が現実を一つだけ書き換える権利が与えられる。

発表を待つ私は原稿を握り締め、会場を見つめた。
周囲にはたくさんの人たちが野次を飛ばし、意見を戦わせている。
でも、
私の視界を埋めるのは、
大量の原稿をひたすら読み進める審査員と不正が行われないか監視する審判たちだけ。

腕時計を見る。
胸の鼓動が早くなる。

そして、
時計の針が十二時で止まった。

「ただいまより結果発表を行います。」

肩に力が入る。
誰もが優勝したかった。

入選したのは、

戦争を終わらせた物語。
病を消した物語。
飢えのない物語。

次々と読み上げられる作品概要と作家たち。


そして、グランプリは——。


夢見心地のまま壇上へ上がる。

「何を書き換えますか?」

彼は白紙の原稿を一枚差し出した。

「私の作品を抱いたまま亡くなった、たった一人の読者に続きを読ませてください」


目が覚めた。
机の横に一通の手紙。

次の作品も楽しみにしています。

私はもう一度、原稿用紙を開いた。


(410文字)


田原にかさんの企画に参加しています。
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