【四国108箇所歩き遍路3(伊予)】#15 49番札所浄土寺~53番札所圓明寺(2025年10月)
これは2015年12月~2025年11月にかけて、順打ち、全7回の区切り打ちで結願した四国108箇所歩き遍路の記録である。
ホテルから本日最初の札所49番札所浄土寺まではわずか6分で、伊予鉄横河原線の踏切を越えて仁王門下に着いた。(7:40)



ほかに参拝客がいなかったので、スムーズに本堂、大師堂と参拝して納経所で納経代を出そうとしたら、お財布に小銭しか入っていなかった。
そこではじめて、昨晩ホテル併設の温泉に行くときに紙幣の大半とカード類を部屋の金庫に入れ、今朝出すのを忘れてチェックアウトしたことに気づいた。
納経所を出てすぐにホテルに電話すると、未だ清掃を始めていないのでお部屋はそのままにしておきますと言っていただけたので、ザックを境内の隅に置かせていただいて、ホテルまで急いだ。
フロントで金庫の忘れ物の件を告げるとすぐに鍵を出してくださり、部屋に入ると、金庫の中には紙幣とカードがそのまま残っていた。
気を取り直して、再度浄土寺へ向かう。
朝からいきなりのロスだったが、札所が近い日で良かった。
これが5km10km歩いた先で気づいたとなると、ほんとうにガッカリだ。

浄土寺の次なる札所は繁多寺。日尾八幡神社の角を曲がった道沿いには、既に10月だというのに、大きな青い朝顔がこぼれんばかりに群生していた。

次の繁多寺も、墓地の間の遍路道経由で20分しかかからなかった。(8:46)
50番札所繁多寺の鐘楼は、反り返った屋根の形がとても良く、しかも、天井には20枚の美しい絵が描かれていた。

納経所で伺うと、鐘楼の天井画は、中国の故事にある20人の親孝行の子どもたちを描いたものだということだった。

境内には大きな藤棚もあり、そこから松江市街地を一望することができたほか、俳句ポストがあった。さっそく何のひねりもない拙い一句を投句させていただいた。
しかし、ここでまたとんでもないことに気づいてしまった。
松江は正岡子規で有名な俳句の街。俳句ポストは俳句を入れる物である。それなのに、わたしは、昨日46番札所の浄瑠璃寺で短歌を入れた。恥ずかし過ぎる・・・。
本日二度目の気を取り直して、次は51番札所の石手寺へと進む。愛媛のこの辺りは札所が続く。
札所が多いと早く進めそうだが、納経に時間がかかるので歩く距離は激減する。それでなくとも秋は日が短いので、日暮れ前にお宿に入ろうとすると、秋遍路は歩ける時間が少なくなる。かと言って、わたしは読経を省略する勇気?もない。
そんなことを考えているうちに、40分足らずで51番札所の石手寺に着いた。(9:57)

ここを渡ると石手寺までは徒歩5分


石手寺は大きなお寺で、アーケード状の暗い参道沿いのお店も多ければ、参拝客も多かった。
ところで、今までのお寺では時々『お砂踏み』というものを見かけた。八十八ヶ所なり別格なりのお砂が地面の下に埋まっていて、その上を歩くと実際にそれらのお寺を回ったのと同じ御利益が得られるというものだ。
ここ石手寺には、八十八ヶ所の砂が袋に入ってお堂の濡れ縁のようなところにずらっと並べてあり、その袋を撫でれば・・・という『お砂撫で』だった。100円也。

砂が入った袋がずらっと並んでいる
ほかに、同じく八十八ヶ所巡りができるお山もあるらしい。

参拝を終えると、仁王門を出たすぐ右手を右折するつもりで、誤って手前を右折してしまったが、それでもちゃんと路地に抜けることができ、さらに進むと県道187号線に出た。
さて、石手寺を打つと、次の52番札所太山寺までは遠い。黄色い地図によると、最短コースをとっても10.5kmある。休憩込みで3時間コースである。
今日のお宿を予約する際、17時までには着く予定だと伝えたら、到着時刻が変更になる場合は必ず連絡するよう強く念押しされていた。
ただ、今のところ、計画どおりオンスケジュールで歩けていたので、気持ちに余裕があった。
県道187号線を進むと、ほどなく道後温泉地区に突入した。石手寺も人が多かったが、道後温泉は、四国一観光客が溢れていた。
通り抜けるつもりで歩いていると、『空の散歩道と足湯』という看板が目に入った。

ここを昇った先の広場の奥に足湯がある
足湯・・・歩き遍路中でなければ、迷うことなく立ち寄るところだが、今は歩き遍路中。まめ予防のためには湿り気御法度。しかし、時間に余裕はあるし、乾かせばいいんじゃない?
ということで、長い石段を昇った。昇った先は広場で、向こうに足湯の入口が見えた。覗くと、観光客が数人一列に並んで長方形の温泉に足をつっこんでいる。眼下には、かの有名な道後温泉本館。わぉ~。
さっそくザックを下ろし、靴と靴下を脱いで、わたしも温泉に足を入れて腰掛けた。(11:05)

足湯からの眺め
すっかりリフレッシュし、足をしっかり乾かして、道後温泉をあとにした。
道後温泉から太山寺へのルートはいくつかある。どのルートも距離的には変わらないように見えたので、街中を抜けて西へ進む遍路道を行くことにしたのだが、これがけっこう分かりづらかった。
護国神社、山頭火一草庵を通過するまではよかったが、国道196号線を越えた辺りで怪しくなった。



HenroHelperを見ながら歩くが、ふと気づくとずれている。戻って合わせてみたが、どうもしっくりこない。HenroHelperはベンチマークの情報が少なく、たとえば重要なバス停という表示はあっても肝心のバス停の名称はわからないので、下手するとスマホの画面上で自分が遍路道を歩いていることだけを確認しながら歩くようになる。かたや黄色い地図は、遍路道沿いのベンチマークの表示は多いのだが、少し外れた場所の表記がアバウトなので、遍路道から外れてしまったときやお宿を探すときに、自分がどこにいるのかわからなくなることが多い。
ドラッグストアの駐車場に入り、とりあえず、自販機で飲み物を買ってひと息入れた。(13:15)

ここで15分間地図とにらめっこ
自分で地図を見てもさっぱりわからないので、ちょうど駐車場を出て行こうとしていた車の男性に尋ねると、わたしの黄色い地図を縦にしたり横にしたりした後に、地図でサークルKと表示されているのが、すぐ隣にあるファミリーマートだと、今いる場所を教えてくださった。
ちゃんと遍路道上にいたのだが、地図が古いため現在地がわからなくなっただけだった。
そして、ちょうどこれから太山寺の方に行くから乗せて行ってあげようかとも言ってくださったのだが、これまで車のお接待はすべて断ってきたので、「歩きなので」とありがたくお気持ちだけを頂戴した。


その後、そのかたから教えていただいたとおりに進んでJR予讃線の踏切を越え、団地の横を通り、残り1.5kmを過ぎた辺りで地図よりかなり早く左折してしまった。農道のような道を山に向けて上ったが、お寺があるような気配がまったくない。気づくと、ずっとGPSをオンにしていたのでスマホのバッテリーが完全に落ちていた。来た道を戻った。
悲しいかな、いつのまにか計画からもすっかり遅れている。再度直進するが、もうこの先一歩も間違えられないという気持ちになり、松山北中学校の横で、通りがかった高齢男性の軽トラックを止めて、この道で合っているか尋ねた。軽トラックの男性は、太山寺に行ったことはないけれど、たぶん太山寺の場所はわかるから乗って行くか?と言ってくださった。
これまでずっと歩きにこだわっていたのに、と思ったが、いやいやこのこだわりこそが煩悩でしょう?という声がして、最後は、もう1分も無駄にしたくないという煩悩が勝って、今度はありがたく乗せていただいた。
52番札所太山寺は参拝に1時間みておいたほうがよいと聞いていたが、なるほど一ノ門から仁王門まで少しあり、その奥も距離がありそうなところを、仁王門の手前まで送ってくださったので、ほんとうに助かった。
軽トラックの後ろ姿を見送ってから仁王門をくぐったが、案内表示もなく、お寺の境内の雰囲気がしない。ちょうど道端で作業をしていたかたに道を尋ねると、間違いなくこれが参道で、本堂はこの先だということだった。急いで正面の広い坂道を駆け上った。仁王門から納経所までが320m、そこから四天王門をくぐった先の本堂と大師堂がさらに250mも離れていて、走ってまわってもたっぷり1時間かかり、泣きそうになった。
53番札所の圓明寺は、太山寺の仁王門を出て突き当たった県道183号線を左へ真っ直ぐ進むだけだったが、きょうのお宿に17時頃着くと言ってあり、変更になる場合は電話するよう言われていたのに、スマホのバッテリーが落ちて電話できないことが気になった。
時刻は既に16時を回っていた。早く電話しなくてはと、公衆電話を探しながら歩くが全く無い。
あと少しでもう圓明寺、というところまで来て郵便局があったので、中に入って近くに公衆電話がないか尋ねると、公衆電話はないけれど、郵便局はお遍路のおもてなしステーションだから、スマホの充電もできるし、なんなら電話を使ってくださいと仰ってくださった。スマホはいちど落としたので、ひょっとしたら壊れたのかも知れないという話をしたら、すぐ電源につないでみてくださり、2%と表示されたから壊れてはいないみたいですよ、と言ってくださったときには心底ほっとした。
そして、お言葉に甘え、お電話をお借りして宿に電話したのだが、何度鳴らしても出てもらえなかった。そうこうしている間にスマホの充電が8%になったので、8%あれば電話くらいできるだろうと思い、お礼を言っておいとました。地獄で仏に会うとはまさにこのことだった。
結局、お宿に連絡がついたのが17時、圓明寺を参拝してお宿についたのは17時半ちょうどで、当初の予定より30分遅れだった。札所も多く、とにかく疲れた。
が、一方で、ドラッグストアで道を教えてくださった男性、軽トラでお接待してくださった高齢男性、そして、和気郵便局のかたの温かさに助けられた一日だった。
【コースタイム(実際)】

リゾートインマーメイド(まめいど亭)(民宿、電話で予約)
宿泊:2食付8,500円(夕6:00?~、朝6:30~、実に丁寧で美味しいお料理を1階お座敷で、現金払いのみ)
洗濯:お接待(脱衣所内にあるので入浴中にお洗濯できる)
乾燥:風通しの良い2階廊下に大きな物干し台あり
その他:
和室(施錠不可)
玄関に金剛杖用の小さいバケツと敷物があり、洗って預かってくださる
トイレは男女共用1、洗面所はトイレの前に1
2階廊下に、身支度に便利な大きな姿見(鏡)あり
今回の区切りではじめて夕食にお吸い物が出て、とても美味しかった
後日帰宅したら、大女将さんから葉書が届いていた
部屋に浴衣とティッシュがないので持参する必要あり
