【四国108箇所歩き遍路2(土佐)】#04 27番札所神峯寺(2016年2月)
これは2015年12月~2025年11月にかけて、順打ち、全7回の区切り打ちで結願した四国108箇所(八十八ヶ所および別格二十霊場)歩き遍路の記録である。
奈半利駅からスタート
昨日奈半利駅まで歩いたので、今朝は奈半利駅までバスで移動し、その後27番札所を目指す。昨晩はゴーゴー風が吹いていたが、朝起きてみると風の音はなく静かだった。お宿最寄りの吉良川冨屋前バス停へは商店の軒下を通り抜けてすぐだった。

バスを降りるとごめん・なはり線の奈半利駅から歩き始める。奈半利川橋を渡り、しばらく進むと田野駅。四国にしては珍しく大きな駅だと思ったら、道の駅が併設されていた。

その先はひたすら国道55号線を進んだ。奈半利駅から30分程度で国道の右手にレストラン岬の大きな看板が現れたので、すぐ先の分岐を右へ入って国道から離れた。道なりに歩いて旧街道を抜けると、安田川橋を渡って安田川を越える。橋のなかほどには大きな四角い遍路シールが貼られており、休憩用の屋根付ベンチまであった。
橋の先を進むと道端の柱に『土佐鶴』の縦看板があったので、さすが高知と思ったら、すぐに一升瓶が山積みされた倉庫があり、その隣が土佐鶴の本社だった。そう言えば、今から向かう神峯寺には、土佐の名水『神峯の水』がある。この安田町一帯は水の美味しい地域なのだと理解した。

正直なところ、歩きづらかった

一升瓶が山積み!


裕福そうな大きな家が並ぶ
その神峯寺は、標高500mもない山だがその急登ぶりから『まったて(真縦)』とも呼ばれる山なので、歩き遍路の多くが麓の商店『神峯』にザックを預けて登ると聞いていた。そのお店は民宿とうのはまの斜向かいにあり、青い幟がはためいていたのですぐにわかった。とても気のいい感じの女将さんは、お店の前をまっすぐ山の方向へ向かって進む道を示し、「みんな3時間から3時間半で戻ってくる。頑張って!」と送り出してくださった。

ザックを預かっていただく
お店の前の道を進み、まだ新しい大きな津波避難タワーの前を通り過ぎ、ビニールハウスが点在する畑の間を山へ向かう。分岐を右に進み、やがて現れる『神峯寺3.5km→』の標識に従い、車一台分くらいの舗装道をさらに進む。右に小川を見ながら民家が点在する道を道なりに進み、そのまま橋を渡った辺りから高度が上がり始め、最初のカーブの左に浜吉屋の看板。あとは延々車道を登った。
舗装道をとにかく道なりにぐいぐい進み、ずいぶん登った気がする・・・と思った頃、左前方に大きな石碑が現れた。石碑の足もとには小さいお地蔵様が何体か並んでおり、左に入る道と、新しめの標石には『神峯寺1.3km』とあった。『神峯徒歩道』と書かれた看板もあったので、左に入った。

神峯寺まで1.3km
マムシ注意の看板あり
ちなみに、マムシについてはこちらの記事にまとめている。
小石の多い遍路道
神峯徒歩道は、評判通りの勾配かつ小石混じりの山道だったものの、冬で草が少ない季節ということもあるかも知れないが、迷うことも危険を感じることもない道だった。さすがに2月は冬眠中なのだろう、マムシの姿どころか気配すら感じなかった。

何度か車道を横断したり、車道に合流したりしながら、麓のお店から1時間もしないで大きな駐車場の前に着いた。お寺に着いたのかと喜んだが、お寺はまだ先だった。駐車場のそばにおうどん屋さんが見えたので、帰りにここでお昼を食べると決め、それを楽しみにお寺へと向かった。
27番札所神峯寺
駐車場から車道を上ってすぐに、石段が2つ並ぶ場所に着いた。左の石段を昇ったところが27番札所神峯寺の仁王門で、色鮮やかで力強い仁王様に迎えられた。ちなみに右の石段の先には鳥居があり、神峯神社があるらしかった。




仁王門をくぐってまたすぐ車道に戻り、車道を進むとじき境内だったが、ここもまた、山の上だというのに広々としており、植栽の手入れが行き届いた、とても綺麗なお寺で、空が広く感じられた。鐘楼と納経所の間を抜けると本堂への階段の下に神峯の水があったので、手ですくっていただいた。さらに、仁王様と同じ朱色の手摺りのついた長い階段を昇って、本堂、大師堂とお参りするが、本堂と大師堂が左と右にずいぶん離れていて、少しうろうろした。大師堂の前から下を見下ろすと、納経所がずいぶん遠くに見えた。


右へと続く

おうどん屋さんで大量の錦の納め札を見る
納経所で労いの言葉とともに飴のお接待までいただいていま来た道を戻り、予定通りおうどん屋さんに入る。『うどん』という大きな幟でおうどん屋さんだとばかり思ったお店の入口近くには遍路用品が並んでいた。そして、奥にテーブルがいくつかあって、そこで食事ができるようになっていた。
今回の区切りのはじめに鯖大師のご住職から、金剛杖はお大師様が一緒に歩いてくださるものなので大切ですと言われたことを思い出し、ここで金剛杖を買おうと思ったのだが、残念なことにしっくりくる杖がなかったので諦めた。テーブルに着くと、カウンターの上の壁にずらっと錦の納め札が飾ってあった。一口に錦と言っても、色や柄が人によりみな違うことをはじめて知った。錦の納め札はオーダーメイドらしい。

納め札の大半は、錦の納め札
下山道でひやりとする
食べ終わると下山を開始する。さきほどおうどん屋さんドライブイン27のご主人から「遍路道は小石が出ていて滑りやすいので、下りは車道の方がよいと思います」と言われたので、車道を進んだ。ところが、風が強かった。室戸スカイライン並みかそれ以上に煽られ、大袈裟ではなく、からだがふらついて前へ進めなかった。たまらず、遍路道(山道)に入った。
小石が多い遍路道ではいちおう慎重に歩いたつもりだったが、途中で何度か大きくズルッと滑って肝を冷やした。尻餅をついたわけでも足首を捻挫したわけでもなかったのは幸いだったが、あと少しで後頭部でも打ちそうなくらいバランスを崩したので、次に遍路用品店を見かけたら、もう選り好みしないで金剛杖を買おうと固く心に誓った。
山道を抜けると車道に出たが、そこはもう風もなく、往きで通った道なので迷わず下り、無事まっすぐ神峯さんまで戻ることができた。

階段を昇るのが大変そうだが、近所にあると安心
ちなみに神峯さんは地場産品の直売所である。店内には段ボール箱が積まれていて、箱には土佐ぽんかんの文字が躍っていた。預かってもらっていたザックを受け取るとき、ぽんかんを段ボール箱で自宅に送ろうかかなり迷った。しかし、留守にすることが多いので、結局飲み物を買っただけで済ませてしまい、後々ずっと後悔した。土佐のぽんかん、ほんとうに美味しかったのに、失敗した。
土佐湾沿いを歩いて球場前駅へ
神峯さんを後にすると、西へ向かい、しばらく歩いて海岸沿いの国道55号線に戻った。途中大山岬の方に迂回して荒々しい土佐湾を眺めながら歩いてふたたび国道に戻り、小さい道の駅大山の先で、遍路シールに促されて左の遍路道に入った。


眺めが良かったのはこの辺りまで
遍路道に入るとその先は防波堤歩道だった。防波堤歩道は、左は土佐湾、右はビニールハウスがあればよいほうでほとんど荒れ地。その単調で寂しくて狭い舗装道をひたすら歩いた。と言ってもせいぜい30分程度だったのだが、ひとけの無い、世の中と完全に断絶されたような道だったので、実際よりも長く感じた。刻々不安が増してきたところで右折の案内板が現れ、ごめん・なはり線の踏切を越えて国道へ戻ったときにはほっとした。
さらに30分近く歩いて安芸川橋を渡って安芸市街地に入るとき、岩崎弥太郎の生家を示す大きな看板が見えた。心惹かれたが既に16時近く、これから山へ向かって片道4.5kmを往復する余力はとてもなかったのでそのまま直進した。岩崎弥太郎と言えば、その母君は、息子の開運を願って神峯寺まで往復20kmの道のりを21日間日参したと聞く。三菱財閥の創業者ともなると、母からして凄い。
安芸市の本町辺りには水切り瓦の旧家があったりしたが、それも一瞬で過ぎ、すっかり日も傾いてきたので、ごめん・なはり線の球場前駅を本日のゴールとした。

【参考URL】
高知東部交通(バス)路線図・運賃・発車時刻表
https://toubukoutuu.jimdofree.com/
2026年現在、吉良川から奈半利をカバーしているのは『安芸↔ジオパーク線』。
上記サイトはわかりづらいので、ダイヤ改正に対応していることを確認のうえ、NAVITIME等のバス乗換案内サイトを使用することをおすすめする。
【コースタイム(実際、一部時刻不明)】

ツーリストイン高知(ビジネスホテル、じゃらんで予約)
宿泊:素泊まり6,900円~
洗濯・乾燥:300円(2016年2月当時、内訳不明)
その他:
朝食付の場合、6:45~
男女別の大浴場あり
とさでん高知橋電停から350m、JR高知駅から700m弱、繁華街からも離れている分安価だが、川向こうに飲食店が点在しているため不便は感じない
スタッフのかたも親切で感じ良い
