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20~30代活躍中:50手前で笑った転職話

「若手活躍中」の文字に少し疲れた日に読んでほしい話です。海外で人事の仕事をしていたものの、日本での人事経験はゼロ。そんな転職活動中、50歳手前の私に、リクルーターが紹介してくれたのは、「元気な20〜30代女性と働きたいディレクター」がいる会社でした。電話口で起きた、ちょっと気まずくて、でもかなり笑った出来事について書きました。

「海外経験があるのに、日本では“新人寄り”になる」

日本に帰国して、人事職を探していた時期がありました。

いくつかの転職エージェントに登録していて、ある日、そのうちの一人のリクルーターから電話がかかってきたんです。

「あなたにぴったりのポジションがあります!」

おお、そうですか。ありがたい。
しかも人事職。仕事内容も悪くない。

ただ、ここには少し背景があります。

私は海外で5年ほど人事の仕事をしていました。仕事内容としては、「人事にかかわることなら何でもやりまっせ」的な、HRジェネラリストに近い仕事です。

でも、日本での人事経験はゼロ。

帰国して転職活動を始めた当初は、そこがかなり難しかったんですよね。

海外での経験は評価される部分もある。でも、日本企業の人事制度や労務、採用の進め方を「実務として日本で経験しているか」というと、そこは違う。

結果として、「海外経験はあるけれど、日本の人事ワールドでは未経験寄り」という、なんとも説明しづらい立ち位置になりました。

だからリクルーターとも相談して、「まずは日本の人事の世界に入ること」を優先しよう、という話になったんです。

エントリーレベル寄りも視野に入れながら。

……とはいえ。
今回紹介されたの、アシスタントディレクターポジションなんですけどね。

いや、どっちなんだい。
なんて思っていると、そのリクルーターが続けました。

「このポジションの採用を担当しているディレクター、とてもいい人なんですけど、今すごく、“元気な20〜30代の女性と働いてみたい!”って張り切っていて。ココにぴったりだと思って!」

……。

なるほどーーー!!!
と思いました。

いや、たぶん悪意はゼロなんですよ。

むしろ親切心100%。

そして、おそらく私の年齢をちゃんと把握していなかったんだと思います。
まあ、登録時に年齢を書いたわけでもないので、そのあたりは仕方ないんですけどね。

履歴書を見れば、なんとなく年代はわかりそうなものですが、そこまで細かくチェックしていなかったんだろうなぁ。

なんてことを考えながら、私は、
「いや、私もう50近いんで、年齢的に無理じゃないですかね〜、あはは!」
って返した瞬間。

電話の向こうで、一瞬、空気が止まりました。

「あっ……!」
みたいな気配が伝わってきたんです。

たぶん、そのリクルーターさん、その瞬間に全部つながったんでしょうね。

“元気な20〜30代女性と働きたいディレクター”



50手前
みたいな。

そのあと、ものすごい勢いで謝られました。

「すみません!!!」
「いや、本当にそういう意味ではなくて!!!」
「もちろん年齢のことではなくて!!!」
みたいな感じで。

でも私は、その状況自体がかなり面白くなってしまって。

むしろ途中から、
「大丈夫です、大丈夫です!」って、
こちらがフォローする側になっていました。

いや、ほんと、悪意ゼロなのはわかっていたので。

だから傷ついたというより、
「ああ〜、転職市場に漂う“空気”ってこういう感じなんだな」と妙に納得したんですよね。

あと単純に、このやり取りが面白かったので、のちに同じ年代の友人たちとご飯をした時に、嬉々としてこのネタを披露すると、みんなどっかんどっかん笑ってくれました。

それだけでも価値はあった。
今思い出しても、かなり好きなエピソードです。

海外経験は「強み」なのに、時々「宙に浮く」

帰国後の転職で感じたのは、「海外経験」は武器にもなるけれど、同時に“扱いが難しい経歴”にもなるということでした。

特に人事って、その国独自の制度や法律、商習慣との結びつきが強い仕事です。

だから、「経験があります」が、そのままスライドしない。

英語ができる。
グローバル環境で働いてきた。
多様性のある組織で調整してきた。

それは確かに価値がある。

でも一方で、日本企業側から見ると、
「日本の労務は?」
「日本式の採用オペレーションは?」
「日本企業の空気感は?」
という確認が入る。

これは責められているわけではなく、単純に“経験の変換作業”が必要なんですよね。

でも、その変換って、想像以上にエネルギーを使います。

しかも年齢が上がると、「経験豊富であるはず」という前提も加わる。

だから、「実績はあるのに、未経験寄りとして扱われる」という、ちょっと不思議な状況が起きるんです。

「20〜30代活躍中!」の空気

転職サイトを見ていると、ありますよね。

「若手活躍中」
「20〜30代中心」
「フレッシュな環境」
「活気のあるチーム」

もちろん、企業側にも事情があります。

長く働いてほしい。
カルチャーに合う人を採用したい。
組織の年齢バランスを整えたい。

それ自体は自然なことです。

でも40代、50代になると、この“言葉そのもの”より、“言葉の奥にある空気”を敏感に感じるようになります。

「あ、ここは自分じゃないのかも」

そう思う瞬間が増える。

しかも厄介なのは、誰も明確には拒絶していないことです。

「年齢で落とします」とは言わない。

でも、なんとなく伝わる。
あの独特の空気。
これは年齢を重ねた人だけがわかる感覚かもしれません。

悪意はない。でも、刺さる

今回の件、私はかなり面白かったんです。

“元気な20〜30代女性と働きたいディレクター”というワードの破壊力。
しかも、それを50手前の私に「ぴったりです!」と紹介してくる流れ。

コントみたいでした。

でも同時に、「ああ、転職市場って、こういう空気あるよな」と妙に納得もしました。

特に女性は、年齢に対して「透明な圧力」を感じやすい気がします。

男性だと「経験豊富ですね」に変換される年齢が、女性だと「若いチームに合うかな?」に変換される。

もちろん全部の会社ではありません。

でも、存在するのも事実です。

年齢は「不利」ではなく、「文脈」になる

同じ年代の履歴書や職務経歴書の添削をしていると、「年齢をどう隠すか」が、うっすら見えてくる書類に出会うことがあります

若く見せる。
柔らかく見せる。
“古くない人”に見せる。

もちろん、その気持ちはすごくわかるんです。

転職市場には、どうしても「若いほうが有利かも」という空気があるから。

でもわたしは最近、「年齢って、不利というより、“文脈”なんだな」と思っています。

例えば20代には、20代にしか出せない魅力があります。

勢い。
吸収力。
怖さを知らない突破力。

それは本当に素晴らしい。

でも40代、50代には別の強みがあります。

場の空気を読む力。
修羅場耐性。
感情の処理能力。
「まあ、なんとかなる」を知っている感覚。

そして何より、“人を見る目”。

人事をやっていると特に感じますが、組織って、能力だけでは回りません。

安心感とか。
信頼感とか。
感情の安定とか。

実はそういうものが、チームを支えている。

年齢を重ねると、その価値が少しずつ育つんですよね。

もちろん、年齢だけで価値が生まれるわけではありません。

アップデートを止めたら厳しい。
学び続ける必要もある。

でも逆に言えば、「若さ」だけで通用する期間も、そんなに長くないのです。

あの日、笑えてよかった

もしあの時、本気で傷ついていたら、たぶん私はこの記事を書けなかったと思います。

でも、ちょっと・・・どころではなく、とても笑えた。

「いやいや、そっちかーい!」って。

その“笑える余白”が、年齢を重ねることの良さなのかもしれません。
「まあ、そういうこともあるよね」と、一歩引いて見られる。

もちろん、モヤモヤがゼロなわけではありません。

でも、モヤモヤを“自分の価値”に直結させなくなった。

それは年齢のおかげかもしれません。

最後に

40代、50代の転職って、時々、静かにメンタルを削られます。

誰も悪気はない。
でも、なんとなく感じる。
「あ、若い人が欲しいんだな」
という空気。

ただ、それを感じたからといって、あなたの価値が下がるわけではありません。

市場には“合う場所”と“合わない場所”があるだけです。

そして年齢を重ねた私たちは、若い頃より少しだけ、その見極めがうまくなっています。

ちなみに私は今でも、「元気な20〜30代女性と働きたいディレクター」の話を思い出すと笑います。

いや、ほんと、紹介する相手をちゃんと見てから電話してほしい。

でも、ネタとしては100点でした。

もし最近、求人票を見てちょっと疲れていた方がいたら。

「わかるわ〜」って、少し笑ってもらえたらうれしいです。

そしてまた、ぼちぼちいきましょう。

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