見出し画像

[詩] 冬の通り風

 節分を過ぎれば立春がやってくる。
節分を過ぎれば暦の上では春になる。
あともう少しで此方の世界にも春がやってくる。
冬の通り風が吹き荒び季節の変わり目を知らせる。
冬の通り風が強く長く存在感を出しながら吹き荒ぶ。その有り余る強い存在感は何かしら?他者を圧倒するラスボスの威勢?見せかけの壊れた鏡の虚勢?弱った硝子の心?デカダンスじみた演技をする道化師?古の絶滅寸前の魔術じみた自然?
冬の通り風が吹き流され目の前を通り過ぎる。
 冬の通り風は無味無臭無色だが無感情ではなかった。ありとあらゆる感情を生ける人間に、生ける動物に、生ける植物に、生きとし生けるもの全てに全生命力をかけてぶつける。笑いたくなる程の喜び。抑えつけられない程の怒り。涙が枯れる程の哀しみ。踊りだしたくなる程の愉しみ。相手にされない程の空虚な虚しさ。
 冬の通り風は人間以上の感情を動物的本能でぶつける。通り魔的に衝動的に発作的に妖魔的にぶつける。