【ショート】 眠る星の時計
―― short story ―—
その町は何百年も前から眠っている。
遠い空から降ってきた隕石は、
地上を荒廃させ、
残骸だけが残されていた。
生き残った生命体はなく、
ただ、時間だけが過ぎ、
宇宙を漂っている。
そこに新たな隕石がぶつかった。
凄まじい衝撃が星を震わせる。
散りばめられた破片の中から、
透明な生命体が生まれた。
それは、形を伴わない水のような生き物だった。
まるで浮いているように動き、
荒廃した地上を進む。
町の一角に、壁の崩れた一軒家を見つける。
一部、内装が残された壁の中心に、
時計が原型をとどめている。
そして、生き物は、
時を止めた時計に張り付く。
すると、
時計の針が回り出す。
――反対の方向へ。
生き物の体から青白い光が生まれ、
透明な体に、時計の記憶が映し出される。
その膨大な記憶を得た生き物は、
記憶の中の生き物の形に変化した。
生き物は思った。
――ひとりでは、足りない。
時計から、離れると、
時計は止まった。
灰色に染まった町に、
太陽の光が僅かに届いている。
――水、緑、生物を探して、空気を作るんだ。
『僕は地球を取り戻す』
時計の針は動き出した。
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