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「見守ってと言われても、どうしていいか分からない」|親が何もできないという誤解

「お子さんの気持ちが落ち着くまで、今は少し見守りましょう」
「少し様子を見ましょう」

学校の先生や私たちのような専門家からこう言われて、行き場のない焦りを感じたことはありませんか。

頭では大事だと分かっていても、「見守る」という言葉はどうしても「何もしないこと」のように聞こえてしまうことがあります。

「学校には行けないのに、家ではゲームばかりしている。このまま放置していていいの?」
「テストの期限も迫っているのに、本当に何もしなくていいの?」

そうやって、目の前の時間だけが過ぎていくように感じられ、「何もしない自分」に対して罪悪感を抱えてしまう親御さんは、現場でも多くいらっしゃいます。

ただただ嵐が過ぎるのを待つしかないのかと、歯痒い思いを抱えているあなたに、今日お伝えしたいことがあります。

「見守る」ということは、ほったらかしにすることでも、ただ放置することでもありません。

それは何もしないことではなく、小さな変化を感じ取りながら、必要なときに動ける距離で過ごすことなのです。

元気そうに見えても、内側は揺れている

家の中で過ごすお子さんが、一見すると元気そうに見えることがあるかもしれません。好きな動画を見て笑っていたり、ゲームに夢中になっていたり。

そうした姿を見ると、「なんで学校には行けないのにゲームはできるの?」と疑問が湧くのも当然です。

しかし、私が日々現場でお子さんたちの状況を伺っていると、見えている姿とその内面にはズレがあることがよくあります。

例えば、家で元気そうに見えるときも、それは表面だけでは分からないことがあります。ある一定の安心できる環境の中で、一時的に保たれている元気さであったり、傷ついた心がこれ以上すり減らないように、好きなことで「かさぶた」を作り、なんとか自分を守っている状態であったりもします。

外からは落ち着いて見えても、内側ではまだ大きく揺れていることがあるのです。

もしそのかさぶたを、大人が「元気になったのかな」と急いで剥がしてしまったら、どうなるでしょうか。せっかく塞がりかけていた傷が、また開いてしまうかもしれません。

「急いで意味づけをしない」ということは、とても大切な姿勢です。
今の状態が「治った」のか「サボっている」のかと白黒をつけるのではなく、「今はまだ、揺れている途中なのかもしれない」と、答えを急がずにいること。

そして、ただ離れるのではなく、「いつもと違う様子に気づける距離でいる」こと。

これこそが、何もしないのとは全く違う、とても能動的で、体力のいる「見守る」という姿勢なのです。

その行動は、何から自分を守るためのものか

もう一つ、「見守る」ことがただの放置とは違う理由があります。
それは、お子さんの行動の裏側を想像できるかどうかの違いです。

ゲームばかりしている、昼夜逆転している、時には強い言葉をぶつけてくる。
親からすれば、「どうしてそんな困ったことをするの?」と問い詰めたくなる行動ばかりかもしれません。

けれど、その行動には、その子なりの意味があるかもしれないのです。

それは決して親を困らせるためではなく、これ以上傷つかないように自分を守るために起きていることもあります。

まずは「なぜこうするの?」と理由を正したくなる気持ちをぐっと堪え、「今、この子は何から心を守ろうとしているのだろう」と考えてみる。

これは、お子さんを許す・甘やかすということではありません。
「目の前の行動に一喜一憂せず、その裏側にあるかもしれない背景をただ想像する」という、親御さんにしかできない立派なサポートです。

この視点を持つだけで、お子さんとの距離感は昨日とは少し違ったものになるはずです。

今日、私にできる「小さな関わり」を選ぶ

ここまでお話ししても、「でも、具体的に私は今日どうすればいいの?」と手持ち無沙汰に感じてしまうかもしれません。

「見守る」と言われると、問題のすべてを自分の手で解決しなければならないような重圧を感じてしまいますが、全部を一度に動かそうとしなくて大丈夫です。

先のことはまだ誰にも分かりません。
けれど、今日のあなたには「やってよいこと」と「背負いすぎなくてよいこと」が少しだけ分かります。

例えば今日、こんな小さな選択をしてみるのはどうでしょうか。

・「どうして学校に行けないの」と理由を聞く代わりに「ご飯のメニュー、何がいい?」と日常の会話を今日だけは選んでみる。
・部屋に籠もっているお子さんに対して、無理にドアを開けず、だけど「ご飯できたよ」という声だけは、いつもと同じトーンで置いてくる。
・何か意味のあることを言おうとする代わりに、ただ同じ空間で自分の好きな本を読んで過ごしてみる。

これも立派な「必要なときに動ける距離で過ごす」という関わりです。

あなたにお願いしたいのは、たったこれだけのことなのです。
大きな問題の解決を目指す必要はありません。

今日の一日を、ただいつもと違う様子がないかを感じ取れる距離で過ごす。
それを選べたなら、今日の「見守る」は、もう十分に果たせています。

放置しているわけでも、何もしないわけでもありません。
あなたはすでに、今日できる大切な関わりを実践の最中にいるのです。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

この記事では、「見守る」とは何もしないことではなく、小さな変化を感じ取りながら必要なときに動ける距離で過ごすことであるということ、そして今日できる小さな関わりの選び方について、お伝えしました。

ただ、実際のご家庭では、

「うちの子に対して、今は距離を取るべきなのか近づくべきなのか」
「今の状態は回復に向かっているのか、それとも停滞しているのか」
「このまま自分の感覚だけで判断して大丈夫なのか」

などと、記事だけでは判断しきれない場面も出てくると思います。

私は、不登校対応で大切なのは、再登校を急がせることよりも、まず親御さんが安心して関われる土台を整えることだと考えています。

そのために、声かけや見守り方を整理するための記事を書いています。
無料の判断シートのご案内もしていますので、今の関わり方を一度落ち着いて見直したい方は、こちらから読んでみてください。

不登校の子への関わり方を、親の安心から整理する


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