【四国108箇所歩き遍路3(伊予)】#18 56番札所泰山寺~59番札所国分寺(2025年10月)
これは2015年12月~2025年11月にかけて、順打ち、全7回の区切り打ちで結願した四国108箇所歩き遍路の記録である。
終日雨予報で覚悟はしていたが、軽量折畳み傘をさしながら10kgのザックを背負い金剛杖を持って歩くのは、やはり辛い。
左に今治西高校が見えるはずだったが、しばらくすると真正面に今治北高校が見えてきた。道も方角も間違えている。
しかし、土砂降りの雨で両手は傘と金剛杖で塞がっており、レインパンツにはスマホを入れるポケットがない。休憩所どころか屋根もないので、スマホを取り出して地図を確認することができない。
とりあえず方角だけ南西方向に修正して歩くが、濁流がゴーゴー音をたてて流れる川沿いを歩くはめになる。しばらくして川から離れてもこの辺りの道の脇にはほぼ水路があり、こちらも溢れんばかりの雨水がけっこうな勢いで流れている。
こんな雨の日に水が多いところを歩くのは、街中であっても気分が良いものではない。

県道156号を越えて道なり真っ直ぐ進む。ぽつぽつ道標があることに安心しながら歩いて、今治の駅前から1時間足らずでようやく56番札所泰山寺に着いた。(8:44)


納経所の前のベンチでザックを降ろしていると、慣れた感じの歩き遍路の男性が前を通り過ぎ、「こんにちは」と挨拶して納経所に入っていった。

土砂降りの雨
参拝後お寺を出ると先程の男性が前を歩いていたので、その後ろ姿を追って歩いた。
すぐ道を間違えるので、いつもは地図やアプリをよくよく確認しながら歩くのだが、雨の日は両手がふさがっていて厄介なのでナビゲーターが現われて助かったと思い、遠くの背中を目印に歩くことにする。
ところが、順調に後を追って歩いていたつもりが、写真を撮っているうちに目標を見失ってしまった。
ちょうど車道を横切るところだったので、慌てて地図を確認すると直進になっている。
車道の向こうには、直進というには細過ぎる道が見えるのみだが、直進だからここしかないだろうと小道に入る。
が、男性の後ろ姿はない。
戻って車道を見渡してみるが、姿は見えない。
せっかく良いナビゲーターに出会えたと思ったのだが仕方ない。
またひとりで歩くか・・・ととぼとぼ歩いていたら、後ろから声を掛けられた。
先程の男性で、小道を入るとは思わず車道を曲がったが、道を誤ったことに気づいて戻ってきたとのこと。
「空田(仮称)です」と名乗られたので、わたしも名乗る。
今晩同じ宿であることが判明し、すっかり安心し、しばらく一緒に歩いていたつもりが、蒼社川の土手にあがって振り返ると少し距離があいている。
待っていると、「ひとのペースに合わせると疲れるから、どうぞ先に行ってください」と仰ってくださった。わたしは休憩が多く、最終的にはひとより遅いのだが、お言葉に甘えて先に行くことにした。
話はそれるが、歩き慣れている人たちは歩幅が小さく、ずっと同じペースで歩き続ける。かたやわたしは、自分が遅いという自覚があるのでついつい歩幅大きくガツガツ歩いてすぐにバテてしまう。必然的に休憩も多くなる。そこまでわかっているのなら、と自分でも思うが、真似デキナイのである。

57番札所栄福寺への道は要所要所に古いへんろ石や道標が多く、なんとか迷うことなく辿り着くことができた。
相変わらず土砂降りで、境内に足を踏み入れると、手水舎や鐘楼よりも先に屋根とベンチを探してしまう。
考えることはみんな同じなようで、納経所の横に大きな木のテーブルとベンチがあり、そこに参拝者全員が申し合わせたように集合していた。
みなと同じようにザックをテーブルの上に置き、少し離れた本堂と大師堂まで雨の中を走って行ってお参りし、また走って戻ってきて納経し、ベンチで少し休んだ。

奥が本堂、手前が大師堂

この手前に大きなテーブルを囲むようにベンチがある
雨の中を出て行くのは躊躇われたが、待ったところで雨が止むわけではないので、観念して次なる札所、仙遊寺へと向かった。

仙遊寺への遍路道は晴れていれば歩きやすそうな土の道だったが、お寺の手前で舗装道に合流し、そこからの傾斜がけっこうきつかった。
あと少しで仁王門。しかし、もうこれ以上ザックを背負って登るのは無理と思っていたら、ちょうど良いタイミングで屋根付の休憩所が現われたので、駆け込んだ。
休憩所の前の坂を、仁王門の方から川のように雨水が流れてきていた。

テーブルにお接待のお水やお菓子が置いてある

ザックをおろし、テーブルの上にあるお接待のお菓子などを眺めながらしばし休憩して体力は復活するが、それでもザックだけはもう背負いたくないと思ったので、納経帳を取り出すと、誰もいないベンチの上にザックを置いていくことにした。
山谷バッグひとつだけ持って仁王門をくぐったらさらに山で、手すりだけが頼りの急な坂や階段が続いた。ザックを置いてきて正解だった。手すりを寄進してくださったかたのおなまえを思わず確認した。


一部加工済
さきほど栄福寺で屋根付の休憩所にたまっていた歩き遍路が全員そのまま移動してきていて、58番札所仙遊寺の境内は盛況だった。しかし、激しい雨にみな疲れた顔。
ご多分に漏れず、わたしも疲れて頭の中が空っぽのまま、参拝を終えて納経所へと向かった。
納経所の窓口には、駐車料金徴収のための『最初に車か歩きか言ってください』と掲示されていた。その文字を目でぼんやり追いながら、「車です」と納経帳を差し出すと、納経所のおねえさんは驚いた顔をした。
慌てて「歩きです」と訂正すると、おねえさんが笑いだし、わたしの恰好を上から下へ眺めて「どう見ても歩きでしょう」
お納経をいただいたあと、「もうあまりにザックが重くて仁王門のすぐ下の休憩所に置いてきたのですけれど、59番国分寺への遍路道はどこですか?」と尋ねると、笑顔で「休憩所のすぐ下の右側に遍路道があるから大丈夫」と言われて安心した。
その後、仁王門まで下り、さきほどの休憩所に寄ってザックに納経帳をしまってふたたび出発。
遍路道はすぐにみつかったが、雨の日にひとに勧めてよい道なのかと心配になるほどドロドロの山道だったので、ひとり声をあげて笑ってしまった。



ただ、遍路道はわずか1kmほどで、重力にまかせどんどん下ると15分かからなかった。
その後59番札所国分寺を打ち、おなかがすいていたが全身びしょ濡れだったので、JR伊予桜井駅の駅舎のベンチの隅で、行動食だけのお昼を済ませた。


高校生たちの自転車がずぶ濡れ

一部加工済
本日の札所をすべて打ち終わり、あとはお宿に向かうだけなのだが、あまりに寒いので、道の駅 今治湯ノ浦温泉でお茶でも飲んで暖まっていこうと中を覗くが、とても残念なことにアイスクリームなどの冷たいものしかない。
仕方がないのでなけなしの百円玉で缶ココアを買い、外のベンチで休憩することにする。
温かいココアを飲みながら目の前の国道196号線を眺めていたら、左から右へまるでムーンウォークにように空田さんが歩いていくのが見えた。急いで残りを飲み干して追いかけ、お宿まで一緒に歩いた。
途中、道の駅から1kmちょっとで小松方面(196号線)と三芳方面(159号線)の分岐を示す道路標識がでたら数mで右折して今治小松自動車道の西側を進むべきところを、標識があまりに直前だったのと、実際の分岐の標識には『世田薬師』としか書かれていなかったこと、雨で道標と遍路札が目に入らなかったことから、196号線を直進してしまい、三芳の手前からGoogle MapsのGPSを頼りに歩く羽目になるが、それでもなんとか17時直前にずぶ濡れでお宿に到着した。
一番乗りだった。
女将さんがとびきり明るい笑顔で迎えてくれ、雨のなか大変だったでしょうとすぐに新聞紙の束を手渡してくださった。
タオルも用意してあった。
ドミトリー泊の空田さんは入口が違うそうで、そちらに案内されている間に雨に濡れたジャケットなどをお玄関の壁に掛け、靴を脱いで中敷きを出して新聞紙をきっちり詰めてから、あがらせてもらった。中はおしゃれなリノベーション古民家だった。
2階の階段をあがったところのツインベッドのお部屋がわたしの部屋で、床には雨に濡れたものを置けるようビニールシートが敷いてあったり、浴衣とは別に暖かそうな部屋着も用意されていたり、といった心配りに疲れが吹き飛んだ。
お風呂のほかに小さいシャワーブースもあるそうで、わたしはシャワーブースの方を使わせてもらった。
狭いけれどとても綺麗なブースで、きょう一日の雨の疲れがきれいさっぱり落ちた。
ただ、専用のレインカバーをかけていたザックのほうは、よくよく確認すると、底の方から少し雨が浸みて地図などが一部濡れていたほか、撥水性の山谷バッグのなかみは、横から雨が入ってほぼ全滅だった。
結局なかみを全部出して拭いたうえで床のシートの上に並べ、エアコンの温風がよく当たる場所に乾きにくそうなものを置き、寝ながら夜通しで乾かした。
【コースタイム(実際)】

敷島旅館(遍路宿、電話で予約、HPでも予約可)
宿泊:2食付7,690円(豪華夕食は1階で一斉に、朝食はおむすび弁当が置いてある)
洗濯・乾燥:400円(お任せ)
その他:
個室3室+ドミトリー6室で、施錠不可
ドミトリーは2階建てのカプセルホテルのようなつくり
現金払いのほかに、PayPay可
浴室とシャワールームが各1あり
トイレと洗面所は1階と2階に男女共用が各1
室内にハンガーをかけられるところが少ないので、洗濯物は乾燥をお願いした方がよい
付近にお宿が少ないので1週間以上前に要予約、食事も早めに要予約
古民家を改装しており、掃除も行き届いており、何より若女将さんの気配りが素晴らしい、とても居心地の良い人気のお宿
