雑記【掌編小説】昆布グミ
こんにちは、或いはこんばんは。まりんです。
今回は『宇宙』『カレンダー』『昆布』の三題と
『受付で待ってますね』の一台詞です。
はらとけい様の企画にお邪魔しました。
僕は朝一番に日めくりカレンダーを一枚剥がした。月の満ち欠けとか、六曜とか、今ではあんまり重要じゃない文字を見ながら丸めてゴミ箱に捨てる。
会社に着くと真っ直ぐ自分の課に歩みを進める。『新製品開発部』と札が掛けられている。
「おはようございまーす。」
先に来ていた同僚に声をかける。
「あ、おはよう。そういえば受付の人がお前探してたぞ。『受付で待ってますね』って。なにかやらかしたんか?」
「特になんにもしてませんよ。人聞きの悪い。」
そう言って開発準備途中の『昆布だけの味がするグミ』の実験に取り掛かった。今日もイマイチの出来で、方向転換した方がいいんじゃないかと思い始めてきた。
仕事が終わって、受付に顔を出し、仕事が終わった旨を伝えた。小走りでやってきた女性と会社を出た。そう、社内恋愛だ。本来、規則では認められていないが一目見た時には遅かった。可憐で可愛らしいその子に告白をし、付き合ってもらうことが出来た。
今日のデートはプラネタリウム。宇宙の不思議を彼女と体験するのも悪くない。そのあと少し散歩して、ディナーの予約をしてあった店に向かう。
「さっきのお月様の満ち欠けとか、お星様の煌めきとか、すごく綺麗でした。」
まだ興奮した状態の彼女が言った。僕は今朝丸めた日めくりカレンダーを思い出しながら、今日の月が下限の月である事を彼女に伝えた。彼女はこんな小さな事でもちゃんと喜んでくれる。
ディナーは終始楽しく進んだ。美味しいワインも飲んだからか、少しだけ気が大きくなっていた。僕はずっと温めていた小さなケースを開き、跪いた。
彼女の顔が驚きから笑顔になる。お店の中の人も拍手して祝ってくれた。指輪をそっと嵌め、僕たちは抱きしめあった。
次の日、また日めくりカレンダーを一枚剥がす。でもこの一枚は丸めて捨てる事ができず、大事なものを入れているケースにしまった。
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