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【ショート】 影の友達

―― short story ――

「僕にできること、何かない?」

いつも、助けてもらっていた。
今度は、僕の番だ。
ようやく、そう心から思えた。

なのに……

君はいなくなった。

転んだ時も、
テストで0点を取った時も、
友達と喧嘩した時も、
君はいつも、僕の味方だった。
風邪を引いた時も、ずっと励ましてくれた。
看病なんかより、そばにいてくれる方が、ずっとよかった。

ただ、そばにいてくれることが。

中学二年生の夏、学校から帰った時に気づいた。

――いない。

「どこにいったの」
独りごちる。
返事がない。

鏡を見る。
部屋を漁る。
外に出てみる。

夕日を背に長く伸びた影を見る。
そっと、膝をつく。

声をかけようと、口を開けた時だった。

「さなと」

振り返る。

「まどか……」

驚いた。

「こんなところに座り込んで、どうしたの?調子悪い?」

「……いや、ちょっと、探し物」

誤魔化すように笑う。

「え?……一緒に探そうか」

「あ……いや、時間かかりそうだし、大丈夫」

「大事なもの?」

なんて答えるか、迷う。

「……やっぱり、手伝うよ。どんなもの?」

まどかの優しさが痛い。
僕は首を横に振った。

「もう遅いし、一度帰るから。……まどかも帰ろう」

「あ、私、これから塾だし。」

カバンを前に出す。

「なら、尚更行かなきゃじゃん。ありがとう」

僕は、まどかの背中を押す。
まどかが振り返る。

「……困ったら、言いなさいよね。いっつも、難しい顔して何も言わないんだから」

――あ。

まどかの背が見えなくなる。

足元の影を見ると、いつものように揺らめいた気がした。

「そこにいたんだ。」

さっきの言葉が、残る。



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