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【ショート】 高校野球怪談


今年の夏が終わる。
俺の夏も終わった。

家に帰ったら、野球以外のことをしなくてはいけない。
親と約束していた。
野球以外にしたいことなんて、何かあったか。

旅館の外は星が綺麗だった。
空を見上げて息を吐く。

その時、ひんやりとした風が俺の頬を撫でた。

……こんなに暑いのに。

旅館の方を振り返ると、縁側に硬球を握った少年がいた。

「負けたの」
「うん」
「そっか。僕も」
「そうか」
「君は、何かやりたいことでもあるの」
「え、なんで」
「だって、君……いや、いいや」

少年は立ち上がる。

「早く寝なよ」

もう消灯の時間は過ぎていた。
俺は肩を落として部屋へ向かった。


翌朝、旅館の入り口に集合する。

バスに少年が乗り込むのを見た。
一瞬だけ目が合う。
少し目を大きくして、すぐにまた眉を顰めて笑った。

俺たちの乗るバスも到着した。
仲間の背中を追って外に出る。
太陽は照りつけているのに、涼しかった。




「おい、さっきから何見てんの?」
「……いや」

入り口には、誰もいなかった。

(410文字)








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