温かいミルクティー、ロジャーニコルス

自販機の飲み物はスーパーのそれに比べて高価で損だとは分かっていながらも自動販売機で飲み物を買ってしまうことが多々ある。自販機で飲み物を買うときというのは、「飲み物がない」とか「飲み物を買う場所が近くにない」とかでもないのに買ってしまうもので、むしろそれは運命や定めとかいうものに近い。損だと自分では分かっていながら、何か大きい他の抗いようがない力によって私は買わされているのである。私は自動販売機のマリオネットです。
また、自動販売機は妥当な値段で販売しているという考え方もできる。遊園地にまで行ってご飯が高いだの値段が見合ってないだの嘆くのはナンセンスで野暮だし、そもそも間違っている。遊園地は誰か大切な人と、あるいは一人でも構わないが、なんか楽しい場所でご飯を食べたという思い出まで含めてその値段なのである。それにアミューズメントパークでの値段の高い食べ物は現実味に欠けて「夢」感が増幅される。自販機も要は同じことである。先ず自販機が高いと言うのは野暮だし、そもそも自販機で買う体験まで含めて値段が決められているのである。それに何よりも自販機で飲み物を買っているときは現実のしがらみから少し解放される気がする。後ろに人が並んでいないときに限ってだが、自分のペースでゆっくり買う飲み物の選ぶことのできるのは現代社会の忙しない感覚の正反対に位置している。その感覚はなぜか自販機にしかなく、スーパーやコンビニで飲み物を選ぶときにはいつも通りあの忙しなさが付きまとう。つまり、その恩恵を含めての値段だからある意味では妥当なのである。
今日も自動販売機で飲み物を買ってしまった。三、四人くらいのJKの集団が自販機で温かい飲み物を買って、あまりの熱さにはしゃいでいたのを見てしまったのがいけなかった。この末端冷え性は幾ら払ってでもどうにか温かい飲み物を飲む必要があった。自販機を見てみると、普通は温かい飲み物は150mlのが多いのに、珍しいことに500ml規格の温かいミルクティーがあったのも運が悪かった。160円を払って商品を取り出してみるとそのミルクティーはぬるいと形容しても差し支えないほど控えめな暖かさだった。仕方ないからそのまま手に持って末端を温め続けていた。飲んでみると流石に胃が温まったが、五分もすると飲んでみても元々温かかったんだか冷たかったんだかわかんないほど冷めてしまった。しかし、クソ甘いのは好きなので馬鹿みたいに甘いそのミルクティーは気に入った。


そういえば昨日も自販機で飲み物を買ってしまっていた。私は自販機の場所によって買うものを変えているのだが、いつも買う飲み物と同じシリーズの飲み物が売り切れていたのを勘違いしたせいで、いつもと違う何かしらのお茶でも買っていたような気がする。今思い返すとなんだか昨日は一日中ボーっとしていた気がする。
理由は果たして昨日聴いた音楽にあった。

Roger Nichols & Small Circle of Friends『Roger Nichols & Small Circle of Friends』

Roger Nichols & Small Circle of Friendsの『Roger Nichols & Small Circle of Friends』というアルバム。
そもそも私はアルバムを通しで聴くのができない。Z世代だし、その中でも私は飛び抜けて集中力がない自信がある。それに、一度通して聴いただけではちゃんと覚えられなくって、又通して聴く度に「こんな曲あったっけ?」と云うけしからん発見をしてしまう。それでもずっと通しで聴いたら楽しいだろうなと思っていたのもRoger Nichols & Small Circle of Friendsの『Roger Nichols & Small Circle of Friends』。昨日初めて通して聴いてみた。
アルバム全体とても好きだった。アルバムを聴いた日は、フェードアウトを多用していることもあってか、一日中ヒッピーのお花畑に迷い込んだみたく、目に映る頭に浮かぶ全ての像がぼんやりした。薬物をやったらこんな感じなんだろうなとも思ったし、歓びとか倖せみたいのはこういうことをいうんだろうなって理解かった様な気さえした。というのも相まって今回のは特にアルバムの内容を全く覚えていない。今日又通しで聴いてみたのだが、知らない曲ばかりで楽しい。ある意味私は幸せ者だ。そんな状況下でもかろうじて印象に残っている曲を紹介する。

Don't Take Your Time

ちょっとイントロカッコ良すぎる。
曲の印象としてはアルバムの他の曲のとは少し違うものがあった。いい意味でとてもキャッチーだし、他のテンポの速い曲に比べて暗さの方向も明るさの方向も全然違うような気もした。なんかテンポの遅い曲の印象をそのまま速い曲に持ってきたかのような。でも、そんな中でもオープニングトラックらしくアルバム全体のイメージを示す里程標となる曲になっているのがすごい。

With A Little Help From My Friends

二曲目にカバー曲を入れてくる度胸も素晴らしいが、中でもビートルズのWith A Little Help From My Friendsのカバーなのが又好い。しかもめちゃくちゃ好いアレンジ。本家の感覚を崩してないけれど、このアルバムっぽさも入れてきたりみたいなバランスが半端ない。

I'll Be Back

こんなこと言うのは失礼だけど、同主調転調とか多用するところとかあまりにも「恋は水色」すぎる。まあどっちイージーリスニングというジャンルは一緒なんだけど。
聴いた最初の印象は悲しい感じ。雨に打たれてるかのよう。だけど"I'll be back again"で、滲むような暖かさに包まれる。けどその温もりももしかしたら嘘なのかもしれない感じもする。多分失恋の歌だから解釈はそこまで大きくずれてないと思うんだけど。

さっきも言ったけど、とにかく幸せになれるような気がするアルバム。聴いてみてください。

こうちこでした
それではみなさんお元気で

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