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なぜ「英語を英語で習う」と、わからないところが一生わからないのか

英語のレッスンで何度も直されているのに、次の週また同じ言い方をしてしまう。あれは記憶力の問題ではない。直されたのは「出てきた文」で、直っていないのは「その文を組み立てた回路」だからだ。そして回路は、日本語でしか開かない。

先に結論の構造を3つ。

・つまずきの原因は英語の側ではなく、日本語の思考のクセの側にある
・「直される」と「なぜそうなるかがわかる」は別の体験で、前者は再現しない
・母語で一度腑に落ちた文法は、次の一文を自分で作れるようになる

順に解体していく。

  1. あなたの英語には、日本語の設計図が透けている

日本人の英語の間違いは、ランダムには起きない。驚くほどきれいに、同じところで起きる。

冠詞が抜ける。単数か複数かで一瞬止まる。主語が消える。前置詞で迷う。結論が文の後ろに来る。時制がずっと現在形になる。——これは英語を知らないから起きているのではない。日本語で組み立てた文を、そのまま英語に着せ替えているから起きている。

日本語には冠詞がない。単複の区別も義務ではない。主語は言わなくても通じる。結論は最後に置く。つまり、日本語という言語が「考えなくていい」ことにしてくれている項目が、英語では全部「考えなければいけない」項目になる。あなたが詰まっている場所は、日本語がサボらせてくれていた場所とほぼ一致する。

これは弱点ではなく、母語話者なら誰でも持っている構造だ。だが構造である以上、正しい文を100回聞いても勝手には消えない。設計図の側を書き換えないと、出てくる文だけを直しても、また同じ図面から同じ文が出てくる。

  1. 「直される」と「わかる」は、まったく別の体験になる

ここが一番大きい。

たとえば "I went to the shopping." と言ってしまったとする。正しい形はすぐ返ってくる。"I went shopping." だ。あなたは「なるほど」と言ってメモを取る。次の週、"I went to the fishing." と言う。

つまり、直されたのは一文であって、一文の背後にある「名詞のつもりで置いてしまうクセ」は手つかずのままなのだ。同じ図面から、無限に同じ種類の文が出てくる。これを一文ずつ潰していく作業には、終わりがない。

必要なのは訂正の量ではなく、「なぜ自分はそう言いたくなったのか」の説明だ。「日本語だと『買い物に行く』で、"買い物"が名詞に見えるから to をつけたくなる。でも英語ではこれは動作そのものだから、動詞の形で置く」——ここまで来て、はじめて次の一文を自分で作れる。fishing でも swimming でも、自分で判断できるようになる。1つ直るのではなく、その型が丸ごと直る。

そして、この「なぜそう言いたくなったのか」という経路は、日本語を母語として英語を後から獲得した人にしか辿れない。英語がはじめから自然に出てくる人は、正しい形を即座に出せる代わりに、日本語話者がどの分岐で曲がってしまうのかという地図を持っていない。持っている必要がなかったからだ。

これは能力の優劣の話ではない。役割が違うという、それだけの話だ。

  1. 「実戦」と「解読」は、両方いる。順番だけが問題になる

だから、英語を母語とする講師と話す時間に意味がない、という主張ではまったくない。

英語で英語を浴びる時間は、実戦としてはっきり効く。自然な速度、自然な言い回し、通じたときの手応え。これは日本語で説明していても手に入らない。

問題は順番のほうにある。土台ができる前に実戦だけを積み重ねると、「通じなかった理由」が回収されないまま次の週が来る。なんとなく通じた日と、なんとなく黙った日が交互に来て、自分がどこにいるのかわからないまま時間だけが積み上がる。何年やっても手応えがない、という状態の多くは、これだ。

順番はこうなる。まず自分の設計図のどこが英語と噛み合っていないかを、日本語で特定する。そのうえで、直した回路を実戦で回して固める。解読が先、実戦が後。逆にすると、実戦がただの答え合わせの時間になり、しかも答えは毎回聞かないと出てこない。

日本人講師である必然性は、「日本語が通じて安心だから」ではない。あなたのつまずきを、あなたの母語で分解できる人でないと、設計図に手が届かないからだ。

「英語ができない」ではなく、「どこで曲がったか」を知る

まとめる。

・間違いはランダムではなく、日本語の構造に沿って規則的に起きる
・だから訂正を積み上げても減らない。減るのは「なぜそう言いたくなるか」がわかったときだけ
・母語で分解してから実戦に出る。順番を逆にすると、時間だけが積み上がる

「英語ができない」という一言でひとまとめにされている中身は、人によってまったく違う。冠詞や単複で止まる人、語順の組み立てで止まる人、正しさを気にしすぎて口が開かない人、そもそも使う場面が決まっていない人。同じように黙っているように見えても、曲がった分岐が違う。

つまずいた場所が違えば、次にやることも変わる。だからまず、自分がどこで曲がっているのかを見に行くところから始めていい。現在地がわかれば、次の一歩は驚くほど具体的になる。

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