【ショート】 3行日記
―― short story ――
1月3日
朝食はバターを塗ったパンに、レタスとトマトとハムを挟んで食べた。
午前中は、外へ出て散歩して、
帰ってきてから少しだけと思って勉強をした。
没頭してしまい、昼食を食べ損ねたまま、
午後は、師匠のもとへ行って絵の勉強をした。
2月3日
朝から、ソーンが駆け込んできた。
驚いたけど、一緒に朝食を摂る。
今日は、朝から師匠のところへ二人で行った。
いよいよ、魔法を教えて貰える。
3月3日
たくさん、練習したおかげで丸を引くのは、上手にできた。
でも、まだ勉強不足で中の陣はミスが多いと言われた。
後ろから唸り声が聞こえたと思ったら、
ソーンは丸の部分で苦戦しているようだった。
4月3日
朝食を食べていると、また、ソーンが家の扉を叩いた。
仕方ないので、ソーンの分の朝食も作る。
5月3日
ソーンはまだ魔法陣の丸がうまく描けないみたい。
最近、口数が減った。
ソーンの好きなお菓子を用意しておく。
私は陣の調整に入った。
6月3日
箒に乗って、外へ出かける。
久々の人間界だった。
人間からは私の姿は見えない。
青空がキラキラと輝いていた。
――早く、行きたい。
7月3日
師匠に呼ばれて、結界魔法の貼ってある部屋で魔法陣を展開してみる。
真っ白な雪が降ってきた。
師匠は、私を見て「よくやった」と褒めてくれた。
8月3日
ソーンの魔法陣が完成したので、見に行った。
陣が不安定で「あと少し」と師匠に励まされている。
魔法陣を覗き込もうとすると、
ソーンの目が厳しくなった気がした。
9月3日
天候を操る魔法陣を、前よりも早く描けるようになった。
晴れ、曇り、雨、雪、嵐、雷……。
描いている時は、楽しくて、夢中だった。
10月3日
朝食を食べていると、ソーンが家に来た。
私は立ち上がると、朝食を作ろうとキッチンに向かう。
「……シャナ。ごめん」
振り返ると、闇に包まれた。
11月3日
ソーンが、師匠から認定された。
魔法陣が完成し、一人前になった。
実際に、第一線でこれから仕事ができる。
12月3日
私は魔法陣が描けなくなっていた。
手が動かない。
紙の上に、何も残らない。
これを見て、師匠は言った。
「素晴らしい!」
ソーンの『奪う』魔法陣は成功したようだ。
ソーンは、私を甲斐甲斐しく世話をした。
12月31日
簡単な日記を書くことにした。
言葉を思い浮かべると、本に記録が残る。
ソーンの名前を書く。
――ゆるさない
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