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【四国108箇所歩き遍路3(伊予)】#05 41番札所龍光寺~43番札所明石寺(2025年10月)

これは2015年12月~2025年11月にかけて、順打ち、全7回の区切り打ちで結願した四国108箇所歩き遍路の記録である。



今日は歯長峠越えの日なので、41番札所龍光寺のある三間地区の宿泊施設が廃業したとわかった時点で、わたしは卯之町に連泊して空身で歩くことにした。あわよくば、43番札所明石寺を打った後、鳥坂峠を越えて大洲の手前まで行ければ、翌日が楽だと考えた。
となると、総距離が2つの峠越え込みで25km超になるので、朝いちばんの列車で、昨日歩き終えたJR務田駅まで移動した。
お風呂とお洗濯をお願いする時間を考え、宿の女将さんには16時半までに戻る旨、メモも添えて伝えておいた。

予讃線の卯之町駅は、1時間に1本特急が停まる駅で、駅舎はまだ新しく、木の香り漂う明るくて広くて綺麗な待合室もあるが、無人駅。
学生や通勤客が既に数人、待合室で列車を待っていた。(6:33)

JR卯之町駅

卯之町から列車に乗り、北宇和島で乗り換えたら昨日の青ザックさんがいた。
列車の本数が少ないので、ある意味当然に予想されたこと。昨日「もう二度とお会いすることはないと思います」と言った言葉をできることなら取り返したかった。
朝食抜きで出てきたので、務田駅前のファミマに寄るわたしは、龍光寺を通過して仏木寺へ向かう青ザックさんと、挨拶して別れた。(7:59)

務田の交差点に古い道標と、横断歩道の向こうには黄色い大きな看板があり、へんろ道はすぐにわかった。

務田の交差点に遍路道を示す古い道標


へんろシールに従って三間川を渡ると長い一本道で、前方に歩き遍路がひとり見えた。そして、一本道を過ぎた後は、曲がり角ごとに古い道標があったので迷うことはなく、駅からほぼ30分で境内に着いた。

新旧の道標が並ぶ道


41番札所龍光寺は、以前お宿でご一緒した車遍路さんから、マスク必須、納経は経本を見ながら読むよう言われていた。
案の定、納経所で、前のひとが、ちゃんと読経をするよう言われていた。今どきのお寺はみな監視カメラで見ている、とも。
カメラは、お賽銭泥棒や納札入の錦の納め札泥棒を監視しているのだと思っていたが、ちゃんとお参りしているかどうかも監視しているらしい。

ドキドキしながら入っていくと、わたしには、インフルエンザが相変わらず増えているという話だけだった。毎日参拝される門徒さんから感染者数の報告を受けているらしい。
確かにいまはどこも人手不足なので、外から感染症を持ち込まれたら、それでなくとも年中無休のお寺は法事などができなくなり、門徒さんにご迷惑をかけてしまって大変だろう。

龍光寺の手水舎は使用できないようになっている
納経所


龍光寺を出るとすぐに42番札所仏木寺に向かった。空身なのでまったく疲れない。
お寺の裏側の石段を昇る遍路道があるらしかったが、バス通り(県道31号線)に出る方が早いと聞いていたので、県道に出た。
ちょうどコスモス祭の時期で、県道31号線の向こうにピンク色の見事なコスモス畑が見えたとき、後ろから来た車が止まり、ご夫婦のお遍路さんからお接待の飴をいただいた。歩いているといつもいただくばかりだが、とりわけ愛媛に入ってからお接待が多い気がする。

三間地区のコスモス畑 案山子も力作揃い

ちなみに、三間は美味しい米どころとして有名なところ。コスモスは、稲刈り後すぐに種を蒔くと、2か月足らずで開花するらしい。
県道まで出ると仏木寺への道はほぼ真っ直ぐで、お寺が近づいてくると、車お遍路さんが出入りしている姿ですぐにそれとわかった。

仏木寺が見えてくる

 
42番札所仏木寺は、珍しい茅葺き屋根の鐘楼だった。

仏木寺の鐘楼、茅葺き屋根

 
参拝客が多いので納経所の前も行列だ。
しかし、重ね印の人が多く、思ったより早く順番は回ってきた。
四国は、いちど結願すると二巡目、三巡目とまわりたくなる人が多いと聞くが、そのことをこんなところでも実感する。
 
仏木寺を打ち終えるといよいよ歯長峠
2019年7月の豪雨で遍路道が崩落してしまい、崩落場所を迂回する梯子がかかっている写真をひとさまのブログで何度か見掛けていた。
できれば避けたいが、ほかにルートはない。
せめて、ひとりで通ることだけは避けたいので、コバンザメのようについて行くつもりで、ほかの歩き遍路さんを山門前のベンチで待ってみるが、誰も来ない。
歩き遍路っぽいひとが確かに何人かいたのだが、10分待っても誰も来ないので、諦めて歩きだした。


歯長峠道を示す遍路札が見えてくる

ゆっくり歩いていれば、そのうち誰かが追い越してくれるだろうと思い、遍路道を歩きだすがいつまで経っても後ろから人が来る気配がないまま、梯子に到達してしまった。

ちっとも怖さが伝わらないが、崩落箇所を迂回する梯子が見える

ひとりで梯子を昇ってひとりで落ちて冷たくなるのは避けたいと思うが、誰もこないのでは仕方ないので、ひとりで向かう。
梯子はしっかりしており、落ちる心配は皆無だった。梯子の先の道が少し狭いかな、というくらいで、あっけなく通過してしまった。

こんなことなら、無駄に人を待ったりせず、さっさと来ればよかったと思いながら歩いていると、後ろからようやく人がやってきた。 
挨拶すると、陽気な山屋さんで、富士山と北海道以外の百名山、つまり90座を踏破したという頼もしい方だったので、一緒に歩いてもらった。この先にも、橋が崩壊して増水時は渡れない箇所があるはずだった。

喋りながら歩いているとけっこうすいすい進むことができ、足もとばかり見て歩くわたし自身が危険な程度で、一般的な危険箇所は見当たらないまま、増水時渡れない箇所というのもわからないまま、車道に出た。

 少し進むと歯長峠。これを回避する歯長隧道は暗くて狭くて交通量が多く危険だと聞いていた。
百名山さんともなると当然に峠道を選択するはずだったが、今日のわたしは連泊で空身のうちに30km歩いて国道56号線の鳥坂峠を越すことも目論んでおり、少しでも時間短縮するため歯長隧道を行くつもりにしていた。
 ヘッドライトもマイ反射タスキも持っているので、トンネルも怖くない
そう話すと、百名山さんも、じゃぁ任せた、トンネルを行こうと賛同してくださり、トンネルへと進んで唖然とした。

歯長隧道 幅5.5m、長さ422.6m 出口が見える

ここまで全く車にあわなかったので当然に予想されたことだったが、トンネルを通る車はゼロ。
しかも、向こうの出口が見えているではないか。
これではヘッドライトどころか、反射タスキも要らない
松山自動車道が開通して以降、この道は車が通らなくなったらしい。
あっという間にトンネルを抜け、再び遍路道に入った。(11:24)

歯長隧道を出た先の、再びの遍路道

 こちらはさすがに滑落したら怖い道ではあったが、滑落するような道ではなく、30分もしないうちにまた車道に出る。

けっこう歩いた気がして地図を確認したら、残念なことにまだ仏木寺から4.9km地点。わたしが本日予定している行程の1/3にも達していなかった。
まだ20km近く歩かなくてはいけないとわかり、わたしはすっかり動揺してしまい、先を急ぐことにして、ホテルのチェックインまで時間があり余っているのでゆっくり行くという百名山さんと別れた。 

百名山さんと別れてすぐこそ、広くて綺麗な県道31号線をぐんぐん下りていたわたしだったが、しばらくすると向かい風が強くなり、笠があおられて歩けなくなり、歯長地蔵の前を通り過ぎた後、遍路道の案内板に従って肱川の手前を左折したものの、その後川を渡る遍路シールをみつけることができず、何度も地図を見返し、そうこうしているうちに、再び百名山さんに追いつかれた。 

しばらく県道29号線を一緒に歩いたのち、おうどん屋さんに寄るという百名山さんと別れ、わたしはまたひとり遍路道を明石寺に向かった。(12:22) 

そこからは、遍路道の案内だけ見落とさないよう注意して歩き、歯長隧道の出口から2時間で43番札所明石寺の奥之院である白王権現の鳥居の下に到着した。(13:23)

43番の奥之院 白王権現の鳥居

そこからさらに5分程度でようやく、43番札所明石寺。

明石寺の売店 けっこう大きい


トンネルとはいえ、峠ひとつ越えてきたわたしにとって、明石寺の境内はそれなりに広く感じられ、何度も石段を昇ったり降りたりした。

43番札所明石寺の本堂(石段の下から)


 参拝を終え、お納経をいただいてから、下の売店でトイレを借り、おやつを買ったついでに鳥坂峠方面への近道を尋ねると、
わかりやすい地図をさらさらと描いてくださり、遍路道へは、石段を上がったところにある大師堂の脇から入ると説明された。
今降りてきたのにまた昇らなくてはならないとわかり、がっくりきたが、
その方が近いと言われ、明日のためのもうひと踏ん張りだと思い直し、
いただいた地図を握り締めて、大師堂まで戻った。(14:06)

大師堂の脇から卯之町市街地に下りる遍路道に入る

 宇和文化の里の案内板を頼りに歩くと、ものの15分で遍路道を抜けた。

遍路道を抜け、卯之町の市街地へ

 しばらくして卯之町駅前近くを通過し、その後は国道56号線をまっすぐ北上して鳥坂隧道を目指した。 歩けるだけ歩いて、バスかタクシーで戻ってくる算段だ。

ところでわたしは重大なミスを犯していた。お宿の最寄りのバス停は卯之町駅で、卯之町駅で乗り降りするしかないと思い込んでいたことだ。
実際は、卯之町駅前をスキップして西予市役所前バス停にだけ停まる便が多く、しかも、このバス停の方がお宿からも近かった。
鳥坂隧道方面からお宿に帰る場合も、西予市役所前バス停で降りれば、ずっと早かったのだ。
これを卯之町駅で降りようとすると直行便がなく、途中でいちど乗換が必要になる。

たとえば、鳥坂トンネルバス停16:27発のバスに乗ると、西予市役所前バス停に16:43には着き、16:45にはお宿に帰ることができる。
しかし、それを知らないわたしは、15:40に、トンネル出口の約4km手前の大江バス停で泣く泣く煩悩をひとつ棄て、タクシー代1,700円を払って、16:20にお宿に戻ったのだった。 

しかも、玄関を開けたら、出迎えた女将さんは、幽霊でも見たかのように驚いた顔をしたので、こっちが驚いた。
女将さんはどうも、わたしが41番から43番を打った後、鳥坂峠を越えて大洲まで行ってから戻ってきたと思ったよう。
残念ながらわたしはそこまで健脚ではない。16時半までに戻ると言って出掛けたから、約束どおり16時半前に戻っただけだった。

今日もお洗濯と乾燥をしてもらえて、安堵した。 

【参考URL】
JR四国旅客鉄道 四国の駅時刻表
サイトいちばん上の路線図から各駅の最新の時刻表を探せる

宇和島自動車(路線バス)
トップページの画像の右下の「路線バス情報」の「🔍時刻表・運賃検索」から時刻を検索できる

【コースタイム(実際)】 


まつちや旅館(昨日から連泊)


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