【四国108箇所歩き遍路1(阿波)】#08 23番札所薬王寺(2015年12月)
これは2015年12月~2025年11月にかけて、順打ち、全7回の区切り打ちで結願した四国108箇所(八十八ヶ所および別格二十霊場)歩き遍路の記録である。
阿波一国打ち最終日の朝
今朝先達さんと舞さん(仮名)と一緒に出発するとき、昨日舞さんが太龍寺からの下山途中で一緒になったワンさん(仮名)という中国人歩き遍路さんも誘ったが、ゆっくり歩きたいとのことで玄関前で別れた。ワンさんは毎日15kmのペースでのんびり歩いているとのことだった。人それぞれ、いろいろな歩き方がある。歩き遍路も一期一会。
月夜御水庵
さて、今日は23番札所薬王寺を参拝して、八十八ヶ所の阿波一国打ちを終える日。
22番札所平等寺の正面の道を直進する。古い標石が点在する集落の間の道を、先達さんの背中を追って進む。1時間もしないうちに、月夜という地名が続いて、小径を入った左手に月夜御水庵(月夜御水大師)が現れた。頭を垂れて前へ進む。

一部加工済
細い道を抜けると広い車道に変わり、山間を進むと右手に幻想的な孟宗竹の竹林が現れた。さらに進むとトンネルが現れる。鉦打トンネルだ。トンネルを抜けると前方に、重そうなザックを背負って脚をひきずるようにして歩くお遍路さんが見えた。近づくとテントを担いだ野宿お遍路さんだった。挨拶をして追い越した。
山道での教訓~トイレ問題
その後歩けど歩けど民家ひとつない山の中の県道を延々歩いた。途中で、近くに学校がありトイレをお借りできると言われたが、まだ行きたくなかったので行かなかった。そうしたら、お宿を出発してから3時間になろうかという頃、行きたくなった。そろそろ限界だと思ったところで集落が現れ、交番の赤色灯が見えた。
駆けていってトイレをお借りできないかお願いしたら、お巡りさんが申し訳なさそうに「お貸しできるようなトイレはないんです」と仰るので絶望しかけたら、「100m先の信号を左に曲がったところに駅があります。そこにトイレがありますから」と言われたので、お礼もそこそこに再度交番から走って無事間に合った。ちなみに、100mというのは信号までの距離で、トイレまではその3倍あった。
ただ、いくら相手がお遍路であっても、交番がトイレを貸すのは防犯上よろしくないとわたしも思うので、お巡りさんの対応に不満はない。それより、選り好みせず早め早めにトイレに行くことが大切だということを身をもって知った次第。
海、そして休憩所
さて、由岐駅を過ぎると海が見えてきた。由岐湾である。遍路道を歩き始めてからはじめて見る海だ。今まで街中か山ばかりで、川はいくつも見たけれど、海はほんとうに新鮮だった。
堤防沿いを少し歩いたあと砂浜に降り、田井ノ浜を歩いた。田井ノ浜には地元の木材製材会社、野田産業さん設計による高床式で見晴らしのよい休憩所があったので、上に上がって休憩させていただいた。休憩所から見える太平洋が実に美しかった。海の底まで見えた。


金柑のお接待
しばらく休憩してふたたび歩きを再開すると、道端に大きな金柑の木が数本あった。遍路道沿いのお花はお接待花と云って、お遍路さんの目を楽しませるために地元のかたが植えてくださっているのだそう。同様に遍路道沿いの実のなる木のうち商業用でないものは、お遍路さんへのお接待のために植えてあるものなので食べてもよいとのことだった。そして、この金柑の木はお接待木だと言われた。
そこで、中に入って小さくてかわいらしい金柑の実を獲っていたら、通りがかったご近所のかたが、お接待だと言ってたくさん獲ってくださった。
誤って売り物を獲ってしまってはいけないので、木になっている果実を自分で獲るのは慎重にしたいが、いかにも四国らしいお接待だ。さっそくその場でひとついただいてみたら、皮が薄くて甘い、旬の金柑だった。

海岸線から山に入る
その後は海岸線に沿って漁港を眺めながら進み、白浜休憩所に着いた。白浜休憩所も野田産業さんの設計によるもので、白浜海岸をぐるりと見渡すことができるよう二階建てになっていたので、上がって休憩した。

白浜休憩所から
休憩を終えると岬を横断する道に入る。俳句が並ぶ整備された道を登り、車道を歩いて山座峠まで来ると、突然正面にバス停みたいな休憩所が見えた。これまた野田産業さん設計の山座休憩所だった。休憩所のすぐ左脇が遍路道の入口になっており、そこを下った。短いながらけっこう急な下りの山道だった。

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遍路道を抜けるとふたたび海が見える。日和佐湾に面して恵比須浜。海岸に沿って歩いていると、波に浸食されてゴツゴツした大きな岩が迫ってくる。さらに進むと、フェンス越しに、海にせり出して大きな穴が空いた岩、恵比須洞が見えた。その後も交通量の少ない県道をくねくね進むと、大浜海岸。アカウミガメの産卵地で有名なところとのことだった。


阿波最後の札所、23番札所薬王寺を参拝
なおも歩いていると昔の宿場町のような雰囲気の市街地に入り、しばらく行くと、大きな川の向こうに赤くそびえる瑜祇塔が見えた。さらに歩くこと5分で仁王門の手前の石柱門に着いた。発心の道場阿波最後の札所、23番札所薬王寺である。
薬王寺は、厄除けのお寺として全国的に有名なお寺だけあって境内が広く、多くの参拝客で賑わっていた。

真裏が裏堂、さらにまわると肺病に効く肺大師
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本堂の真裏にある

昇った先に瑜祇塔がある
女坂ともに61段で還暦厄除けを祈願できる
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御真言を唱え数え年の数だけ鐘を叩いて厄除けを願う
またお四国に呼ばれる日まで
参拝後は、日和佐駅に向かう途中のセルフうどんのお店で、天麩羅うどんを食べ、この後もお遍路を続ける先達さんと舞さんと、日和佐の駅前で別れた。別れぎわ、早く続きを歩きたいが、次はいつ来られるかわからないと話したわたしに対し、先達さんが、「そのときが来れば、またお四国から呼ばれます」と仰った。続けて、「高知は暖かいので、2月でも大丈夫ですよ」と。
上りホームに行くと、この一週間に遍路道で見かけた顔がいくつかあった。
(なお、たいへん残念なことに、月夜御水庵のお堂は既に無く、方丈とお地蔵様等が残るのみらしい)
【コースタイム(実際)】

