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日常から学ぶ「選ばれる理由」研究室 #002


なぜ、人は「創刊号のパーツ」を手にとると、最後まで買い続けてしまうのか?


今回は「デアゴスティーニ」と「未完成の心理」です。

今日も研究室へようこそ☕
コーヒー片手に、今日もブランディングと行動経済学の視点から、一緒に「選ばれる理由」を探していきましょう☕




まず、前回の研究では、おしり探偵が「おしりを探す体験」を通じて最初の一歩を軽くし、子どもたちを自然と物語へ引き込んでいる(エンダウド・プログレス効果)というお話をしました。

最後に「なぜ、人は『全部集めたい』『途中でやめられない』と思ってしまうのか?」という謎を投げかけましたが、今回はその答えに迫っていきます。

日常を見渡してみると、子ども向けアニメだけでなく、大人の世界でも「途中でやめられなくなる仕組み」が見事に組み込まれているビジネスがあります。

その代表例が「デアゴスティーニ(週刊〇〇をつくる)」です。

パーツが毎号少しずつ届き、1本大型の船や車を完成させるあの雑誌。 冷静に計算すると、完成品をそのまま買うよりはるかに高額で、期間も数年に及びます。

それなのに、なぜ人は「最初のパーツ」を手にした瞬間から、途中で解約できずに最後まで買い続けてしまうのでしょうか。

そこには、人の心を動かす「未完成の心理」が隠されています。



行動経済学の視点:脳は「未完成」を記憶し続ける

ここからは行動経済学の視点で、この現象を読み解いていきます。

人が「あと少しで完成するのに、まだ終わっていない」と感じたときに働く心理を、「ツァイガルニク効果」と呼びます。

人間は、すでに達成したこと(完成したもの)よりも、「途中で終わっていること」「未完成なもの」に対して強い記憶と執着を持ち続けるという性質があります。

デアゴスティーニの創刊号(特別価格)を購入すると、手元に「船の船底だけ」や「車のフロントマスクだけ」という未完成のパーツが残ります。

この瞬間、脳の中に「これはまだ未完成のプロジェクトだ」という意識(良好なストレス・モヤモヤ)が強く刻まれます。

• 1話完結の完成された商品 = 「満足して終了(記憶から消える)」
• 1つのパーツしかない状態 = 「完成させなきゃ!」というツァイガルニク効果が発生する

さらにここに重なるのが、「コンプリート効果(完成への欲求)」です。

人は「揃いかけたもの」を見ると、どうしても100%完璧に揃えてスッキリしたくなる生き物です。 未完成のパーツが手元にあるモヤモヤを解消したくて、気づけば毎号買い続け、最後まで揃えてしまうのです。



ブランディングの視点:「完璧すぎる提供」が、逆に読者を離れさせる

ここから少し視点を変えて、これを「私たちの発信やブランド」に置き換えて考えてみます。

私たちは商品をアピールしたり、自分の考えを発信したりするとき、ついつい「最初から100%完璧な答え」をすべて渡そうとしていませんか?

• ノウハウを1から10までその場で教え切る
• 相手が考える隙間もないほど完璧な正解を提示する

一見、とても親切で価値があるように思えます。

しかし、ブランディングの視点で見ると、「完璧に与えられすぎたもの」は、相手の記憶に残りにくいという弱点があります。

なぜなら、受け手の中に「未完成の余白(ツァイガルニク効果)」が生まれないため、「続きが気になる」「もっと関わりたい」という感情が発生しないからです。

選ばれ続けるブランドや発信者は、あえて「相手が関わるための未完成の余白」を残しています。

• 一方的に答えを教えるのではなく、「あなたならどうする?」という問いで終わる
• 投稿の最後に「次の話」につながる小さな伏線を置いておく
• 顧客が自分の頭で考えて「100%」に完成させる参加型の体験を用意する

すべてを教え切って満足させるのではなく、「相手に続きを考えさせる余白をつくること」

それがあるからこそ、相手の頭の中にあなたという存在が残り続け、「またあの人の発信を見に行こう」と引き寄せられるのです。



今日の研究を、自分に置き換えてみると

今回の研究で見えてきたのは、「未完成の余白が、相手の関心と行動を惹きつけ続ける」という事実。

自分の発信やサービスを振り返ったとき、

• 「1から10まで教え切って、相手を満足させて終わりにしていないか?」

• 「相手の脳内に『続きが気になる』と思わせる未完成の問い(創刊号のパーツ)があるか?」

一度、自分の投稿やサービス設計を見直してみると面白いかもしれません。

完璧なノウハウを一方的に届けるのではなく、「一緒に続きを追いかけたくなる余白」を設計する。 それが、タイムラインの渦の中で埋もれず、選ばれ続けるための強力な武器になります。

今日の研究はここまでです。

次回は、人が商品や発信を選んだあとに起きる「一度決めた選択を、自分自身で正当化しようとする心理」について研究していきます。

また次回の研究室でお会いしましょう☕️


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