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短編小説『魔法の鏡 8』

楽しく、張りのある生活、
重要ポストにおさまった生活を
手放す時が着々と近づいてきました。
後一週間でこの生活も終わりです。

しかし今回、鏡のおかげで蓄えはできました。
随分と一年間でお金を貯めることができたのです。
楽しかったし、ハリもあったし、
しかも世間からも認められました。

このような生活を、例え一年間だけでも味わえたことで、
私は鏡の生活をこれきりにできると考えていました。
そして、丁寧に鏡を包装して、契約書を持ち、
あの懐かしい街にある古道具屋に行ったのです。

ご主人は相変わらず怪しい笑顔で、私を迎えてくれました。

「いらっしゃいませ、いかがでしたか?
鏡の効果はご満足いただけましたか?」と、言いました。私は、

「はい、おかげさまで。
十分に堪能させていただきました。
ありがとうございました。契約書と鏡です。」と、

丁寧にご主人の前におきました。ご主人は、

「ありがとうございました。
さて、次の鏡はそちらですが〜、、、」と、

壁にかかっている鏡に顔を向けて、
ご主人が言いました。私は、

「えっ!まだ先の鏡があるのですか?」と、

ご主人の指さす方を見ると、なんと、
この飾りは光り輝くダイヤモンド!

これほどの豪華な鏡がどこにあるでしょうか!
美しさに目が離せませんでした。
私は鏡に見惚れていたようでした。ご主人は、

「この鏡はレンタルです。期間は一年間です。
料金は1年で1千万円です。」と、自信満々に言いました。私は、

「1千万円!!!私には無理だと思いますが、、、!
こ、効果を教えていただけますか?」と震えながら、尋ねました。ご主人は、

「この鏡は周りを、ダイヤモンドで装飾しております。
ダイヤモンドは硬度が高いことはご存知でしょう。
この鏡は、1日に一度、願いを叶えてくれます。
約束はダイヤモンドの如く硬いのです。
必ず、朝の願いを叶えてくれる鏡なのです。」と、

100人を前にしているように力説をしました。

そして、私はまたもやハマってしまいました。
今だったら、1千万円は払える、、、。
迷いました〜、しかし、迷った割にはすぐに、

「契約をお願いいたします。
あの、あの、振込みで良いでしょうか?
よ、よろしくお願いいたします。」と、

了承を得て、手続きをしてしまったのです。

手続きがすっかり終わると、ご主人が、

「この鏡については、注意がございます。
よく聞いてください。」と、言い出しました。

「朝、願い事をします。すると、鏡が了承した時には
周りのダイヤモンドがキラキラと輝き出します。
願い事は1日一回です。
うっかり鏡の側で呟いたりしないことです。
どんな呟きでも鏡は願い事だと判断します。
ご注意ください。
無闇にこの鏡の側では、
余計なことは言わないことです。
これだけはよく覚えておいてください。」と、念を押し、

「では、良い一年間をお過ごしください。
また、返却日にお会いいたしましょう。
ではありがとうございました。」と、

ご主人の言葉に見送られ、
鏡をしっかり持って、私は家路につきました。


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