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【四国108箇所歩き遍路2(土佐)】#01 24番札所最御崎寺(2016年2月)

これは2015年12月~2025年11月にかけて、順打ち、全7回の区切り打ちで結願した四国108箇所(八十八ヶ所および別格二十霊場)歩き遍路の記録である。


鯖大師本坊の護摩供養で一日が始まる

朝5時40分に宿坊玄関に集合し、長い洞窟を抜けた先にある大きな護摩壇のあるお堂で護摩供養に参加した。ご住職が護摩木を次々投げ入れると焔が天井近くまであがる。評判どおりたいへんな迫力で、お遍路初心者マークのわたしは、ただただ圧倒された。ご住職の「今思い、今言ったことは、今やることです」という言葉が強く印象に残った。

勤行後に朝食をいただき、身支度をして、いよいよ宿坊を出立するというとき、廊下で作務衣姿のご住職に再度ばったりお会いした。そのときご住職が仰った。
「お遍路では、輪袈裟、金剛杖、念珠を持った方がよいです。
金剛杖は、使わないことも多いですが、お大師様がご一緒してくださる同行二人の意味、
念珠は、本来お経を数える道具ですが、怒りを感じたとき心を鎮めるためにも使えます」

前回の区切りで遍路ころがしを終え、今回は平地を歩くだけだと思っていたわたしは、金剛杖はおろかストックすら持っていなかった。輪袈裟はザックの中にあったが、お数珠は自宅に置いてきていた。ご住職は重ねて、念珠はある物でよく、ある意味、白衣や菅笠より大事だと仰った。

お礼を言い、清々しい気持ちで国道に出る。今日は札所はなく、ただ歩くだけの一日とする予定だった。室戸岬の方角に歩き出して5分程度で大きく『←へんろ道』と書かれた看板が現れ、赤い歩き遍路のマークもあったので、左の海岸の方へと坂道を下った。じき左側の眺望がひらけたのでそちらを見ると、東の方角に朝日が昇ったところだった。

鯖瀬トンネルを迂回する海側の遍路道から眺めた日の出
みるみる高度をあげていく


海と歩く

まだ二日目だが、前回同様天候に恵まれている。真っ青な空の下、左に海を見ながら黙々と歩いた。海と一緒に歩いている気分になった。たまに遍路道へと誘う札があると遍路道に入りながら国道55号線を進んだ。国道55号線はどちらか一方の歩道が必ず一段高くなっており、たまに柵も付いたアスファルトの歩道は広くて歩きやすいのでどんどん歩ける。

浅川の町にさしかかる前、古い伊勢田橋を渡って旧街道に入った。その後古い街道を安心してくねくね進んでいたが、徐々に分岐が増え、宿坊を出てから2時間経つ頃、なぜか国道55号線に戻ってしまい、大きな海部大橋を渡った。橋を渡り終えると大きな四角い遍路シールが最御崎寺を指していたので、それに従って左折した。たまたま左側を歩いていたので見落とさずにすんだ。

海部川に沿って川下の方向へ歩いて行くと、次の橋のたもとに木製の道しるべが、橋を渡ってきた人に直進を示している。いましがた歩いてきた国道55号線から海部大橋よりも、この海部川橋をまっすぐ突き抜ける県道299号線の方がいかにも古い遍路道らしい雰囲気が漂っている。どこかで分岐を間違えたらしいがさっぱり心あたりがなかったためさすがに戻ることを諦め、右折して古い街道を進むと、最終的にはまたもとの国道55号線に戻った。ちょうど正面に海部駅が見えた。

ふたたび国道55号線を西へ向かう。那佐湾が見えてきた。陽の光を浴びて穏やかにそこに居る那佐湾に心が洗われる気がした。

那佐湾
穏やかな姿に心洗われる


高知県に入る

海部駅前から2時間で道の駅宍喰温泉。ホテルリビエラししくいで昼食休憩をとって、また進む。そろそろ高知県だと思うと胸が高鳴る。橋を渡って水床トンネルに入る。水床トンネルは幅が少し狭く、長さも638mと短くはなかったが、ちゃんと柵のついた歩道もあるので歩きづらさをまったく感じなかった。トンネルを抜けると、目の前に高知県東洋町を示す大きな青い道路標識があった。

ところで、道の駅があった宍喰からこの少し先の東洋町までは宿泊できるところがいくつかあるのだが、それを越えると全くなくなってしまう。そこで今回わたしは鯖大師本坊から56km先の室戸岬に宿をとり、歩けるところまで歩いた後バスで移動する予定にしていた。バスは2~3時間に1本しかないので、ある程度歩いたら、バス停の時刻表を確認しながら歩くつもりだった。

とにかく高知県に入ったということが、わたしの気持ちをより一層明るくした。ほぼ国道を辿るだけなので迷うこともないだろう。国道沿いの歩道をどんどん前へ進もうと思った。ところが、トンネルを抜けて高知県に入った途端、歩道の幅が狭くなり、しかも、歩道の幅の大半を側溝のコンクリート蓋が占めるようになり、歩きづらくなった。コンクリートは硬く、いっきに失速した。

それでも歩き続けていると、甲浦辺りで街がひらけ、さらに進むと道の駅東洋町も現れた。その先には高速道路と見間違えるほど大きな津波避難場所があった。避難場所の向こうに白浜海水浴場が見える。津波など未来永劫来ることはないように穏やかな表情を見せ、海面はきらきら輝いていた。

明徳寺(東洋大師)へ

砂浜を見ながら大きくカーブして山の中に入っていくと遠目に遍路札が見えたので遍路道の入口かと思ったら、そうではなく、『交通安全 東洋大師』と書かれていた。いつのまにか歩道は白と緑の線だけになり、そうなっても側溝のコンクリートの蓋は続き、交通量も心なしか増えてきたので、足底が硬くなるのを感じながら、白線ぎりぎりのコンクリートの蓋の上を歩いた。

さらに進んで甲浦坂トンネルをくぐる。手前に迂回する道があったが車道で、遍路札もなく、地図を確認するとどんどん山の中へ入っていくようだったので素直にトンネルをくぐった。こちらから向こう側の出口が見えているような短いトンネルだった。

じきサーファー向けの民宿がたくさんある生見の町を抜け、相間トンネルをくぐり、さらに進んでふたたび民家が現れるとすぐに、右側に赤い幟とともに東洋大師への遍路道を示す看板が見えたので、そちらに入った。

明徳寺(東洋大師)は勝手に想像していたよりずっと大きなお寺で、本堂のほかにもお堂があり、通夜堂まであった。

明徳寺を参拝すると正面の赤い欄干の橋を渡り、突き当たりを右へと遍路道を進んだ。住宅街を道なりまっすぐ歩く。時折大きめの歩き遍路札が直進を示しているので、安心して進む。野根川にかかる長い野根川橋を渡ると突き当たりに古い小さな地蔵堂があり、海の方角に出て、街道は終わった。


野根川橋の上から河口を眺める
遠くに見えるのは野根大橋


バスで室戸岬へ、そして24番札所最御崎寺

ふたたび国道55号線のバス通り。バス停ごとに時刻を確認するつもりで車道の左側を歩いていたら、わずか300mでひとつめのバス停、野根港分岐バス停があった。そして、タイミング良いことにあと数分で次のバスが来るところだった。その次のバスだとお宿に着くのが17時をまわってしまうので、今日はここからバスで室戸岬まで移動して24番札所を先にお参りすることにした。

40分ほどバスに揺られて岬ホテル前バス停でバスを降りると、300m先に24番札所へ向かう遍路道の入口があった。今日はこれまでほぼ平らな国道歩きだったので、山道の遍路道というのがとても新鮮、かつ地味に堪えた。そのせいではないが、最御崎寺が女人禁制だった明治初年まで女性専用の納経所だったという奥之院、一夜建立の岩屋観音窟が、登り始めの広場のような場所にあったのだが、全く気づかずスルーしてしまった。

24番札所へと遍路道を登る


約20分で辿り着いた24番札所最御崎寺(通称:東寺)は、これまた大きなお寺だった。広い境内は綺麗に掃き清められており、紅梅が静かに迎えてくれた。

24番札所最御崎寺の鐘楼堂
大きい
大師堂
多宝塔
紅い梅の木の下におみくじの白い花が咲いている


絶景の室戸スカイラインを下って本日のお宿へ

参拝後は仁王門を出て右にまわり、駐車場に出て、室戸スカイラインを下った。ほとんど車は通らず、標高150mから眺める海が絶景だったが、遮る物がないので強い風に煽られるのが少し怖かった。それでも、ヘアピンカーブを何度も曲がって下りながら、室戸岬の海岸の景色を高所から堪能し、お宿最寄のバス停で明朝の始発バスの時刻を確認してからお宿に入った。

室戸スカイラインから土佐湾を見下ろす
交差点が小さく見える
目眩がしそう


ちなみに、この日歩いた区間は、阿佐海岸鉄道による世界初の乗り物DMV(Dual Mode Vehicle)の運行区間でもある。
『阿波海南駅』から『道の駅宍喰温泉』までは、遍路道と重なる。土日祝日であれば、さらに、24番札所最御崎寺への遍路道入口まで300m弱の『室戸岬』まで乗車することも可能である。いずれも、バス→列車、列車→バス、の両方のモードインターチェンジを体験できる。
要予約。予約なしで乗れることもあるが、繊細な乗り物らしいので、事前に必ずHPで最新の運行状況を確認されることをおすすめする。


【参考URL】
高知東部交通(バス)路線図・運賃・発車時刻表
2026年現在、東洋町(甲浦)から室戸岬をカバーしているのは『室戸↔甲浦線』から『安芸↔室戸線』への乗り継ぎで、直行便はない。
わたしが乗ったコースの場合、野根港分岐から『ジオパーク・室戸営業所行』に乗り、ジオパークで『奈半利・安芸行』に乗り換える。
上記サイトはわかりづらいので、ダイヤ改正に対応していることを確認のうえ、NAVITIME等のバス乗換案内サイトを使用することをおすすめする。
 

【コースタイム(実際、一部時刻不明)】


うまめの木(遍路宿、電話で予約)

宿泊:2食付9,000円(3連休以上は特別価格、夕6:00?~、朝6:00~、1階で)
洗濯:お接待
乾燥:部屋干し
その他:
和室3室(海側2、山側1)
15:30-チェックイン
浴室は1つだが毎回お湯入れ替えで、窓から夕陽が見える
夕食は海鮮中心でとても美味しく、朝食は和食と洋食から選べる
併設の喫茶店ではランチも可
24番札所からスカイラインを降りてすぐという好立地もあり、人気のお宿




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