【四国108箇所歩き遍路3(伊予)】#16 堀江から伊予亀岡(2025年10月)
これは2015年12月~2025年11月にかけて、順打ち、全7回の区切り打ちで結願した四国108箇所歩き遍路の記録である。
今日は朝から雨。気が重い。
53番札所の圓明寺から2km地点にあるまあめいど亭(リゾートインマーメイド)に泊まったひとの多くは、翌日大西辺りまで歩く。JR大西駅近くまで行けばビジネホテルと民宿がいくつかある。しかし、わたしは、ザックを背負っているということ、雨であること、この2つの理由から30km弱歩く自信がなかった。
朝出掛けるわたしを玄関まで見送りに出てみえた大女将さんが、ザックの位置が低いのでもっと上に背負われた方がよいと思いますよ、と仰った。大女将さんは昨晩の夕食時、学生時代山岳部で、信州辺りの山によく出掛けたと話していらした。その場で肩紐を短くし、重心を背中により近づけて背負い直したら、ずいぶんとザックが軽くなった。気持ちも少しだけ軽くなった。(7:38)
とは言え、きょうは途中で今晩のお宿の予約もいれなくてはいけない。わたしの脚では25km先の伊予亀岡駅辺りまで行ければ御の字だろう。
宿の前の道を曲がるときに振り返ると、雨のなか堀江湾まで沈んでみえた。


まずは県道347号線のバス通りに出て、今治を目指す。
県道は20分くらいで海沿いに出る。右側をJR予讃線の線路が走っているが、ほとんど列車は通らない。と思ったら、後ろから列車が近づいてくる音がした。白いアンパンマン列車だった。

アンパンマン列車はわたしの目の前を少し傾きながらぐ~んと左にカーブして、長い車体の図柄を惜しげもなく全て見せてくれながら岬の向こうへと消えていった。
気分あげあげ。アンパンマン、ありがとう!
さらに進むと県道は海を離れて内陸寄りになった。
お寺の前を通り過ぎようとして、山門のなかにベンチがあるのが見えた。

一部加工済
ザックを降ろして座れる!ついでに今晩のお宿も探したい。
ベンチだけお借りするのは如何なものかと、ちらっと思ったが、山門から本堂に向かってお辞儀だけしてベンチをお借りした。おかげで約2時間ぶりにまともな休憩をとることができた。
ただ、宿探しは難航した。この先北条辺りはゲストハウスや小さいビジネスホテルがたくさんあるのだが、聞いたこともないところに泊まる勇気がなく、かといって今日の今日なので目をつけていた遍路宿は予約できなかった。最終的に、今治まで列車で移動することにして、ネットで駅前のビジネスホテルを予約した。直前割だったのがせめてもの救いである。
乗換案内で調べると、約30分後に最寄りの粟井駅から観音寺行の列車が出ることがわかった。これに乗り、今治駅で下車して乗換14分で戻ってくれば、往復2時間のあと空身で歩ける。ということで、自分で自分を鼓舞して粟井駅へと向かうことにした。(9:32)

粟井駅に着き、ちょうど来た下り列車を見送り、無人駅の構内の券売機で今治までの切符を買って、予定通り列車に乗車した。(9:57)
さて、今治駅での乗換は14分しかない。駅前のホテルにチェックインして荷物を預けて駅まで戻ってくるのはリスクが高いので駅のコインロッカーに預けるとしても、JR四国の駅はICに対応してない。改札を出てロッカーに荷物を預けて切符を買ってホームに戻るとギリギリだろう。
車内でサブザックに荷物を仕分けする。幸い、札所はないしほぼ平地なので、貴重品と飲料と行動食程度で十分。早々に仕分けを終え、ネットで今治駅のコインロッカーの場所を確認し、ドキドキしながら車窓を眺めた。
小一時間で今治駅に到着。2階のホームから1階の改札まで駆け降りる。コインロッカーは改札を右に出て駅舎の外側通路を右に進んだ先のトイレの向こうだったが、気が急いているせいか遠く感じられた。幸い十分空きはあったが、荷物を入れて扉を閉めようとして百円玉が足りないことに気づいた。付近に両替機は・・・無い。
もういちどザックを背負って金剛杖を持って、改札まで戻って両替してもらい、通路を走った。ロッカーにザックを押し込んで、ふたたび改札の手前まで戻って切符を買って、改札を通って、ホームまで駆け上がった。
予想通り、カツカツのギリギリだった。
お昼時だというのにお弁当を買う時間もなく、1時間弱、行きと同じ景色をぼんやり眺めて過ごし、再び粟井駅に降り立った。(11:51)

雨さえ降っていなければ、もう少し気分をあげて行けるのに。
秋遍路に雨はつきものだとわかっていたが、それにしても雨が多い。
とりあえずお昼を食べるところを探しながら歩くが、よさそうなところは満杯で入れず、伊予北条駅の近くまで歩いてしまった。既に時計は12時半を回っている。
と、前方で女子高校生がたこ焼きを買っているのが見えた。

手前を右に進むとJR伊予北条駅
地元の女子高校生が学校帰りに買って帰るたこ焼き屋さんであれば間違いないだろう。瞬間元気になってお店に近づき、中に食べる場所はあるか尋ねたら、あるとのこと。迷わず中に入った。空腹で意識を失う寸前だった。
たこ焼きが焼き上がる間、小さいテーブル1つのほかは足の踏み場もほとんどない店内を見回す。壁に納め札が何枚か貼られている。狭いカウンターに店員さんが2人並んで、わたしが店内に居る間ずっと、猛烈な勢いでキャベツを刻んでいた。もちろん、たこ焼きは美味しかった。
伊予北条は、40年前にNHKドラマ『花へんろ』の舞台になった町ということで、遍路道沿いに大きな看板があった。

その先は、県道179号線から少し外れて杖大師の前を通過し、その後案内にしたがって右折して、さらに左折して、鎌大師に向かって丘を登った。




トイレはご自由にお使いくださいという大きな看板


鎌大師を過ぎ、さらに丘を登る。標高80mの鴻ノ坂峠を下って六地蔵を過ぎると浅海の町になり、国道196号線に入る。

国道に合流してすぐ
国道の反対側に原地蔵が見えた。しかし、こちら側の大師堂があるはずの一角は更地になっており、どこに大師堂があるのかすらわからなかった。
しばらく左に瀬戸内海、右にJR予讃線を眺めながら国道を進む。
漁港や、瓦屋さんの多い菊間の町を進む。
道端に山積みされた黒い瓦が銀色に光る。家々の屋根瓦も立派で、歩いていて気分が良い。


鎌大師から約2時間で遍照院が見えた。(15:41)
ここまで来れば、JR伊予亀岡の駅まであと1時間かからないはずだ。

遍照院からすぐ、案内に従って細い遍路道に入ったが、15分でまた国道196号線に合流した。その後は、そこそこ交通量のある国道196号線をひたすらまっすぐ歩いた。
40分ほど歩き、太陽石油の大きな工場の前を通り過ぎてすぐ、青木大師を示す小さな案内板があった。できればひとめお参りしていきたかったが、列車の時刻までもう30分しかなかった。あれでも乗り遅れたら1時間後なので、そのまま国道を直進した。

だが、今回はスキップ
そして、青木大師から約10分歩いて細い川を越えてもまだ伊予亀岡駅を示す表示が現われないことに焦りを感じ、道沿いの店舗に入って道を尋ね、橋まで戻って国道から南へ細い道に入り、踏切を渡って左折し、しばらく歩いてグランドの土手の下を過ぎ、ようやく駅の裏に出た。(16:41)
踏切を渡ったばかりなのに今度は陸橋を渡り、今治方面の上りホームに降り、小さい駅舎に入ると切符の券売機があった。
駅の正面に、普通に道があった。
あとでGoogle Mapsを見ると、川の少し前に分岐があり、国道196号線から県道167号線に入って直進し、右へちょっと入るだけで駅の正面だった。ただ、分岐に駅を示す案内板はない。県道167号線に入るという認識がなかったことと、遍路道なのでおそらく遍路シールくらいはあったのではないかと思うが、それも見落としていたのが敗因だった。
【コースタイム(実際)】

宿泊:直前割朝食付8,110円(朝7:00~、2階会場にて)
洗濯:300円(2台、3桁の暗証番号で蓋ロックができ、残時間もわかる)
乾燥:200円/30分(2台)
その他:
朝食がバイキングではなく、ご飯おかわり自由の和食か洋食を選べるのが良い
洗濯機と乾燥機が少ないうえに、宿泊階のランドリーコーナーにあるため使用時間に制限があり、21:00-8:00は閉鎖されて出し入れできなくなる
館内の自販機には千円札が使えないものもあるので、百円玉を十分に用意しておきたい(フロントでも両替可)
ベッドが大きく、加湿空気清浄機もあり、快適
お遍路にはチェックイン時フェイスタオルのお接待あり
駅北側のロータリーから1~2分の好立地でサイクリストにも人気
