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【ショート】 夜行性の黒板消し

―― short story ――

今日の六時間目の授業は、社会だった。

黒板に白く浮き上がった文字を眺める。

水門先生の授業は面白くて好きだ。

授業というより、お話が上手なのかも知れない。

鉛筆を滑らせながら、

ノートにメモを取る。

時々、青鉛筆を取り出して、文字を囲む。

ここは覚えておきたい。

昔、青で書くと覚えやすいと聞いた。

誰にだったかは、もう忘れたけど。

次は、10問テスト。

少し時間をかけて取り組む。

終わってから、答えのプリントを出して、答え合わせをする。

「……なぁ、もう、ここ消していい?」

少し掠れた声が、教室の前から飛んできた。

目だけ上げると、

教卓の上に、黒板消しがぴょんと跳ねる。

「……いいけど、右側はまだ消さないで」

「わかった!」

勢いよくジャンプすると、黒板消しは宙を舞う。

左側の白い文字を消していく。

一仕事終えると、黒板消しクリーナーの上に身を置く。

私は立ち上がり、ポチッとスイッチを押す。

振動が走る。

誰もいない教室に「あはは……」と、声が響き渡る。

もう一度、スイッチを押す。

止まる。

「これ、……めっちゃ、くすぐったいんだよなぁ」

黒板消しに、涼介の笑顔を感じる。

月夜に照らされた教室は、今日もあったかい。






#毎週ショートショートnote
#夜行性の黒板消し

田原にかさんの
#毎週ショートショートnote
企画に初めて参加させて頂きます。

今回のお題は、5/10〜5/16までだそうです。
詳しいことは、田原にかさんの記事を。
興味のある方はぜひ☺️

素敵な夜をありがとうございます🌿


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