#038|【4月の臨床】いつも通りの手技なのに効果が出ない? 忙しい時こそ試したい「たわいもない話」の科学
最近の臨床で、こんなふうに感じることはありませんか?
「いつも通りの完璧な施術をしているのに、なぜか効果が出にくい」
「患者さんの筋肉の芯が、どうも緩みきらない」
実はそれ、皆様の技術のせいではありません。 4月は、進学、就職、異動など、環境の変化から無意識にストレス過多になりがちな季節です。患者さんの脳と身体は、過緊張(戦闘モード)のまま院のドアを開けています。防御壁がガチガチに張られた状態では、どんなに素晴らしい手技も本来の力を発揮しきれません。
そんな4月の臨床で、施術効果を劇的に高める「土台作り」のコツがあります。 それは、痛みの原因を探るための問診だけでなく、「もっとたわいもない話や、少しディープな話に耳を傾けてあげること」です。
「いやいや、次の患者さんも待っているし、時間通りに進めたいから無駄話をしている余裕はないよ」 そう思われる先生も多いかもしれません。責任感が強く、早く楽にしてあげたいと願う先生ほど、すぐに「手」を動かしたくなるものです。
しかし、脳科学の視点から見ると、この「たわいもない話」の時間こそが、施術効率を高めるための最強の物理的アプローチなのです。
人間の脳の奥深くには「扁桃体(へんとうたい)」という危険を察知するアラーム装置があり、4月のストレスでこれが鳴りっぱなしになっています。 ここで、先生が患者さんのたわいもない話にただ耳を傾け、受け止める時間を作るとどうなるか。脳内で「オキシトシン」という安心のホルモンが分泌され、扁桃体のアラームが物理的に静まることが分かっています。
オキシトシン研究の第一人者である高橋徳医師(統合医療クリニック院長)も、「人を思いやり、深く話を聴くことでオキシトシンが分泌され、交感神経の緊張が解けて副交感神経が高まる」と提唱しています。 つまり、手技に入る前の数分間、たわいもない話で盛り上がるだけで、患者さんの筋肉は内側から自然と緩み始め、施術を受け入れる準備が整うのです。
さらに興味深い事実があります。 患者さんの話を深く聴き、寄り添うスタンスを取る時、実は話を聴いている「施術者自身の脳内」でもオキシトシンが分泌されているのです。これは、忙しい現場で日々エネルギーを消耗しやすい先生方ご自身の心身を守り、癒やす効果もあるということです。
次の方がいらっしゃるから時間通りに進めたいところですが、そこをグッと堪えて。 最初の数分間だけ、あえて「たわいもない話」を聞き、お互いの脳内にオキシトシンを満たしてから施術に入ってみてください。
その「急がば回れ」の数分間が、皆様の素晴らしい手技の効果を何倍にも引き上げるはずです。明日の臨床から、ぜひ試してみてくださいね。
追伸: 皆様は最近、患者さんとどんな「たわいもない話」で盛り上がりましたか?ぜひコメント欄で教えてください!
■ 免責事項 本記事の内容は情報の提供を目的としたものであり、特定の疾患の診断や治療を代替するものではありません。施術の際は、患者様の状態に合わせた適切な判断をお願いいたします。
