#せりふ三題噺 「宇宙/カレンダー/昆布」+せりふ
はらとけいさんの「#せりふ三題噺」企画に参加させていただきます。
よろしくお願いします。
■セリフ
「受付で待ってますね」
■三題
・宇宙
・カレンダー
・昆布
では、お話のスタートです。
〜〜
おばあちゃんが、お茶を飲んでいる。お供は、「おしゃぶり昆布」だ。
僕は、横に座り、本を読んでいる。
お気に入りの「宇宙図鑑」だ。
「そろそろかねえ。」
おばあちゃんが言う。
僕は、カレンダーに目を向ける。
今日の日付には、大きく×印が書かれている。
月に一度、耳掃除で耳鼻科に行く。
痛くはないんだけど、怖い。だから、行きたくない。行きたくないから、カレンダーには、×印を付けている。
でも、耳掃除が終わると、頑張ったご褒美にって、シールをくれる。
何が当たるかは、わからない。箱の中から1枚引いていい。くじ引きみたいだ。
シールは、僕の大好きな「宇宙シリーズ」。
惑星のシールだ。
もう7枚集めた。残りは、「地球」だ。
「火星」と「木星」は、2枚ずつある。「地球」が欲しいんだけれど、箱の中から、どうしても引いて当てたい。だから、後「地球」だけが足りないって、先生にも言わないんだ。言ったら、「地球」をくれちゃうから。
おばあちゃんは、ビニール袋に「おしゃぶり昆布」を少し入れて、
「じゃあ、行こうか。」
と立ち上がった。
「う、うん…」
仕方なく僕も立ち上がる。
病院に着いて、名前を呼ばれた。
おばあちゃんは、
「一緒に行くかい?」
と聞いてきたけど、僕は、
「一人で大丈夫。」
本当は、ちょっと怖いけど、そう言った。
「じゃあ、おばあちゃんは、受付で待ってますね。」
僕は、診察室に入った。
怖くて、体中に力が入る。
「怖くないよ。痛くないからね。すぐ終わるよ。」
優しく先生が、話しかけてくる。
耳に当たる金属の道具が冷たくて、さらに力が入る。
看護師さんが、頭が動かないように抑えているけれど、もう片方の手のひらは、優しく頭を撫でてくれる。
耳掃除が終わると、
「はい、終わり。よく頑張ったね。じゃあ、この箱から、1枚引いていいよ。」
先生が、箱を取り出した。
僕は、耳掃除の時よりも、もっと緊張して固くなった手で、思い切り目をつぶって、1枚引いた…
診察室を出ると、おばあちゃんが、
「泣かなかった?えらいえらい。」
そう言って、ビニール袋から、「おしゃぶり昆布」を取り出して、
「ほら、お食べ。」
と差し出した。
僕は、「おしゃぶり昆布」を受け取ると、興奮気味に、
「ねえ、見て見て。「地球」が出たよ。」
「よかったねえ。今日は、「地球」だったんだね。」
「うん。これで、惑星全部コンプだ。」
今週も、お題をありがとうございました。
感想も頂けるので、すごく励みになります。
なかなか、話を思いつかないで悩ましい時間が、また楽しくもあります。
読んでいただいた皆さま。ありがとうございます。
いつも載せている三題噺同様、大したオチになってませんが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
ありがとうございました。
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