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『ノウイットオール あなただけが知っている/森バジル』(2023.7 文藝春秋)

初めて読んだ森先生の小説がこの作品で良かったです。
読み終えた直後だから分かります、この先生は天才だと。
そして「松本清張賞」という、有名な名前だけしか知らなかった自分は大バカものだったということを。

一つの街を舞台に繰り広げられる、五人の登場人物による五つの物語が少しずつ重なっていき、最後に大きな《大爆発》を巻き起こす。

第30回松本清張賞受賞作、出版時宣伝POPに
〈5人の選考委員たちが、その挑戦を認めた超ド級新人誕生!〉と書かれていたらしいですが、まさにそれ!と言いたい。
この作品を一言で表すならば、『小説の常識を覆す・型を破るための意欲作』であると思います。

異なる主人公達が、それぞれの作品内で少しずつ伏線を回収しながら繋がりを見せていく連作短編集。
この群像劇スタイルには多くの傑作が誕生しておりますが、今回決定的に違うのは『推理小説・青春小説・科学小説・幻想小説・恋愛小説』と一作ずつテイストが違うことです。
ミステリー作品にグッと引き込まれたと思いきや、お笑いに賭ける男女の青春ストーリーで心を熱くした後、まるで魔法大戦をみているかのような科学バトルにワクワクする。そんなこと考えてたら、さらなる非日常系作品で、現実から一気にまた夢見心地へ…(前3作もそんな感じでしたが)
そして最後は、困難を乗り越えながら愛を掴みとろうとする主人公らの姿にキュンキュンします。

そして、読者は徐々に徐々に気付いていく。
この全く世界観の違う作品達は全て
「同じ街で、ほぼ同時期に起きていたお話で、彼ら(彼女ら)が気付かぬうちに関わりを持って
いた」ということに。
それを知っているのは読み手である自分だけ。

そう!
まさに「あなただけが知っている」なのです。

後は是非ご自身で読んで、しかと見届けてほしいですね。
全てのストーリーが繋がる瞬間を。
そして、天才誕生の瞬間を。

改めて「松本清張賞」というものを、詳しく知らなかった自分を恥じていますね。
何となく小難しそうな作品が選ばれるのかと思いきや、『エンタメとして勢いがあり面白いものが選ばれる』とのことでした。

もしかしたらこのnoteの主題となる作家さんの方々も今後は「松本清張賞」受賞者の皆様から選ばれていくかも…?

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