【四国108箇所歩き遍路0】#06 遍路用品
お遍路の装備品のうち、遍路用品について、まず自信をもって言えるのは、装束については、最初に全部揃える必要は全く無いということ。
遍路用品は、一番札所以外にも六番札所安楽寺門の向かいに「祈りの仏具店」(ネットは「いっぽ一歩堂」)というお店があり、丈夫で便利なオリジナル商品が充実していて、しかも安い。
十番札所切幡寺の参道にある「スモトリ屋浅野総本店」も、遍路用品の品揃えが多く安い。
この辺りまでは山道もないので、ゆっくり探してよいと思う。
一番札所以外のお寺から歩きはじめる場合も、上記のお店のものはいずれもネットで購入できるので、菅笠や金剛杖等サイズが心配なものや嵩張るものだけ現地で購入すればよいと思う。
とは言え、歩き遍路では民家の軒先を通ることもある。家でお茶をしていたら見知らぬ人が突然目の前を通り過ぎていくのは、普通気持ち悪い。
だから、「お遍路です。怪しい者ではありません」と伝える意味で、ひとめでお遍路とわかる装束は大事らしい。
ということで、覚えている範囲で、わたしが実際に使ったものと、使ってみて気づいた点を書いてみる。
一般的な参拝目的での歩き遍路の場合だと思っていただきたいが、正解は人それぞれだと思うので、あくまで参考程度で。
◎必須
〇必須ではないがお薦め
△ほかで代替可(私見)
〇菅笠すげがさ:竹笠(39cm、三角)・ビニールカバー付
ひとめでお遍路だとわかる目印として、菅笠を選ぶかたは多い。
菅笠は日除け雨除けの実用品であり、かつ、ひとめでお遍路っぽくなるので、必需品ではないがお奨めである。わたしは先達さんのアドバイスでいちばん小さいサイズにしたが、頭の大きさ等による。
大きいと日除け雨除けとしては良いが、視界を遮ったり、背中のザックにあたって顔面にずり落ちて邪魔になったりするので、購入する際にはザックを背負って試着したい。菅笠については「大は小を兼ねない」。
なお、紐と五徳がいまいちらしく、わたしは、紐は先達さんに付け替えてもらった。五徳も留める場所を増やし、浮きやすいつなぎ目をガムテープで補強した。(頂上は事故によるものなのでスルーしていただきたい)

ヘリンボンテープ1cm幅×0.5m×2本を両耳の辺りにそれぞれつけ、あご紐を片方に固定

五徳については、いっぽ一歩堂の『笠フィット』が人気らしいが、木綿の日本手拭いを頭に巻いて、その上から被るだけでも頭に針金が刺さらなくなり、快適である。
強風で煽られるような日は、手拭いだけを頭に巻いて、笠はザックにしっかりくくりつけて歩いた。
また、ビニールカバーでけっこう雨をしのげるのは驚きだった。逆に雨の日以外は外しておいた方が涼しいと教えてもらった。
三角形のものは頂上が割れやすいので、脱いで床に置くときなどに気をつけたい。わたしは突風で笠が飛び、慌ててダイブして押さえつけたら大きく割れた。小さい穴であれば、いっぽ一歩堂に『笠キャップ』なるものがある。
一般的で安いのはわたしのような竹製の三角形のものだが、僧侶のかたなどは、ビニールカバー不要の柿渋仕上げの丸形が多い。これは丈夫だがとても高価で、通常の菅笠が3千円程度なのに対し、6万円程度する。
なお、どんな笠であれ、梵字を前にして被る。お寺の境内では脱がなくてよいとされているが、別格19番だけは笠も帽子と同じ扱いで、脱ぐよう言われた。
〇白衣びゃくえ:【いっぽ一歩堂】新・軽爽白衣(南無大師遍照金剛)・袖付
速乾性のポリエステル製が、夏は暑いが、皺にならず早く乾いていつまでも白いのでお奨め。
袖付きの方が日焼け予防かつ軽い防寒にもなるが、コンパクトな袖なし(笈摺おいずる)を選ぶ人が多い。
白いので、暗いトンネルでも目につきやすく安心である。
ただし、その昔、白衣は死装束、金剛杖は亡くなったときの墓標だったと聞いたが、お寺のご住職によると白衣は必須ではないそうだ。真偽の程は不明だが、戦後バス会社が始めたお遍路ツアーで広まったとも聞いた。
◎輪袈裟わげさ
お遍路の正装として必須。常に着用しておいた方がよいが、食事とトイレのときは外す。
が、どうしても外すのを忘れるし、汚したりひっかけたりしないよう、わたしはお寺の境内でだけ着用していた。従って、輪袈裟留めの必要性も感じなかった。
〇金剛杖:御杖カバーと鈴付
本来は、お大師様の分身で必須だと言われる。
身長-20~30cmくらいの長さがよい。太さは一律ではなく、素材により重さも違うらしい。使う度合いにもよるが、結願すると10cm以上短くなる人もいる。
山を下るときは2本あった方が膝にもやさしいので、実用面だけを考えると、トレッキングポール(I 型)2本組の方が、使用しないとき折畳めてよいと思う。そう、大きい声では言えないが、平地、特に傘をさしたいような雨の日に御杖は、少々お荷物なのである。だからお寺やお店などにすぐ忘れてしまい、取りに戻ることしばしばであった。
とは言え、マムシ生息地では、前に突いて歩けば、マムシは杖のほうを噛んでくれるので脚を噛まれるリスクが減ると言うし、鈴がついていれば、動物除けになるかも知れない。
御杖は『同行二人』、お大師様の分身と言われているので、粗末に扱ってはならず、宿に着いたら、洗って御杖立てか床の間に飾るものとされている。ところが、洗うお水が玄関にないお宿が大半なので、わたしは使い捨ておしぼりで拭くようにしていた。
飛行機では預けることになるが、四国の空港は大切に扱ってくれるので心配ない。
なお、厚手の御杖カバーがないと他人のものと間違えやすいし、木が硬いので持っていて手が痛くなる。何より、弘法大師を表わす梵字を素手で掴むことになるのでよろしくない。わたしは、道中の遍路用品店で安価な物を購入したらカバーが薄かったので、適当な緩衝材を詰めたほか、四面に反射シートを貼って、狭いトンネル内では車道側に持つようにしていた。

保管用の御杖袋なるものもあるが、わたしはたまたま家にあった袋で代用した。
ちなみに、超高級品は長さが長く、梵字部分を持たないで済むようになっているため、御杖カバーが不要らしい。
△山谷袋:【いっぽ一歩堂】巡拝こさんや&パック(無地、撥水製、小型、製造中止)
必需品ではない。が、参拝用品をまとめて入れるバッグがあると便利である。
入れるのは、経本、納経帳、お線香、ろうそく、ライター、お数珠、納め札、お賽銭、財布、スマホ、ティッシュ、紙石鹸など。
したがって、防水性を強くお奨めしたい。重くて汚れやすく濡れると厄介な綿キャンパス地はお奨めしない。『四国歩き遍路の旅』で高山忠士さんは、1番札所霊山寺で買った綿製の山谷袋が派手に破れ、43番札所明石寺の売店でビニール製に買換えていた。
ただ、完全防水の作りのものをわたしは見たことがない。ファスナー部が防水ではなく蓋も被せなので、横から雨が入るのだ。そこでわたしは、(ミニサイズだったので)雨天時はシャワーキャップを被せてなかみの浸水を防いだ。
大きさは、一般的な納経帳だと必然的にバッグも大型になり邪魔で重いので、ミニ納経帳とミニバッグの組み合わせにして正解だった。
ところが、2026年5月現在、いっぽ一歩堂ではミニサイズの扱いがない。なぜだろう?過去にはわたしのバッグを見て、買ったばかりのバッグから同じ物に買換えたかたもいるくらい、女性には好評なのに。
話を戻すと、お線香やライターを入れるためのプラスチック製の仕切りがついていると、扱いやすい。

ただし、浅いところに入れたライターはよく飛び出した
肩からかけるのではなく、ザックを背負ってから画板のように首からかけ、さらに両腕も通すと重さを感じない。ただ、所詮ショルダーには違いないので、別格ではたまに遭遇する鎖場で前にぶらぶらするのが邪魔だった。
結論としては、完全防水の登山用ショルダーバッグ(またはザックに付属のトップリッド)とポケッタブルのアタックザックが最強なのではないかと個人的には思う。
◎経本:
必須。御経を覚えていても、経本を開いて唱えるのがマナーだと聞いた。
御経には、全てのお寺に共通の御経と、ご本尊により異なるご真言とがある。最初は毎回ご真言を探していたが、ご真言は本堂のどこかに必ず書いてあるので、途中からはそれを見ながら唱えるようにした。
写経を納める人は読経不要とも聞くが、わたしは納め札派だったのでわからない。
◎お数珠(念珠):
先達を目指すのでなければあるものでよく、白衣などより必須だとお寺のご住職から言われた。数を数えることで怒りを静める道具ともなるらしい。
なお、お数珠入れに入れると嵩張るので、気にしないかたはビニール袋で。
◎線香:
何でもよい。お寺のご住職曰く、少しくらい折れてもそのまま使用してよいらしい。あまり長いと折れやすく持ち運びづらいので一般的なものがよいと思う。
1回3本×2(本堂、大師堂)=6本をひとつのお寺で使う。
ほかのお堂もお参りするのであれば、3本ずつ使用数は増える。
3本は、過去、現在、未来を表わすと教わった。
紙箱のまま持参し、線香筒に、その日一日分+予備を毎朝入れておけば、お線香が折れにくく、札所で取り出しやすい。
〇線香筒:【玉初堂】お墓参り用お線香筒(外寸:幅4.5cm厚1.8cmの楕円形、高14.7cm、内寸は▲0.5cm)
アクリル製で簡素なものを近所の仏具屋さんで買い足した。お線香が折れにくく、残量もひとめでわかり、薄いので山谷バッグの仕切りにちょうど入り、必要十分だった。

36本(6ヶ寺分)入れてもまだ余裕がある
◎ろうそく:【日本香堂】まごころローソク(5分、約170本)
本堂と大師堂で1本ずつなので、ひとつのお寺で2本使う。
ということは88ヶ所で176本、108ヶ所で216本要るが、わたしが購入したまごころローソクは数えたら1箱170本ちょうどだった(おそらく変動あり)。
最初はもう少し長いものを使用していたが、お寺で山火事など出したら大変なので、途中から燃焼時間が短い本品に変えた。カメヤマローソク製もあるし、たまに不良品が混じっていてもよければ類似品を百均でも購入可。
ごちゃっと袋に入れても折れず、軽くてかさばらないのも良かった。
御経を唱え終えてふと見ると、もう燃えて跡形もなくなっているので、ちゃんと御経が届いたか少し不安になるのが唯一の難点か。
◎ライター:使い捨てライター(50円ライター)
ライター→自分のろうそく(またはお寺の種火)→自分のお線香が鉄則である。
マッチはごみが出るので対象外だが、使い捨てライターで十分、多少の雨風でも問題なく使えた。心配なかたは風除け付のもの(大きくて高いのが難点)も売られている。
なお、飛行機で移動するかたは没収されるので、四国入りしてから購入を。
風に強いプラズマライターという商品もあるが、わたしは使ったことがない。
◎お賽銭:5円玉
お賽銭の金額に決まりはなく、10円でも50円でも、はたまた語呂合わせのかたもいる。
少なくとも本堂と大師堂で1枚ずつ、ひとつのお寺で2枚以上使う。
6番安楽寺ほか両替してくれるお寺もあるが、品切れのこともあるので、わたしは出発前にコツコツ貯めて、20枚ずつ紐でくくって百均のチャック袋に入れて持参した。
けっこう重いが、四国の札所でPayPayは見かけなかったと思う。
厄除け祈願をする場合、数えの年齢分の1円玉も準備する。こちらは軽い。
◎納経帳:88箇所ミニ納経帳(線描画入)、別格ミニ納経帳(線描画入)(縦25cm×横18cm×厚1.5cm)
納経帳は、大きい方が御朱印が映え、将来的に何回も巡ることになった場合に重ね印しやすいが、わたしは山谷バッグの軽量化を重視し、小さい山谷バッグに入るサイズにした。
108ヶ所用というのは見たことがなく、2冊持ち歩いた。
(各札所の)線描画入りをお薦めする。参拝の進捗がわかりやすい。後ろに数ページだが白紙のページもある。
わたしは種類豊富なスモトリ屋浅野総本店のサイトで購入した。白紙が10ページと多めなので、奥之院や番外霊場で困らない。
なお、納経帳だけは何があっても絶対濡らすまじ。ということで、雨天時はジップロックに入れていた。
余談だが、1番札所で販売している納経帳は、最後にもういちど1番札所で納経するよう88番の次に1番が載っているらしい。
〇御軸:
わたしは違ったが、納経帳ではなく、掛軸用の絹布に納経をいただくこともできる。
納経所でドライヤーで何やら乾かしている人がいたら、御軸だ。
これを背負っていたらかなり上級者っぽい。
折れたり濡れたりしないよう専用のプラケースに入れて持ち歩き、結願したら、表具屋さんで掛軸に表装してもらう。
同様に納経用の専用白衣にいただくこともでき、亡くなってお棺に入るとき着せてもらうらしい。
◎納め札おさめふだ:納め札200枚セット(15.5cm×5cm)
本堂と大師堂で1枚ずつ、ひとつのお寺で2枚使うほか、お接待されたらお礼にお渡しする。
八十八ヶ所用とは別に、別格用の50枚セットがあるので、それぞれ176枚+お接待用、40枚+お接待用を準備する必要がある。
大きさは、この大きさが一般的で、飲食店などで額に入れて飾ってあるのをよく見掛けるが、一般のかたにお接待のお礼としてお渡しするのであれば、専門店のオリジナル商品(少し大きい)が喜ばれると先輩お遍路さんから教わったので、わたしはお接待のお礼のときだけ、29番札所の土佐国分寺の仁王門前にある扇屋さんのものを使っていた。
前の晩にあらかじめ一日分+予備の枚数の納め札になまえや数え歳等(個人情報を特定されない程度で可)を書いて、当日すぐ出せるようにしていた。
お寺の売店で買うと高いので、何かのついでに遍路用品店で購入してもよい。
有名な話だが、最初は白色。5巡目から緑色、10巡目から赤・・・と色を変える。
100巡目以上の場合、オーダーメイドの錦色になり、ひとさまのものをいただくだけでも御利益があるというが、わたしは飲食店や遍路宿で飾られているものしか見たことがない。
納め札入れは嵩張るのでお好みで。
〇写経:
本来納め札は簡易的なもので、正式には写経を納める。
わたしは納め札だったが、途中ご一緒したかたは、写経を納めていらした。
準備に時間がかかるうえに、八十八ヶ所だけでも176枚持参するのは重くて嵩張る。歩きの場合、区切り打ちでないと大変だと思う。
(トップ画像は、47番札所八坂寺の手前にあった案内板)
