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【エッセイ】 健康ランド ―あの日の60秒―

―― short story ――

胸がきゅっとしめつけられた。

……どこ。

まわりをくるりと見渡す。

人の足がたくさんあった。

行ったり、来たりして、見ているとくらくらする。

ぶつかりそうになって、よろめく。

後ろの人にどんとぶつかって、絨毯に膝をつく。

ぶつかった人はチラリとこちらを見て、その後、違う場所を見て、どこかに行ってしまう。

その様子に目頭が熱くなった。

……おかあさん。おかあさん。

くるくる。くるくる。

目を大きく開いて、何度も見る。

みんな同じ格好をしている。

花柄のシャツと茶色のズボン。

花柄のワンピース。


くるくる。くるくる。

……いない。

はぁ、と息を吐いて。

もう一度、吐く。

だんだん、はっ、はっ、と、息が浅くなる。

視界が暗くなり、狭くなる。



ひとりぼっちになった。

世界にたったの一人。



「あんた、さっきから何してんの?」



振り向くと、花柄のワンピースを着たお母さん。

体が急に軽くなる。

息が吸える。

世界が輪郭を取り戻すと、てくてくとゆっくり走っていって、

お母さんの手をぎゅっと握りしめた。


あのときの花柄だけは、今でも妙にはっきり覚えている。




メンシプ企画の宵空記念3に参加しています🌿

今回は、『あなたが実体験した怖い話』。

とはいえ、COBIToは霊感もなければ、怖い話も苦手。
基本、全力で避けて通っています。笑

ということで今回は、怖がりMAXだった、小学生に上がる前の頃の体験を書いてみました。

あの頃は、母とはぐれる=死んでしまう、くらいに思っていたんじゃないかというほど、本当に怖かったんですよね。

ちなみに母は、少し離れた後ろでお茶をすすりながら、私を眺めていたそうです。

子どもの視界って、狭いですよね。笑

あんまり怖くないですが、そこはご愛嬌。
私にとっては、とても怖かったお話でした☺️

それでは、また、明日🌿

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