【四国108箇所歩き遍路3(伊予)】#10 大寶寺口から岩屋寺前バス停(2025年9月)
これは2015年12月~2025年11月にかけて、順打ち、全7回の区切り打ちで結願した四国108箇所歩き遍路の記録である。
今日は久万高原から岩屋寺前バス停まで歩く日。
大宝寺口バス停から歩きを繋ぐつもりだったが、とにかくザックを背負いたくない一心で、まず、いやしの宿八丁坂から今晩のお宿ガーデンタイムまで移動し、ザックを置いてから歩き始めようと思った。
そして昨日、いやしの宿八丁坂のご主人から久万行のバスの時刻を教えてもらっていたにも関わらず、朝、わたしはバスに乗り遅れてしまった。
慌てているわたしを見て、女将さんが、おそらく息子さんだと思うかたに「送ってってあげて」と仰り、息子さんが二つ返事で車に乗せてくださった。
峠御堂トンネルを抜けると結構なカーブが続き、そのカーブを抜けた辺りで息子さんが道の左側を指差して、「あそこに遍路道の入口があるので、そこから遍路道を行けばかなりのショートカットになります」と教えてくださった。
そして、続けて、「岩屋寺に向かう途中の古岩屋の辺りの遍路道はとても良いのですが、雨の日は滑って危ないので車道を歩くことをお薦めします」と教えてくださった。
今日はあいにくの雨だった。
ほどなく国道33号線沿いのガーデンタイムに到着。
ザックを預かっていただいて出発した。(7:50)
国道から一本奥まった旧道に入り、再開に向けて準備中だというおもご旅館の前を通り、そのまま直進して県道12号線まで出た。県道を右折して東へ進むと、大宝寺口バス停の少し先に、さきほど教えていただいた遍路道の入口があった。(8:25)

細い坂から遍路道に入る
遍路道に入り、雨もほとんど感じないほどの森のなかを進む。

とても歩きやすい
15分もしないで、峠御堂トンネルの入口の前に出た。(8:38)
道の向こう側にヘンロ小屋久万高原が見えたので、中で雨具を整えた。

右には峠御堂トンネル

峠御堂トンネルは白線だけで歩道がないトンネルだったが、反射タスキの箱もあり、交通量も少なく、何より623mと短いので、安心して歩くことができた。
トンネルを出てすぐ、道の反対側に大寶寺まで1.7kmの標識が見えた。峠御堂遍路道の出口だった。(8:58)

橋を渡り、いやしの宿八丁坂の前を通り過ぎる。
これで数日前タクシーに乗った区間が完全に繋がった。
さらに狩場苑の入口を通り過ぎた先に3つめの遍路道の入口があった。
空身で調子良く歩いてきたところの遍路道で、道幅も広かったので、朝のアドバイスを忘れて、ついそちらに入った。(9:40)

途中石畳の道や、ぬかるみ、下草が繁茂していて不安になる道もあったが、今回の区切りは石鎚山登山があったためにトレッキングシューズだったことが幸いし、気持ち良く歩けた。
森のなかだと雨をほとんど感じないで歩けるのも良い。



そうこうしているうちに、遍路道に入って初めての大きな分岐に来た。

分岐を右へ上がると大きな案内板があって、右は八丁坂、正面が国民宿舎古岩屋荘と読めたのだが、どう見ても古岩屋荘の矢印が指す方向は藪で、前へ進めなかったので、もとの分岐に戻って直進した。

ちなみに、八丁坂は2.8kmあるそうで、45番札所岩屋寺へと続く古くからの修行の道。この道を進むと岩屋寺の奥之院の白山行場の上から降りてくることになる。現在、白山行場の逼割行場は、300m下ったところにある納経所で鍵をもらわないと入れないので、逼割行場にお参りする場合には、また登り返す必要がある。
さて、分岐から5分で、国民宿舎古岩屋荘への遍路道が現われた。車は直進するようだったが、せっかくここまで来たので細い遍路道を下った。

ここから先は、濡れた石畳が、トレッキングシューズでもちょっとバランスを失うと滑りそうだった。ほんとうにこの道で国民宿舎へ行けるのか、庭にでも出るのかと不安を抱えながら、小川沿いの道をソロソロ進む。

5分も歩くと、左手に、川を背に小さな祠が現われた。

写真の左下に大きな人の手の形の矢印
祠の手前(向かって左)に案内板があり、右矢印で『不動明王』とあるので、祠の中を覗いたが真っ暗で何もない。
『不動明王』を探して祠の前を何度も往復しながら、ふと祠の裏の岸壁に目をやると、岸壁の中腹に鉄製のバルコニーのようなものがあるのが見えた。
川縁まで近づいて目を凝らし、息を呑んだ。はるか頭上に、古岩屋の不動明王の立ち姿があった。

木が生えていないところの洞窟におわします
思わず拝み、しばらくその場に佇んだ。そののち先に進むと、川向こうに質素な大師堂もあった。せっかくなのでこちらもお参りしたいと橋を渡ったが、もうじきお昼という時間にもかかわらず野宿遍路さんがテントを片づけているのが見えたので、諦めて引き返した。

さらに進むとぱっと視界が開け、今度は圧巻の存在感を放つ礫岩峰。案内板によると、結晶片岩の岩塊らしく、4,500万年前の古第三世紀の地層とのこと。


ここで遍路道は終りだった。ウォォ。(11:11)
すぐ近くに古岩屋のバス停があり、大きな屋根付トイレ付休憩所に自販機まであった。そして、目の前には国民宿舎古岩屋荘。温泉の幟がはためき、ファミリーレストランの看板も見えた。
期せずして凄いものを拝んでしまい、すっかりお腹がすいたので、ここでお昼にすべく中に入った。
が、暗い。エントランスのすぐ右がレストランなのだが、真っ暗でし~んとしている。フロントで尋ねると、「レストランは土日祝日しか営業していないんですよ」と言われる。ショックの余りそこから動けないでいるわたしに、フロントのかたが遠慮がちに、「カップ麺だったらありますけど・・・」と仰ってくださった。重ねて、待って貰えばお湯を沸かすので、ロビーで食べてもらってかまいませんよ、と。さらに、テレビをつけて見てもらってもいいですよ、と。
というわけで、カップ麺を買って、お湯をもらって食べた。どうぞごゆっくり、と言われたのを額面通りに受取って30分たっぷり休憩し、国民宿舎をあとにした。
さぁ、岩屋寺まで残り3km。
県道12号線をまっすぐ進み、古岩屋トンネルを抜けたら岩屋寺前バス停だったが、ここまで来ても、古岩屋の不動明王の興奮がまだ頭上を旋回しているわたしだった。

写真の左の方から来た
【コースタイム(実際)】

