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【四国108箇所歩き遍路2(土佐)】#03 25番札所津照寺~26番札所金剛峯寺(2016年2月)

これは2015年12月~2025年11月にかけて、順打ち、全7回の区切り打ちで結願した四国108箇所(八十八ヶ所および別格二十霊場)歩き遍路の記録である。 


25番札所津照寺へ、室戸の港町を歩く

ザックを背負ってお宿を出る。昨夜の雨でまだ地面が濡れている。旧街道に出て少し歩くと、昔懐かしい丸形の郵便ポストが見送ってくれた。

丸形ポストがあたりまえにある風景

 まずは25番札所に向かって北上だ。旧街道をまっすぐ進むと室戸岬港にぶつかり、正面には紀貫之の宿泊記念の石碑が建っていた。土佐守としての任期を終えた紀貫之が京に帰る前、悪天候でこの地に10日間滞在した記念の碑とのこと。かの有名な『土佐日記』は、この後の京への船旅の紀行文らしい。右にまわって漁港を左に見ながら北上を続ける。たまに土佐漆喰の白壁に水切り瓦の大きな建物がある。うち一つは商店のようだった。

紀貫之朝臣泊舟處


さらに進むと分岐が見え、手前に『昭和九年海嘯襲来碑』という石碑が見えた。昭和9年の室戸台風のときは、満潮とも重なり甚大な被害が出たという。遍路札等は見当たらなかったので、そのまま直進して太い方の道を進む。

昭和九年海嘯襲来碑


じき国道に合流したので、黄色い地図(第10版)に従って右側の歩道を進み、信号が現れた分岐で、右の旧街道に入った。黄色い地図では、ふたたび国道に出たところの信号で左の分岐に入るということだったが、信号はあるが分岐が見当たらないので、そのまま右側の歩道を進むと、次の信号が分岐になっており、左に入る道の電柱に大きく『津照寺↑300m』という案内表示があったので、横断歩道を渡って分岐に入った。
 
そこからは道なり進んで、正面に大きく『津照寺→』という看板が見えたところで、夫婦善哉のお店の角を右に入ったら、津照寺の山門と石段がもう見えていた。このすごい石段を昇るとき、何気なくステンレスの手摺りを握ったら、雨でつるっと滑ったので冷やっとした。

25番札所津照寺の山門
長い石段の上に鐘楼門兼仁王門が見える


25番札所津照寺の境内は小さかったが、さすが海上安全を見守るお寺だけあり、境内からは室津港が一望でき、眺望が素晴らしかった。

大師堂

26番札所金剛頂寺へ、街道、国道、遍路道

参拝を終えると慎重に石段を下り、右に折れて北上を続ける。すぐに室津川にぶつかったが、正面の電柱にさきほど同様『金剛頂寺→』という大きな案内表示があったので右に折れ、両栄橋を渡った。

両栄橋


そこからは旧街道を道なりに直進し、太い道に合流したらまたその道を直進、さらに国道55号線に合流したら国道直進を続けた。国道は海側の歩道を歩いていたら、バス停の待合所が大きな亀の形をしており、奈良師かめたろうと言う名札がついていた。さらに進んで平等津橋(ならしばし、難読)を渡る。さらに進むと、自動車用の道路標識が『金剛頂寺→3km』と出たので、横断歩道を渡って1本山側の旧街道に入った。
 
旧街道を直進して元橋を渡ると左手に予定通り民宿うらしまが現れたのでほっとした。右には古い標石も認められたので山に向かって右折した。最初は車道と共通、しばらくすると、舗装された山道、そして遍路道になった。

26番札所金剛頂寺への遍路道

 
歩きやすい遍路道がこのまま境内につながることを期待したが、着いたと思ったところは厄坂の下で、また階段を昇らなくてはならなかった。ところが、金剛頂寺の石段の手摺りは拭いてあったのか綺麗に乾いており、手摺りを掴んでぐいぐい昇ることができた。

26番札所金剛頂寺の厄坂


ぐいぐい昇って26番札所金剛頂寺の本堂、大師堂、ほかに癌封じの椿御霊木、一粒万倍の釜等を参拝し、納経をいただくと奥之院の不動岩を目指す。

26番札所金剛頂寺の本堂
一粒万倍の釜

山を下って海沿いの奥之院不動岩へ 

来たのとは逆方向に進み、宿坊の前を通って山を下る。分岐には遍路札があったので迷うことはなかった。

不動岩または神峯寺へ
神峯寺直行(右)と不動岩(左)との分岐

 
国道55号線まで下ると、国道の向こう側に26番札所金剛頂寺の奥之院、不動岩のお堂があった。明治初期まで金剛頂寺は女人禁制だったため、女性はここでお札を納めたらしい。海側に向かってとても眺めの良い遊歩道があり、歩くとお大師様が座って修行をされたとされる場所や、小さな祠なども拝むことができた。

26番札所奥之院 不動岩
不動岩遊歩道の修行御座石


白い漆喰壁に水切り瓦が美しい吉良川の町並み

お参りを終えるとまた国道55号線に戻って北上する。道の駅キラメッセの前を過ぎ、時折国道から外れて旧街道に入りながら、北上を続けた。

遍路道沿いの八朔畑
袋を被っているものは絶対採ってはいけない

 
小さい東乃川橋を渡って道なりに左に曲がってまた右に曲がって吉良川町の重要伝統的建造物群保存地区に入る。

吉良川町の重要伝統的建造物群保存地区
左奥に見える白壁に水切り瓦の建物が蔵空間蔵宿

 
古い町並みを進むと、すぐ左側に水切り瓦が目立つ一際大きな建物、遍路宿蔵空間茶館(現在は『蔵空間蔵宿』)があった。今晩のお宿である。敷地の中に入っていき、中の木戸の前で、「ごめんください」と声をはりあげると、お宿のご主人と奥様が出て見え、テーブルとベンチのある中庭に通してくださった。チェックインする前に中山峠道を歩いておきたいので、ザックを置かせていただきたい旨話すと、快諾いただいたのみならず、2月なのに汗びっしょりのわたしを見て、冷たいおしぼりとよく冷えた麦茶をお盆に載せて運んできてくださった。さすが遍路宿をうたっているだけのことはある。

中山峠で野良犬にであう
 
中山峠へのルートと帰りのバス便の時刻も教えてもらって、宿を後にする。来たのとは逆方向にお宿を左に出てしばらく進むと保存地区が終り、古い石造りの欄干の吉良川大橋を渡った。しばらくして国道55号線に入ると立石バス停があり、青い道路標識に『奈半利12km』とあった。立石海岸を過ぎ、羽根川橋を渡る。しばらくすると突然前方に遍路マークが賑やかな分岐が現れ、右へ進めとはやし立てるので右へ進んだ。

西ノ川を渡る
左の新しい橋は吉良川大橋だがこの橋の名称は不明
中山峠道へ向かう分岐

 
中山峠へ向かう上り坂は車道から始まり、途中から歩きやすい土の道になった。

中山峠道
遍路札に従い山道へ

 
季節が冬だからか、草が繁茂しているようなこともなく歩きやすい道だったが、下り始めた頃、このまま直進だと思うのに、三叉路を左へ進むよう示す立て札があったので、左折してよそのお宅の畑の畦道のようなところに入った。方角的におかしいと思いつつも進むと、どんどんあらぬ方向に向かううえに、登りになった。不安が増してきたところで、道の向こうに野良犬が現れた。野良犬が怖くて立ち止まるが、向こうも動かないので前へ進めない。しばらく互いに見つめ合っているうちに、そもそも方角的におかしいという気持ちが大きくなり、引き返した。

再び海岸へ
 
三叉路に戻ってもういちど立て札を見ると、立て札がくるくるまわるではないか。立て札を直進に直して、自分も直進したら、あれよあれよと言う間に山道を下り、加領郷の漁港に出た。そもそも立て札自体必要だったのか。いっそ抜いてきた方がよかったか。悩みつつ歩くとすぐに海沿いのガードレールの外側に大きな石碑が現れた。弘法大師御霊跡だった。すぐ下に大師堂もあったが、ガードレールの外側で、ちょっと見ただけではどう行けばお参りできるのかわからなかったのでガードレール越しに軽く手を合わせて前へ進んだ。

弘法大師御霊跡

 
さて、あとは国道を北へ進むだけ。海岸線を眺めながらどんどん歩いた。予定より1本早いバスが向こうからやってきてすれ違った。

奈半利へ向かう海岸
よく見ると青い上着の釣り人がいる
バスとすれ違う

本日のゴール奈半利駅へ 

奈半利の町に入ってすぐ、なまこ壁と水切り瓦が立派な家が現れた。この辺りの大地主だったという濱田家住宅で、登録有形文化財の看板が立っていた。水切り瓦は、潮風が強いこの地域にあって、横殴りの雨が直接壁にかかって土佐漆喰の壁が傷むことがないよう工夫された実用的なものらしいが、見た目もとても美しい。

水切り瓦となまこ壁(右)が特徴的な濱田家住宅
登録有形文化財


歩いているとタイミングよく薬局があったので、テーピングテープと湿布を買って、本日のゴール、土佐くろしお鉄道の奈半利駅に到着した。お宿で教えていただいたバスの時刻にも間に合い、ほっとした。
 
ちなみに、今日歩いた距離は30km程度だったはずだが、金剛杖(=お大師様と同行二人)を持っていなかったせいか、はたまたストレッチをすっかりサボっていたせいか、区切り4日目にしてふくらはぎがぱんぱんになり、夕食後、買ったばかりの湿布を全て脚に貼った。そして、水切り瓦を知ったからではないが、夜半ゴーゴーと鳴り止まない海風の音を聴きながら眠りに落ちた。
 
 
 
 【参考URL】
高知東部交通(バス)路線図・運賃・発車時刻表
https://toubukoutuu.jimdofree.com/
2026年現在、吉良川から奈半利をカバーしているのは『安芸↔ジオパーク線』。
上記サイトはわかりづらいので、ダイヤ改正に対応していることを確認のうえ、NAVITIME等のバス乗換案内サイトを使用することをおすすめする。
 
 
 
【コースタイム(実際)】


蔵空間蔵宿(遍路宿、電話で予約、楽天でも予約可)

宿泊:朝食付8,000円(朝6:30~、カフェで)
洗濯・乾燥:有料
その他:
現金払いのみ
平屋で2棟あり(奥の離れはお座敷+4畳半板間の二間)
15:00-チェックイン
リノベーション古民家で、お風呂、トイレ、備品ほか何もかもお洒落で居心地良く、食事も美味しい


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