見出し画像

最近聴いているアルバム2026.02

今月も昔聴いてた懐かしのアルバムに浸る懐古回。


New Order 『Technique』 (1989)

“Round & Round”

4thまでの彼らの作品は、単なる音楽ではなく、苦悩と情けなさをさらけ出しながら成長していく姿を記録したドキュメンタリーであった。迷いながら闇雲に突き進むその姿こそがリスナーを感化し、頭脳にも筋肉にも依拠しない第三の選択肢をもたらしたわけだが、この5thはその後の話。つまり、自信に満ち溢れているし、スムーズに肉体に訴えかけるし、歌詞には他者や社会を見る余裕まで出てきている。完成度という意味ではキャリアハイだし私もこれが一番好きではあるけど、このバンドの前述の魅力を考えると、やはり代表作は2ndに譲るだろう。単純な出来だけでは測れない魅力がこのバンドにはあって、それこそを私たちはインディロックと呼ぶ。


Gene 『Olympian』(1995)

“London, Can You Wait”

ブリットポップ全盛期に「The Smithsのパクリ」と言われながらデビューしたバンド。やたらメランコリックなメロディや声質、なんかゴチャゴチャしてスッキリしないギターのオブリなど確かにThe Smithsとそっくりだが、もっとストレートで屈託が無い。「癖の無さ」「普通さ」が長所になっている。The Smiths的なのを聴きたいけどモリッシーが好きじゃない人(=私)には打ってつけ。私はGeneとPale Fotntainsがいるからモリッシーの声を聴かずに済んでいる(何だそれ)。


Elbow『Asleep In The Back』 (2001)

“Powder Blue”

DovesやBadly Drawn Boyと並び、2000年前後の暗いUKロックバンドの代表例。このバンドが他と違うのは、ロックにもポップにも全く拘泥していない点。既存のフォーマットには目もくれず、自分たちのアートフォームを磨くことしか考えていない。そういう意味ではDamon Albarnが『13』『Think Tank』そして『Gorillaz』でやろうとしていたことと極めて近い。いきなりとんでもなく美しいメロディがぶっきらぼうに出てくるところも似ている。5thくらいからはいかにもな「英国紳士(オジサン)音楽」に傾倒していくが、何をやっているのかよく分からないのに洗練されていたこの時期はどうにも魅力的。


Death Cab For Cutie 『Plans』 (2005)

“Soul Meets Body”

メジャーレーベルに移って初のアルバム。制作時はレーベルからのプレッシャーがジワジワと首を絞めていたのでいっそ短期間でパパッと作ったとも言われているが、にわかには信じがたい。金や時間など全く存在しない理想の世界でじっくり作られた珠玉の美しさがある。だいたい、曲が良すぎる。雰囲気重視・変な実験重視でリスナーを置いてきぼりにしてドヤ顔したりすることが、本作には一切無い。目先の斬新さではなく、こういう真摯な作品こそ我々は語り継ぎ、聴き続けるべきなのだ。


The Enemy 『We'll Live And Die In These Towns』 (2007)

“Away From Here”

ガレージ系バンドが00年代中盤のイギリスには大量発生したわけだが、真打ちとみなされていたのがThe Enemy。労働者階級の鬱憤と反骨心をストレートに描く歌詞が人気を集め、メディアからは「オアシス並み、アクモン以上」と評され、そして全英初登場1位を記録。今聴くとソングライティングも演奏も歌詞もかなり凡庸だが、熱さだけはあった。確かに当時はその熱さだけで十分な時代ではあった。しかし2ndで方向性を間違えとんでもない駄作を生み、ファンを完全に白けさせたのだが、それは割愛。


Linkin Park 『A Thousand Suns』 (2010)

“The Catalyst”

かなり大冒険したなと思う。前作でがっかりしたファンが相当数いたことも踏まえると、こんなにリスクを取らなくてもよかったのではと部外者としては思ってしまうが、当時のChesterとMikeは常に革新を求める焦燥に駆られていたのだろう。Pink Floydが完成させRadioheadが発展させたコンセプチュアルな方法論をNIN風の音も交えながら30 Seconds To Mars風の大仰なスケールで再編成するような作風なので、目新しさは無い。曲自体の出来もここまでの4枚の中では一番弱い。同じ年の30STMのアルバムの方が同じようなことを遥かに大きなスケールでやっていたのも、運が悪かった。ということで物足りなさはあるが、このアルバムの聴きどころはその滾る意欲にこそあるだろう。そこを楽しめるかどうか。


The Smashing Punpkins 『Monument To An Elegy』 (2014)

“Being Beige”

Tommy Leeのドラムが良いとか悪いとかギターが軽いとか言われるアルバムだが、そもそもギターとドラムを強調するミックスには全く聴こえない。では何を強調したのかというとボーカルメロディを中心としたニューウェーヴ面のソフトさだと思うけど、肝心のメロディがそこまで良くない。別に決して悪くはないけど、主役を張るには弱い。ということでどの要素も目立てぬまま主役不在で進み、気付いたら終わっている、何が売りなのか分からない、掴みどころの無いアルバム。


Darlia 『Petals』 (2015)

“Stars Are Aligned”

UKブラックプール出身バンドのデビューミニアルバム。私が知る限り、結局デビュー作はリリースされていないと思うが、それでもこのバンドのことを思い出してしまうのはこのミニアルバムに込められたポテンシャルが群を抜いていたから。1994年生まれ、12歳でNirvanaに出会い、18歳でOasisに出会った(17歳まで聴いてなかったのが不思議)というNathan Dayの書く曲には、まさにその両バンドを思わせる大物の風格が宿っていた。ルックスも含めカリスマ性も満点だった。当時私は大学生2年生だったが、2013年のThe 1975, Peace、2014年のRoyal Blood、そして同年のWolf Alice, Nothing But Thievesに続いてこのバンドが出てきたときにはUKロック始まったなと思った記憶が今でも鮮明にある(その時ダントツで頼りなかったWolf Aliceが今じゃ一番良いバンドになったからロックはやっぱ不思議)。


■新譜

Puma Blueは目新しさこそないけど、彼の得意なソウルジャズ風トリップホップが完成形に近づいた佳作。次はもっと過激なものも聴いてみたい。Silversun Pickupsはもう復活無理だなと思わせるダメダメな出来だった。Nothingはグランジゲイズバンドが春の虫のように湧いてあふれる2026年においてもまだまだ一線級だと示すのに十分な佳作。グランジゲイズバンドがこぞって参照するSlowdive風のドリーミー/ゴシック方面ではなく、技巧と攻撃性に依拠しているのがいかにもMBVの薫陶を受けたNothingらしい(昨年のWhirrもそうだった)。Deathcrashはかなり分かりやすい作風に舵を切ってきた。高偏差値を捨て、なりふり構わず感情に訴えてきた感じがして、かなり好感触。Bill Ryder-Jonesの2015年・2018年の名盤、あるいは00年代のThe Nationalにも近い感覚。



いいなと思ったら応援しよう!