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【ショート】 魔女の恋煩い ―贈り物は今日も琥珀色だった―|エフィーリアの森の郵便配達員 <外伝>

―― short story ――

振り返ると、薬瓶が燃えていた。

「……あ」

手のひらで炎を包む。
火は音もなく消えた。
掻き消されると同時に小屋の中に暗闇と静寂が戻る。
ため息をついて振り返ると、
服の裾がテーブルにあった薬瓶に当たって地面に落ちる。

ガラスが割れ、金属音が耳に響いた。

床に染み込んでいく液体は白い煙をあげて生き物のように地を張っていく。

「……はぁ」

黒髪を掻き上げて、
窓辺の机に置いてある宝石箱を開ける。

ネックレス、ピアス、ブレスレット……全て琥珀色をしている。

……あの人の色がいいのに。

椅子を引くと、そのままブレスレットを手に取って身に付ける。

『すごく、似合ってます』

思わず目を伏せる。

眉根を寄せると深く息を吐く。

コン。

窓の外で、あからさまな音がする。
気配の主は知っていた。
窓に手を伸ばし、躊躇して止める。
少し待ってから窓を引いて開けた。

明るい日差しが暗い部屋を照らす。
窓辺にはひしゃげた箱が置いてあった。
分かっていても、強張っていた体から力が抜ける。
手を伸ばし箱を取ると、窓を閉める。
崩れた箱を開くと、やはり琥珀色のブローチが入っていた。

メッセージカードにはいつもの謝罪。

そっとメッセージカードを口元に寄せる。

後ろから響く小さな爆発音。

「あ」

ゆっくり振り返ると、緑色の煙が割れた試験管から溢れていた。
何度目か分からないため息を吐く。

「今日はもうダメね」

目を閉じても、
青空の下で揺れる赤褐色だけが、

消えない。





本編はこちらから🌿
(全33話 完結)


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