Salesforceやkintoneの導入ベンダーは「画面がダサい」と悩んでいる。彼らの弱点であるUIデザインを請け負い、開発案件のフロントエンドだけをごっそり奪う「コバンザメ営業術」
■ はじめに: なぜ、数千万円のシステムは「使いにくい」のか
「御社の基幹システム、使い勝手はどうですか?」
そう聞かれて、「最高です。毎日使うのが楽しみです」と答える社員はいません。
大抵は、「画面が古臭い」「どこに何があるかわからない」「スマホで見ると崩れる」と不満を漏らします。
黒字化の外科医です。
世の中のBtoBシステムや業務アプリは、驚くほど「ダサい」です。
それは、作っているのが「システム開発会社(SIer)」だからです。
彼らは「機能要件(データが正しく保存されるか、計算が合うか)」を満たすことには命をかけますが、「非機能要件(使いやすさ、見た目の美しさ)」には全く関心がありません。
エンジニアが配置した、初期設定のままのグレーのボタン、整列されていない入力フォーム、意味不明なエラーメッセージ。
これが、数千万円かけて納品されるシステムの正体です。
しかし、時代は変わりました。
発注側の担当者が「デジタルネイティブ世代」になり、普段使っているiPhoneアプリやSaaSのような「直感的で美しいUI(ユーザーインターフェース)」を求めるようになったのです。
今、SIerは焦っています。
コンペで「機能は御社の方がいいけど、画面が古臭いから、使いやすそうなB社にします」と言われて負けるケースが増えているからです。
彼らは喉から手が出るほど「デザイン力」を求めています。
しかし、彼らの社内にはデザイナーがいません。文化が違うので採用もできません。
ここに、Web制作会社の勝機があります。
競合ひしめくWeb制作のコンペで戦うのをやめ、デザイン難民となっているSIerの背中に「コバンザメ」のように張り付くのです。
「機能やデータベースは御社が作ってください。我々は、その表面(UI)だけを最高に使いやすくデザインし、実装まで行います」
この提案は、彼らにとって渡りに船です。
あなたは、自社で営業することなく、SIerが持ってくる大型案件の「一番おいしい部分(フロントエンド)」だけを、高単価で受注できるようになります。
今日は、SaaSベンダーやSIerを「最強の営業パートナー」に変える、コバンザメ営業術についてお話しします。
■ 第1章: 狙い目は「kintone」と「Salesforce」のカスタマイズ
システム開発といっても、全てがターゲットではありません。
フルスクラッチの基幹システムは、技術的ハードルが高すぎます。
狙うべきは、ローコード/ノーコードツールとして普及している「kintone」と「Salesforce」の導入案件です。
これらのツールは、標準機能のままだと、どうしても「管理画面っぽい無機質な見た目」になります。
社内だけで使うならそれでもいいでしょう。
しかし、以下のようなケースでは、標準デザインでは通用しません。
* 会員向けマイページ(顧客ポータル)
SalesforceのExperience Cloudを使って、顧客がログインして契約内容を確認したり、問い合わせたりするサイトを作る場合。ブランドイメージに関わるため、リッチなデザインが求められます。
* 現場向け入力アプリ
建設現場や営業先から、スマホで日報をkintoneに入力する場合。ボタンが小さかったり、文字が細かかったりすると、現場の職人が使ってくれません。
ここで、SIerは困るのです。
「kintoneの機能でアプリは作れるが、お客様が求める『スマホアプリ風のオシャレな画面』は作れない」
「CSSやJavaScriptをごりごり書けばできるらしいが、ウチのエンジニアはJavaしか書けない」
そこに、あなたが現れるのです。
「我々は、kintoneのAPIとReactを使って、見た目はネイティブアプリ、裏側はkintoneというUIを構築できます」
この一言で、勝負ありです。
■ 第2章: 「デザイン」だけ納品してはいけない
ここで注意点があります。
SIerと協業する際、絶対に「デザインカンプ(FigmaやXDデータ)」だけを納品して終わらせてはいけません。
なぜなら、SIerのエンジニアは、そのカンプを再現(コーディング)できないからです。
Web制作会社にとっては常識的な「レスポンシブ対応」や「ホバーアニメーション」、「フレックスボックスでのレイアウト」も、サーバーサイドエンジニアにとっては未知の領域です。
カンプだけ渡されても、「こんな複雑なレイアウト、実装できません」と突き返されるか、出来上がったものがカンプと全然違うものになります。
だからこそ、あなたは「フロントエンド実装(HTML/CSS/JavaScript)」までセットで請け負う必要があります。
「御社のエンジニアは、APIを用意してデータを受け渡しする口だけ作ってください。画面の挙動と見た目は、我々がVue.js(またはReact)で完全に実装して納品します」
ここまでやるからこそ、SIerは安心して任せられるのです。
そして、実装まで請け負うことで、受注単価は跳ね上がります。
デザイン費100万円、フロントエンド開発費400万円。合計500万円。
Webサイトを作るより、遥かに効率の良い仕事になります。
■ 第3章: SIerの下請けではなく「パートナー」になる
SIerとの付き合い方で最も重要なのは、「下請け扱いされないこと」です。
SIerの下請け構造(人月商売)に組み込まれると、「Webデザイナーの人月単価は60万円ね」と買い叩かれます。
これでは意味がありません。
あなたは「UI/UXコンサルティング・パートナー」という立ち位置を確立しなければなりません。
見積もりの出し方を変えるのです。
「人月」ではなく「成果物単位(画面数や機能数)」で見積もります。
あるいは、「UI設計費」として定価を提示します。
そして、SIerの営業担当にこう教育するのです。
「御社のシステム見積もりに、弊社の『UI/UXデザインオプション』を別項目で乗せてください。これを入れるだけで、御社のシステムの付加価値が上がり、競合他社との差別化になります。利益も乗せてもらって構いません」
彼らにとって、あなたはコストではなく「売り物(商材)」になります。
「ウチのシステムは高いですが、UIが最高なので現場が使いこなせます」というセールストークを彼らに授けるのです。
■ 第4章: 協業の入り口は「無料UI診断」
では、どうやってSIerにアプローチするか。
いきなり「協業しませんか」とメールしても無視されます。
彼らも忙しいからです。
効果的なのは、「現在進行形の案件」に入り込むことです。
SIerのWebサイトや導入事例を見て、ターゲットを絞ります。
そして、「御社の開発実績にある〇〇システムですが、UIを少し改善するだけで、もっと使いやすくなります。勝手ながら改善案(Before/After)を作ってみました」と送るのです。
あるいは、SIer向けのセミナーを開催します。
「なぜ、御社のシステムは『使いにくい』と言われるのか? エンジニアが知らないUIデザインの基本」
こんなタイトルのセミナーには、SIerのPMや営業がこぞって参加します。
そこで、「デザインは餅は餅屋に任せましょう」と説くのです。
一度入り込んで信頼を得れば、あとは彼らが勝手に案件を運んできてくれます。
SIerは一度付き合ったパートナーを変えるのを嫌います(スイッチングコストが高いから)。
一度の成功が、向こう10年の安定受注を約束します。
さて、コバンザメ戦略の全貌は見えました。
しかし、実際にSIerに提案に行こうとすると、
「どんな資料を見せれば、彼らは納得する?」
「技術的な役割分担(API連携など)はどう握ればいい?」
「契約書で知財(著作権)はどう扱う?」
といった実務の壁が立ちはだかります。
ここから先のエリアでは、私が実際にSIerとのアライアンスを締結し、年間1億円以上の開発案件を受注している「SaaSベンダー協業・実務キット」を公開します。
Web制作とは違う、システム業界の作法に則ったツール群です。
内容は以下の通りです。
* 【PowerPoint】SIerが顧客にそのまま提案できる「ホワイトラベル型・UI/UX強化サービス案内」
あなたの会社名を伏せて、SIerの自社サービスとして顧客に提案できる資料。「なぜデザインが必要か」をロジックで解説し、デザイン費の予算を確保させるための啓蒙スライド。
* 【図解】責任分界点を明確にする「フロントエンド/バックエンド役割分担表」
APIの仕様策定、バリデーションチェック、エラーハンドリングなど、どこまでがWeb制作会社で、どこからがSIerの責任かを定義した、トラブル防止のための技術仕様書雛形。
* 【契約書】SIerとの「基本取引契約書(知財特約付き)」
システム開発特有の「瑕疵担保責任」や「著作権の帰属」について、Web制作会社が不利にならないように(デザインデータの流用を防ぐように)設計された契約書テンプレート。
* 【リスト】協業しやすい「中堅SIer・SaaSベンダー」の特徴と探し方
大手NTTデータ等を狙っても無理です。狙い目は「従業員50〜300名」「特定業界に強いパッケージを持っている」会社。具体的な検索クエリとアプローチ方法。
以下のテキストや図解をコピーして、提案資料や契約書に貼り付けるだけで、明日からSIerへの営業を開始できます。
デザインという武器を持って、システム開発という巨大な予算の山に登りましょう。
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