眠りの間に脳は何をしているのか― グリンパティックシステムと記憶整理の最新研究
「ちゃんと寝たはずなのに、頭がすっきりしない」
そんな朝が続いていませんか。
睡眠は「体を休める時間」だと
思われがち。
でも実は、脳にとっては
一日で最も忙しい時間帯。
眠っている間、脳は驚くほど
アクティブに働いている。

夜の仕事① ― 脳の「大掃除」
2012年、ロチェスター大学のネーダガード博士らが発見した
「グリンパティックシステム」。
睡眠中、脳細胞の隙間が約60%広がり、脳脊髄液が流れ込んで、
日中に蓄積された老廃物を洗い流す仕組み。
この「大掃除」は、深い睡眠(ノンレム睡眠)の時に
最も活発に働く。
出典:Xie et al. (2013) Science
日本脳科学関連学会連合
つまり、ぐっすり眠れた朝に頭がすっきりしているのは、
夜の間に脳がきれいに掃除されたから。
逆に、浅い眠りが続くとこの掃除が不十分になり、
翌朝のぼんやり感につながる。
夜の仕事② ― 記憶の「引っ越し」
脳は掃除だけではなく、
もう一つ重要な仕事をしている。
「記憶の整理」だ。
Nature Reviews Neuroscience に
掲載されたディーケルマン&ボーンの
レビュー論文(2010年)によると、
深いノンレム睡眠中に、
日中に海馬(一時的な記憶の保管場所)に
保存された情報が再活性化され、
大脳皮質(長期記憶の保管場所)へ
転送される。
出典:Diekelmann & Born (2010)
Nature Reviews Neuroscience, 11, 114-126
いわば、記憶の「引っ越し」。
海馬という一時的な倉庫から、
大脳皮質という広い図書館へ、
大切な記憶を丁寧に並べ直す作業。
これが「記憶の固定化」と呼ばれる現象。

レム睡眠は「感情の整理係」
さらに、レム睡眠中には
感情的な記憶の処理が行われている。
嬉しかったこと、悲しかったこと、
驚いたこと。
その日の感情体験を整理し、
感情の安定に寄与するとされている。
「寝たら気持ちが落ち着いた」
という経験は、
科学的にも説明がつく現象なのだ。
「時間」だけではなく「質」
ここで大切なのは、
長く寝ればいいわけではないということ。
脳の大掃除も、記憶の引っ越しも、
感情の整理も、すべて
「深い睡眠」の時間に行われる。
鍵は「時間」ではなく「質」。
深い睡眠をしっかり確保するために、
室温を26〜28℃に保つ。
寝る30分前にスマホを置く。
寝る前にコップ1杯の水を飲む。
この3つだけで、
睡眠の質は大きく変わる。

毎日5分の記録で、眠りのパターンを知る
CyenseLifeで毎日5分、
コンディションを記録していると、
自分の眠りのパターンが見えてくる。
「よく眠れた日は脳トレの調子がいい」
「スマホを早めに置いた日は朝が快適」
自分の眠りに「意識を向ける」。
それだけで変化は始まる。
今夜、寝る前に今日の気分を一言書いて。
明日の朝、「すっきり度」を振り返ってみて。
眠っている間、
あなたの脳はちゃんと働いてくれている。
大掃除をして。
記憶を整理して。
感情を落ち着かせて。
だから、今夜は
脳にたっぷり仕事をさせてあげよう。
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、
医療行為の代替ではありません。
睡眠に関する深刻なお悩みは
専門医にご相談ください。
今日を記憶し、明日を愛する。
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次回予告
次回、健康トレンドニュース。
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