判断フレーム⑥:含み益は「売る判断」を雑にする
利益が出ている場面は、うまくいっているように見えます。
だから、判断が歪むのは含み損のときだけだと思われがちです。
でも、実際はそうではありません。
含み益があるときほど、売る判断は雑になりやすいです。
この記事で言いたいのは、
「早く利確すべき」ということではありません。
そうではなく、
利益が出ている局面には、売りの基準を緩める要因がいくつもある、ということです。
含み益は保有継続を正しく見せる
含み益があると、今までの判断全体が正しかったように見えてきます。
買った判断は正しかった。
実際に利益も出ている。
なら、持ち続ける判断も正しいはずだ。
こう考えやすくなります。
でも、これは別の話です。
買う判断が正しかったことと、
今ここで持ち続ける判断が正しいことは同じではありません。
それでも、利益が出ていると、その区別は曖昧になります。
ここから、売りの判断は少しずつ粗くなります。
含み益は「まだ持てる理由」を増やす
含み損のときは、迷いの正体がまだ見えやすいです。
苦しい。
認めたくない。
戻るのを待ちたい。
一方で、含み益のときはもっと厄介です。
「まだ上がるかもしれない」
「ここで売るのは早いかもしれない」
「この銘柄は強い」
こうした考えは、感情ではなく合理的な判断に見えます。
だから、自分でも疑いにくいのです。
含み益がある局面では、
売る理由より、持ち続ける理由のほうが見つけやすくなります。
その結果、本来は一度見直すべき場面でも、
基準ではなく期待で保有を続けやすくなります。
含み益は売却基準を先送りさせる
売りが難しいのは、何が正解かわかりにくいからです。
損切りなら、ルールを決めておけば動きやすい。
でも利確はそうはいきません。
今売っても正解かもしれない。
もう少し持っても正解かもしれない。
この「どちらもありうる」が、売りを難しくします。
しかも含み益があると、まだ余裕があります。
急いで決める必要がないように見える。
だからこそ、判断は後ろにずれやすいです。
売却基準を見直すべき局面でも、
「まだいいか」で通してしまう。
含み益は、この先送りを正当化しやすいのです。
含み益は税金と期待で判断を鈍らせる
含み益の局面では、税金も無視できません。
利益を確定すれば、その一部は手元から出ていきます。
すると、利益確定は単純な成功ではなく、
「減る行為」にも見えてきます。
さらに、売ったあとに上がる可能性もあります。
どこが一時的な天井だったかは、あとからしかわかりません。
つまり、利益局面の売却には、
税金で減る感覚
ここからさらに上がるかもしれない期待
早売りだったかもしれないという後悔
が同時に入り込みます。
これでは、売りの基準が揺れるのも当然です。
大事なのは、税金や期待を悪者にすることではありません。
それらがあることで、判断が鈍りやすくなる。
まずは、その構造を知っておくことです。
売りの難しさは損失局面だけではない
投資で苦しいのは、損を抱えたときだけではありません。
利益が出ているときにも、判断は簡単ではないです。
むしろ、利益が出ているときのほうが厄介なこともあります。
損失局面では、苦しさが表に出ます。
だから、自分が迷っていることも自覚しやすい。
でも利益局面では、迷いが前向きな判断に見えます。
まだ持つ。
まだ伸ばす。
まだ終わらせない。
こうした言葉の中に、基準の緩みが混ざりやすいのです。
含み益があるときほど基準に戻る
含み益は、安心材料ではありません。
判断が緩みやすい局面です。
利益が出ていると、
判断は合っていたと思いたくなる。
まだ持てる理由を探したくなる。
今売ると減ると感じやすくなる。
その結果、売る判断は雑になります。
だから、含み益があるときほど必要なのは、強気でも弱気でもありません。
気分ではなく、基準に戻ることです。
売りを難しくするのは、含み損だけではありません。
含み益もまた、判断を鈍らせます。
うまくいっているときほど、
売りは雑になりやすい。
私はそれを、
そういうフレームで見るようにしています。
