赤ちゃんが返ってくる前に…退院前に知っておくべき家の整え方
授乳・おむつ替え・沐浴を、暗くても迷わずできる「仕組み」を産む前に作っておきましょう
📋 この記事の内容
なぜ産む前に動線を作っておくといいの?
赤ちゃんと一緒に家に帰ってきた日は、予想もしなかったようなことが沢山起こります。
例えば、
おむつを替えようとしたら、おしりふきがない。
授乳しようとしたら、タオルが遠くにある。
暗い中で電気をつけると、せっかく寝た赤ちゃんが覚醒してしまった——。
そういう夜が、最初の1週間には本当によくあります。
病院の中では、物品はナースステーションにあって、スタッフが動いてくれますが、家では、必要なものを揃えるのも、動ける動線を作るのも、全部自分でやることになります。
「なんとかなる」は、産後の疲弊した体には少し荷が重い。
だから産む前に、部屋を整えておくことで少し心の余裕もできます。
この記事では、新生児科ナースとして退院前の家族に伝えてきたことをもとに、「授乳・おむつ替え・沐浴の3つの動線」の作り方をお伝えします。
準備するもの — ゾーン別の配置リスト
まず全体を把握してから、ゾーンごとに作っていきます。
これだけあれば、最初の1週間は乗り越えられます!
授乳ゾーン(ソファや授乳チェア周辺)
授乳クッション
タオルまたはガーゼハンカチ(よだれ・吐き戻し拭き用)
母乳パッド(母乳派の場合)
飲み物(ペットボトルか水筒)
スマホの充電器
手元ライト(授乳ライト・LEDクリップライト・充電式フットライトなど)
おむつ替えゾーン(床またはおむつ替えマット付近)
おむつ(20枚以上ストック)
おしりふき(未開封も含めて手の届く場所に)
ゴミ袋またはおむつ用ゴミ箱
おむつ替えシートまたは防水マット
保湿クリーム(かぶれ予防)
沐浴ゾーン(洗面台またはベビーバス置き場付近)
ベビーバス
ベビーソープ
洗面器(かけ湯用)
湯温計
沐浴布またはガーゼ
バスタオル2枚(受け取り用)
着替え一式(すぐ手が届く場所)

🤱 手順1 授乳ゾーンを作る
① 座る場所を決める
まず「授乳する場所」を1つ固定します。
これは布団でも、ソファでも、椅子でも、床のクッションでも、どこでも構いません。
でも同じ場所で授乳すると、そこに必要なものが全てそろっているので楽です。
② 必要なものを「利き手側」にまとめる
例えば、タオル・スマホ充電器・飲み物(人によっては授乳クッション等も)、これらを利き手側のすぐ手が届く場所に集めておきます。
ポイントは「立ち上がらなくても全部取れる」こと。
赤ちゃんを抱っこしながらでも、片手で取れる配置が理想です。
③ 手元ライトを置く
授乳は夜中に何度もあります。
いちいち部屋の電気をつけると、自分も覚醒してしまい、授乳のあとになかなか眠れなくなります。
間接照明・LEDクリップライト・充電式フットライトなど、小さな照明を1つ授乳場所の近くに置いておきましょう。
これは100均一のもので足元を照らせるくらいの光量で十分です。人によってはスマホの懐中電灯機能を使っている方も。
例えば、テレビ正面を授乳場所にすると、ついつい画面をつけてしまいます。気分転換になる一方、夜の授乳のあとは、眠れずしんどくなることも。
原則は昼夜問わず「あかちゃんが寝ているときに、あなたも休んでくださいね!」これは何度も今までママパパに伝えてきたことです。
そのため、夜間の授乳は「暗くて静かな場所」のほうが良いかもしれません。
👶 手順2 おむつ替えゾーンを作る
① おむつ替えの場所を決める
床・ソファ・布団どれでも構いません。
重要なのは「おむつとおしりふきとゴミ箱が、手を伸ばせば届く場所にある」こと。
おむつを替えている最中に「おしりふきがない」は、本当によくあるトラブルです。
赤ちゃんをひとりにして取りに行くことは、安全上も避けたい。
最初から「動かなくていい」状態を作っておきましょう。
② ゴミ袋・ゴミ箱の位置を決める
使ったおむつの処理が、思ったより手間取ります。
においを閉じ込める構造のおむつ専用ゴミ箱(カートリッジ式・回転式など)があると楽ですが、なければビニール袋でも十分です。
ビニール袋で代用する場合は、1枚ずつ結んでから捨てるとにおいが軽減されます。
「おむつ替えの場所のすぐ隣に置く」——
片手で捨てられる距離が理想です。
③ 予備を見える場所に置く
おむつは思っているよりずっと早く減ります。
新生児は1日10〜12枚使うことも。
透明な収納ケースに入れる・棚に立てて並べるなど、扉を開けなくても残り枚数が見える工夫をしておくと、買い足しのタイミングを逃しません。
1パック開けたら、もう1パックを手元に用意しておくと安心です。
おむつをクローゼットの奥や別の部屋に収納しているなら要注意。毎回取りに行く動線が発生します。当面は見た目の整頓より使いやすさを最優先に。慣れてきてから整理しても遅くありません。
🛁 手順3 沐浴ゾーンを作る
① ベビーバスの置き場所を決める
洗面台・浴室・キッチンのシンク、どこでも良いです。
「お湯を張るのが楽な場所」と「赤ちゃんを洗いやすい高さ」のバランスで決めてください。
Coocoは、洗面台は高さがちょうどよい家が多く、腰への負担が少なめでよくおすすめしています。
② 「洗う場所」と「着替え場所」を近くにする
沐浴でいちばん多いトラブルは「着替えが遠くて、赤ちゃんを抱えたまま取りに行くことになった」です。
バスタオルと着替え一式を、沐浴を終えた場所のすぐ隣に広げておきます。
沐浴前に「着替えを全部出して、重ねて置いておく」のが新生児科でも使っていた準備の仕方です。
下から順に、オムツ→肌着→ウエア→バスタオルの順で重ねておくと、上から取ってそのまま着せられます。
③ 湯温計を用意する
手首での確認でも良いですが、湯温計があるとより確実です。
目安は37〜38℃。「少しぬるいかな」くらいが、新生児にはちょうどよい温度です。
お湯を張ったら、ベビーバスの真ん中あたりに湯温計を入れて1分ほど待ってから確認します。
沐浴の準備を毎回その場でセッティングするのは、最初のうちはかなり大変です。ベビーバスの近くに「沐浴に使うものだけをまとめたかご」を置いておくと格段に楽になります。100円ショップのプラスチックかご・無印のポリプロピレンケースなど、水濡れしても大丈夫な素材のものなら何でもOK。タオルをたたんで入れる程度の大きさで十分です。ただし、兄姉の小さな子がいて「かごを漁られてしまう」家では、使うたびに出す方法のほうが合うかもしれません。
🌙 手順4 夜中に動ける「暗くても迷わない」配置にする
これが、この記事でいちばん伝えたいことかもしれません。
💬 新生児科で見てきたこと
退院していった家族から後日「夜中に電気をつけたら赤ちゃんが完全に覚醒して、朝4時まで眠れなかった」という話を聞いたことがあります。部屋を明るくしなくても動けること——これが産後の夜を少し楽にしてくれます。
① 「夜だけ」のルートを確認する
暗い状態で、寝室から授乳場所まで歩いてみてください。
何かにつまずかないか、赤ちゃんを抱いたまま通れる幅があるか。
床に置いているものを片付けるだけで、夜中の安全が大きく変わります。
② 赤ちゃんの近くに「夜用ライト」を置く
授乳ライト・フットライト・間接照明、どれでも構いません。
スマホのライトでも代用できます。
大切なのは「大きな照明をつけなくていい」環境を作ること。
その一灯が、夜中の赤ちゃんの覚醒を防いでくれることがあります。
③ 「すぐ使うもの」は腰の高さ以下に置く
疲弊した夜中の体は、高い場所のものを取るのが本当に大変です。
おむつ・おしりふき・ガーゼは、腰の高さ以下に置いておくと取りやすくなります。
⚠️ つまずきポイント — ここでよく戸惑う
「動線を作ったけど、赤ちゃんが生まれたら全然違う場所を使っている」
これはよくあることです。
産まれてから2〜3日で「こっちのほうが使いやすい」と分かってきます。
最初の設定は「完璧」じゃなくて大丈夫。
調整できる余白を残しておけると、気持ちが楽です。
「おむつ替えの場所と沐浴の場所が遠くて、毎回移動が大変」
これも最初はよくあります。
洗面所で沐浴して、リビングで着替えるような配置になっていると、途中で赤ちゃんが冷えてしまうことも。
沐浴後の着替えは「沐浴した場所のすぐ隣」が鉄則です。
移動が必要なら、バスタオルで包んだまま抱いて移動し、暖かい部屋で着替えさせる方法もあります。
「夜中に暗くしていたら、赤ちゃんの様子が見えなくて不安」
フットライトや間接照明を使っても「顔色が見えない」と感じることがあります。
そのときは、スマホのライトを壁に向けて反射させる方法がおすすめです。
直接照らすよりも柔らかい光になって、赤ちゃんも眠りやすくなります。
早見表 — ゾーン別・置くもの・置き場所

動線づくりのコツ: すべてを「立ち上がらずに取れる」場所に配置する。夜中の移動は最小限に。

最後まで読んでくれたあなたへ
産む前に部屋を整えておくことは、「完璧な準備」じゃなくて、「ちょっと楽になるための仕組み」です。
赤ちゃんが生まれたら、きっと想定外のことばかり起こります。
でも、授乳する場所・おむつを替える場所・沐浴する場所——この3つの「拠点」があるだけで、夜中の混乱が少し減ります。
産後のあなたが、暗い中で迷わず動けますように。
そして、赤ちゃんと一緒に過ごす夜が、少しでも穏やかでありますように。
調整しながらで、はじめから完璧を目指そうとしなくていいですよ。
生活の中であなたと赤ちゃんに合った「正解」を、少しずつ見つけていってくださいね。
📌 次に読むなら
授乳の姿勢 — 腰が痛くならない抱き方(近日公開)
参考文献
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)
日本助産師会「母乳育児支援スタンダード」
日本小児科学会「乳児家庭訪問における生活環境の確認項目」
