読後にとても考えさせる短篇集「あまたの星、宝冠のごとく」
<SF(194歩目)>
とても高度で上質なSF短篇集です。
あまたの星、宝冠のごとく
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア (著), 影山 徹 (イラスト), 伊藤 典夫 (翻訳), 小野田 和子 (翻訳)
早川書房
「194歩目」は、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアさんの最晩年の短篇集で、とても考えさせる作品が多いです。
どの作品も円熟。短いが、読み終わった後に考え込む作品です。
「もどれ、過去へもどれ」
老人と若者が一時的に入れ替われる世界。
勿論、タイムトラベルで見えた未来の記憶を持ち帰ることはできないのだが。。。
この作品は、ガチガチのハードSFとして読むのではなく、「人生」と「愛」を考えさせる寓話として読むと面白い。
55年後の未来は、18歳の若者の予想に反した社会かもしれない。
科学技術が進歩していても、問題は解決されていない社会かもしれない。
でも、人間って「幸福」を求めて生きているから、得られるものも大きい。
「愛(love)」を学ぶ文学作品としても素晴らしかった。
「愛(love)」は単純じゃないことが伝わる作品で、人生の最後は等しく「死」であるのだが、そこに到達する前に様々な経験をして「愛(love)」を知って最後を迎えられれば、良かった人生と言えるのではないかと感じた。
とても考えさせる作品でした。
「いっしょに生きよう」
「もどれ、過去へもどれ」とは真逆の展開での作品。こちらはファーストコンタクトものであるが、やはりガチガチのハードSFとして読むのではなく、「人生」と「愛」を考えさせる作品でした。
より「生きる」ことに深く考えさせる作品で、「心」に接することで「生きる」意味を考えるきっかけになる。
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアさんは、活劇的なSF作品は少なく地味ともいわれるが、常に読後に考えさせる作品が多い。
それも、読む時期(環境や年齢)により考えさせる作品が変わっていく。
再読して、どの短篇に感じ入るのか?を考えさせられる作家です。
亡くなられて久しいが、また新訳等々で再注目される作家だと思う。
また、人生の岐路で心にしみる作品を再読したいと思いました。
小谷真理さんの「銃口の先に何がある?」も素晴らしい解説です。
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