社会を生きるためのサバイバル知識のゲーム
ゲームは楽しい。これは不思議なことだ。
ゲームの中では人は何時間でも集中できるし、何度失敗してもまた挑戦する。
それなのに本人は、それを努力だとは感じていない。
脳はゲームをしているとき、それを努力ではなく「遊び」として処理する。
だったらこの仕組みを、勉強ではなく人生に使えないだろうか。
学ぶ内容は、漢字検定でもTOEICでも数学でもない。
それらが無意味だと言いたいわけじゃない。
ただ、人生を生き抜くための知識は、ほとんど誰も教えてくれない。
社会は冷淡で、正直、辛い。
思い通りになんて、ほとんどさせてくれない。
それなのに、情報だけは甘い未来を浴びせてくる。
周りと比較され、それが当たり前だと思い込まされる。
気づかないうちに、
努力も工夫も「消耗する選択」に変えられていく。
そんな世界を、どう生きるか。
だから、人生をゲームとして設計する。
このゲームのゴールは、成功じゃない。
勝ち組になることでもない。
クリア条件は、ただこれだけだ。
死なない
詰まない
食える
壊れない
騙されにくい
派手じゃない。
でも、これを満たさなければ、どんな才能も途中で終わる。
このゲームには、二つの重要な数値がある。
ひとつはMP。社会で生きるためのリソースだ。
もうひとつはHP。心と身体。回復しなければ、確実に詰むゲージ。
まずMP。一番重要なのは、お金だ。
固定費を下げることは、攻撃じゃない。防御だ。
何もしていないのに、毎月削られていくMPを止める行為。
契約を読む。
「今だけ」「限定」に流されない。
契約を読む力は、即死トラップを避けるスキルだ。
キャッシュフローを把握する。
税と保険の意味を知る。
詐欺の匂いに気づく。
知らないと、
一撃で詰む。
次はスキル。
教養、学力、資格、人間関係、コミュニケーション。
全部を伸ばす必要はない。
使われない資格は、重たいだけのアイテムだ。
人間関係も同じで、管理しなければMPを増やすどころかHPを吸い取る。
距離感は、才能じゃない。
習得できるスキルだ。
仕事と役割。
仕事があるだけで安心してしまうと、
経験値の入らないクエストを延々と回ることになる。
仕事はMP供給源だ。
だが、内容次第で未来は大きく変わる。
家族、立場、役割。
社会でのポジションは、静かに、しかし確実にMPに影響し続ける。
そしてHP。
睡眠不足。体重管理。運動。食事。
睡眠を削ると判断力が落ちる。
判断を誤り、
余計なダメージを受ける。
プライドも同じだ。
守ってくれることもあるが、
引けなくなった瞬間、デバフになる。
HPが尽きたら、
MPは意味を失う。
では、この学びをどうやって遊ばせるか。
これは教材じゃない。
ゲームにする。
形式は対戦。
ただし、殴り合いじゃない。
主人公は双子だ。
同じ顔、同じ能力、同じ環境。
違うのは、選択だけ。
双子の一人はAIが操作する。
もう一人を、プレイヤーが操作する。
AIは長期的に有利な選択を積み重ね、
同じ条件でも安定した生活と、余裕ある人生に到達する。
プレイヤーは、その人生を横で見続ける。
成功している人が、
日常で何を習慣にしているのかを理解していく。
このAIは、敵じゃない。
責めない。
見下さない。
ただ、
「もしこうしていたら」
という可能性を、静かに見せてくる。
リアルすぎて、悲しくなるかもしれない。
でも、これはゲームだ。
現実の自分ではなく、一人の人生をどう歩ませるかを考える。
このゲームのゴールは、死ぬまでだ。
最後に表示されるのは、
得た富、
家族の人数、
友人の数、
趣味、
習得したスキル。
数字で表された、ひとつの人生。
それを見て、プレイヤーは何を感じるのか。
それこそが、このゲームの醍醐味だ。
安田 智也 (Tomoya Yasuda)

「習慣系ゲームクリエイター」
最近のゲームはみな超人。レベルUPなんてだれもしたくない。
せめてゲームの中だけでも特別になりたいのかな?
努力なき結果の享受。これぞ人間
尊敬する人・リチャード・ブランソン
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