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僕とDECOとヘラクレスの栄光と:ドラクエⅡの後にやってきた、秋刀魚とトンカツを食らう規格外の漢!の巻。

『ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々』が発売された1987年。当時はまだファミコンRPGの黎明期でした。ドラクエⅡの圧倒的な楽しさ(そして、あのロンダルキアの容赦ない厳しさ……)を知ってしまった僕は、完全にRPGの虜。次なる冒険を今か今かと、首を長くして待っていました。

そんな僕の前に、ドラクエⅡから約半年という絶妙なタイミングで「ヤツ」は現れたのです。

……そう、いかついタイトルを引っ提げた『闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光』がね!

「こいつぁ違げぇぜ!」節々から溢れ出すDECOイズム

まず、店頭で目を引いたのがパッケージイラストです。そこに描かれていたのは、腰布一枚で剣を振りかぶる半裸の男と、その背後で腰にしなを作ったポーズの美女、そして背景にいるメデューサ様。インパクトがありすぎて、思わず二度見しました。ブルワーカー(流行りましたね)の広告かとオモタ!

この『ヘラクレスの栄光』をリリースしたのが、データイースト(以下DECO)という会社でした。当時の僕はまだDECOのことをよく知らなくて、「バギーホッパーをちょっと遊んだことがあるな」という程度。まさか後年、「ヘンなゲームならまかせとけ!」という強烈すぎるキャッチコピーとともに、エッジの効きまくった個性派ゲームを連発するこの会社に、自分がぞっこんになっていくなんて、この時は知る由もありませんでした。

パッケージのインパクトに当てられつつ、期待に胸を膨らませてカセットをファミコンに差し込みました。

画面に映し出されたのは、タイトル画面を優雅に舞うペガサス。そしてゲームを始めると、古代ギリシャ神話の世界観をモチーフにした、原色バリバリのサイケデリックなワールドが広がっていました。

「こいつぁ、ドラクエとは一味違げぇぜ……!」

思わず固唾を呑みました。そうです。『ヘラクレスの栄光』は、「俺はドラクエの二番煎じなんかじゃないんだぜ、へいへい!」と言わんばかりの圧倒的な個性に溢れていたのです。

何がそんなに凄かったのか、その尖りまくった個性をいくつか挙げてみましょう。

  • シームレスなオープンフィールド(?) なんと、街とフィールドが切り替わらずにそのまま地続きで繋がっている構造!

  • 顔の濃い商人たち 街の道具屋などで売買するとき、商人がバストアップのグラフィックで表示されるのですが……とにかくみんな顔が濃い!あと顔色が悪い(病)!

  • 武器・防具の耐久力システム 使っているとガシガシ消耗します。正直、当時はめちゃくちゃ面倒くさかったのですが、道中で手に入る「錆びた盾」を磨いた日にゃ、なんと素晴らしい装備に大化けするというロマンもありました。

  • アイテム扱いの神様 ゲーム中、鍛冶屋の「ヘパイトス」を雇うことができるのですが、なぜか彼の扱いは「アイテム」。売却することもできるよ!ちなみにヘパイトスって、ギリシャ神話の本物の「炎と鍛冶の神様」ですからね。神様を道具袋に入れて持ち歩く斬新さよ。

  • あまりにも生活感あふれる回復アイテム ギリシャ神話の厳かな世界観のはずなのに、体力を回復させるための道具が「秋刀魚(さんま)」「海老」「鯛」「白菜」「人参」「大根」「トンカツ」ときたもんだ! ギリシャ神話の英雄が秋刀魚(生⁈)やトンカツを食べて大喜びする姿、シュールすぎます。

  • 熱い漢の戦闘掛け声 敵と遭遇すると、画面に「ゆくぞ!」「しぶといやつめ!」「かくごしろ!」とヘラクレスのセリフが表示されます。パッケージの半裸の勇者の姿がオーバーラップ!文字だけなのに、めちゃくちゃ熱い漢のパッションを感じました。

  • ボスとの戦いと、まさかの弱点暴露
    ボスキャラクターがファミコンにしては結構大胆にアニメーションするんです。さらに戦闘中に「はなす」コマンドが使えて、話しかけると、まれに自分の弱点をうっかりゲロっちゃったりするお茶目さもありました。

  • 時代を感じるお色気(?)セリフ アマゾネスの街にいるボス・トルバのセリフ「にゃんにゃんしませんか?」と、あの悩ましいポーズ……。今振り返ると、実になんとも言えない昭和後期の香りを感じてニヤリとしてしまいます。

  • アバウトで優しい蘇生の呪文 ドラクエⅡの「復活の呪文」では一文字間違えただけで絶望のどん底に突き落とされた僕ですが、ヘラクレスの「蘇生の呪文」は、ちょっとくらい文字を間違えて適当に入力しても、結構な確率で通っちゃうんです。DECOのこの大らかな優しさには涙が出ました(でもこれでええの⁈)。

  • お馴染みのスターも参戦 なぜかDECOの看板キャラクターである「カルノフ」の面影と、その妹までゲーム内にちゃっかり登場していました。

目頭を熱くさせた『Ⅲ』の記憶、そしてまだ見ぬ『Ⅴ』へ

こうしてファミコン界に強烈な爪痕を残した『ヘラクレスの栄光』は、その後しっかりとシリーズを重ねていきました。

いわゆる「日本の3大RPG」という枠にまでは届かなかったかもしれないけれど、僕の心の中では忘れえぬ存在です。特にスーパーファミコンでリリースされた『ヘラクレスの栄光Ⅲ 神々の沈黙』は、シナリオが本当に素晴らしく、僕のこれまでのゲーム人生の中でも「最高のRPG体験」の一つ。エンディングを迎えたときは、本当に目頭が熱くなりました。もし未体験の方がいたら、今からでもスーパーファミコンの実機を買ってでもプレイしてほしいと本気でオススメしたい傑作です。

あれから長い年月が経ち、データイーストという会社は今はありません。『ヘラクレスの栄光』シリーズも、新作が途絶えて久しい状況です。

でも、寂しがってばかりはいられません。DECOが遺した数々の名作たちの版権は、現在はいくつかの会社へと受け継がれており、懐かしのタイトルの復刻や、もしかしたら新作が登場する可能性だってゼロではないそうです。

僕は今でも、まだ見ぬ『ヘラクレスの栄光V』の姿に想いを馳せています。 いつかまた、あの濃い世界観と熱いパッションで、「日本のRPGはドラクエやFFだけじゃないんだぜ!」っていうカッコいいところを、令和のゲーム界に見せつけてやってくれぃ!

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