【日本語意訳版】Robinhoodの2,700万人超の顧客をどうクリプトに連れてくるか─Robinhoodが切り拓くクリプトの未来(2025.12/podcast)
「Robinhoodの2,700万人超の顧客をどうクリプトに連れてくるか──」
「Lighterは選択肢の一つ、Hyperliquidはもう一つの選択肢、我々が見るDefiの未来には他にもたくさんある」
こんな風に語るのはRobinhoodのクリプト部門のGMヨハン・カーバット氏
ビットコインのホワイトペーパーを読んで感銘を受け、Uber、Airbnbを経てzkのL1開発を行っていたエンジニアでもあるヨハン氏へのインタビュー(収録2025.12 edge podcast)を日本語意訳版として、抜粋して記事にしました。
話題は、Robinhood chain、Robinhood Ventures、ステーブルコイン、perpDEXにまで及んでいます。
では早速どうぞ
金融ニーズを1つのアプリで満たせる場所ークレカも、貯蓄も、投資も、クリプトも、全部このアプリ内でできる
聞き手:今のRobinhoodって色んな方向に広がっているよね。ヨハン自身は、今のRobinhoodをどんな風に見てる?
ヨハン:僕らはRobinhoodを「金融ニーズを1つのアプリで満たせる場所」と見ていて、クレカも、貯蓄も、投資も、クリプトも、全部このアプリ内でできる。
Robinhoodの強みは、「特定プロダクトだけじゃなくて資産管理・運用を任せられる場所」という点にある。
たとえば、ビットコインETFやビットコイン先物をショートして、同時に現物も買う(プレミアムを取りたいなど)ことが同じ場所でできる場所として活用している人がいる一方で、同じアプリの中で退職口座への投資や保険もある。
これはDeFiではなかなかできない大きな価値提案だと思っています。
そして今のRobinhoodはビジネスとして見ると、9桁(=少なくとも1億ドル規模)以上を生む事業が11個あって、これは会社のレジリエンス(耐性)を示していると思う。
真に分散化されたチェーンのセキュリティを作るのは、君も知ってる通りめちゃくちゃ難しい
聞き手:Robinhoodについての統計も見てたんだけど(かなりやばい数字が出てるね)、リスナーにも念のため説明しておこう。
Robinhoodには 預かり資産が3430億ドルあって、資金投入済み顧客が2710万人。そして過去12か月の純預け入れの成長率は+43%。
これらの数字は、結局Robinhoodへの“信頼”を物語ってると思うんだ。信頼って、サイトで大々的に広告を打ったからって獲得できるものじゃないし、ユーザーがそれだけで盛り上がるものでもないけど、どんなプラットフォームを使うかの核心はまさにここにあるよね。
そしてDeFiの核心も“信頼”
だから、Robinhoodが今年の夏にETHCCで『株をオンチェーンでトークン化する』、さらにEthereumのL2として位置づけられるものを作る、と発表したのは大きい瞬間だったと思う。評価フレームワークとして、どういう検討を経て、Ethereum上に独自チェーンを作るという結論に至ったの?
ヨハン:先に“信頼”の話で言うと、Robinhoodの一つの大きな強みはユーザー中心であることだと思う。これまでも、僕らはユーザーを常に中心に置いて、ユーザーがやりたいこと/アクセスしたいことに合っているかを徹底してきた。それがオンチェーンでも僕らのプロダクトがうまくいってる理由だと思う。
で、独自チェーンについては検討材料としてはいくつか観点があった。いま多くの会社が自分たちのL1を作っているよね。僕らも“自分たちで作りたいものを何でもコントロールできる”というアイデアにはワクワクしたし、他のチェーンとやり取りしなくていい、というのも魅力だった。
でも同時に、本物の、きちんと分散化されたチェーンのセキュリティを作るのは、君も知ってる通りめちゃくちゃ難しい。僕らはそれを Ethereumからほぼ無料で得られる。Ethereumは長い間動いてきていて、セキュリティは安定してるし、分散化されている。これがまず重要なポイント。
それに、新しいL1のいくつかを見ると、正直、分散化されてない/安全でもないことが多い。結局のところ、それって『実質、ちょっと見た目がいいだけのデータベース』で、普通のデータベースより遅いかもしれない、みたいな話になっちゃう。僕らはそこに価値を見いだせなかった。
Ethereumなら、デフォルトでセキュリティが手に入る。
そしてL2で得られる二つ目のものは、EVM互換チェーン群にすでに存在する流動性。これも僕らにとって非常に重要な意思決定要因だった。もし本当に“株式市場”をチェーンに持ち込みたいなら、その流動性が必要になる。閉じたループ、閉じたチェーンだと不可能だし、そこへブリッジするのに『20個くらいの障害物(hoops)』を越えないといけないような状態だと、誰もアクセスできない。だから僕らは、この2点(セキュリティと流動性)に集中したくて、Ethereum上で作ると決めたんだ。
Robinhood chainローンチ後は、誰でもアクセスできるようになるし、誰でもその上で開発できる。ユーザーは自分の株をオンチェーンに持ち出して、好きなことを何でもできるようになる
聞き手:夏のETHCCでの発表以降、いま何がリリースされたのか気になってる。今トークン化された株式が約1,000銘柄 取引できるようになってるよね?これは EUのユーザー限定なんだよね?この先、他に何が来る?
ヨハン:今年、僕たちが成し遂げたことの一つに新規IPOを上場してほぼすぐにトークンとして取り込めたことがあると思う。これは自分たちが欲しい技術の一部を自分たちでしっかりとコントロールしていて、どれだけ競争力があるかを示してるーー僕らの場合、その鍵がトークン化エンジンで、何をトークン化できる/できないの自由度を大きく広げてくれる。
で、次に一番楽しみなのは、これを開放していくこと。今はまだ、できることはまだ多くない。たとえばレンディングプールに入れるとか、そういうことはできない。
でもチェーンをローンチした後は、誰でもアクセスできるようになるし、誰でもその上で開発できる。そうすれば、人々は自分の株をオンチェーンに持っていって、好きなことを何でもできるようになるんだ。
それともう一つは、これをもっと多くのユーザーに開放すること。今は規制の都合で主にヨーロッパ向け。将来的には適切な規制が整えば、米国や他の地域にも広げたいと思ってる。
今は創業者がVCを回って何ラウンドも調達して、最後にバンカーと話して『上場準備OK。NASDAQのような取引所に費用を払って上場』みたいな流れ。これを、暗号技術で置き換えられる可能性がある。
聞き手:もう一つ聞きたいのが プレIPO株の話。IPO前の株にアクセスできるって、かなり新しいよね。これはユーザーにとって、どういう意味・重要性があると思う?
ヨハン:僕らはこれを、いまも残ってる金融の 最大級の“不正義”の一つ だと思ってる。米国だと、プライベート市場にアクセスするには適格投資家である必要がある。つまり、基本的には 貯蓄が100万ドル以上あるか、年収が20万ドル以上がないとそもそも投資ができない。
あと企業側からすると90年代と比べると、上場までの年数が大きく違う。今は未上場企業が、低コストでベンチャーキャピタル資金をより簡単に調達できるから、企業側にとっては上場して開示や株価が毎日動くことによる負荷を抱えるより、未上場のままでいる方が得になりやすい。
でも、そのプロダクトを一番使っている“ユーザー”は投資できない。テックの大型IPOを考えても、使っているのは僕らみたいなリテールなのに、投資としてはアクセスできない。これは変える必要がある。
そしてもう一つ、プライベート市場がもっとオープンになっていくと思う理由は、資金調達のやり方そのものが変わり得るから。今は創業者がVCを回って何ラウンドも調達して、最後にバンカーと話して『上場準備OK。NASDAQみたいな取引所に費用を払って上場』みたいな流れ。これを、暗号技術で置き換えられる可能性がある。
実際、トークンを出すだけで十分な資金を調達できたチームもある。複数回に分けて資金調達して、クリプト市場の中に留まり上場のタイミングでもクリプトトークンを使えるかもしれない。そうすれば、こうした 仲介手数料をたくさん払わなくていい。
世界中の、より多くの創業者にプライベート市場へのアクセスを与えられる。資金調達が簡単にできる国が実質USに偏っている現状も変えられるかもしれない。だからトークン化は、プライベート市場を世界へ広げると思う。
「がっかりした」と言えるのは、発行体が取り始めた手数料なんだ。 ミント手数料、バーン手数料、それに、ドル準備資産から生まれる収益の全部が、発行体の懐にまっすぐ入っていく。
聞き手:Robinhoodが考えるステーブルコイン、USDGについて教えてほしい。君たちの考えるステーブルコインとは?
ヨハン:ステーブルコインについては、僕らは常に、「もしDeFiプロダクトを全部使いたいなら、銀行口座にある価値と同じ価値を、同じ価格でオンチェーンに持てないといけない」と感じていた。
それが、僕らがUSDCのサポートを始めたときに、スプレッドも手数料も、そういうものを一切取らなかった理由なんだ。
それは僕らにとって、本当に本当に重要だった。
だから、その後「がっかりした」と言えるのは、発行体が取り始めた手数料なんだ。 ミント手数料、バーン手数料、それに、ドル準備資産から生まれる収益の全部が、発行体の懐にまっすぐ入っていくこと。
それって、ユーザーにとって必ずしも良いプロダクトじゃないと思うんだ。
もっと多くの人をオンチェーンに呼び込んで、資産を貸す/借りる/その他いろいろ、もっと多くのことをしてもらいたいなら、こういうのは取り除かないといけない。(だって既存金融の口座に入れておけば、3.5%の利回りを得られるんだから)
それが、USDGの背景にあるアイデアなんだ。USDGは、ロビンフッドだけじゃない企業のコンソーシアム(共同体)だよ。
発行体(はPaxosだけど、Krakenが創設メンバーの一社だ。OKXやBullishみたいな他の大きな取引所も参加している。
狙いは基本的に、準備資産から生まれる収益を参加者に再配分できるようにすること。
Lighterへの投資は、私たちにLighterの成長へのエクスポージャーを与えるというのが大きいです。彼らは素晴らしい会社で、素晴らしいスタートアップだと思う
聞き手:最近、Robin Hood VenturesがLighterに投資した/戦略的パートナーシップだという発表がありましたよね。年末の見出し級ニュースに見えたけど、どうですか?
ヨハン:私たちは本当にワクワクしました。Lighterの創業者のVladは長いこと知っていて、実は、私たちの創業者のVladも彼をすごくよく知っています。
perpetual(無期限先物)っていうのは、私たちが本当に信じているアセットクラスなんです。私たちはEUで実際にそれをローンチしていて、人々がこのプロダクトにどれだけ興奮しているかも見ていますし、やれることがもっとたくさんあると感じています。
perpsは暗号資産だけじゃなく、あらゆるタイプの資産で成り立ちます。トークナイズド株でも、予測市場でも、何でもいい。だから私たちは、Lighterが2025年10月10日みたいな局面――流動性危機があって、多くのプラットフォームが何かをしていたけど何が起きたか必ずしも明確じゃなく、ADLプロセスとか流動性管理プロセスに不満が多かった――そういうところを、Lighterがうまく乗り切った点を非常に高く評価しています。
私たちが彼らのことを高く評価しているのは、Lighterが実際にすごく良いことをたくさんやっている、ということです。技術も素晴らしいと思うし、例えば彼らがゼロ知識証明をいろんな形で使って、「何が起きているのか」を、相手方をただ信頼するだけでなく検証できるという事実は重要だと思います。
Lighterへの投資は、私たちにLighterの成長へのエクスポージャーを与えるというのが大きいですし、私たちにとっては業界の動きを追い続けて、そこで何かが発展したら私たちもその一部でいられる、そのための良い方法でもあります。彼らは素晴らしい会社で、素晴らしいスタートアップだと思うので、これまでと同じくらいのスピードで成長し続けてほしいですね。
Lighterは選択肢の一つ、Hyperliquidはもう一つの選択肢、他にもたくさんある。
聞き手:Hyperliquidには「builder codes」っていう、他のフロントエンドがHyperliquidのバックエンドを使える仕組みがあるじゃないですか。LighterとRobinhoodの間でも、たとえばLighterがバックエンドで、ロビンフッドがフロントエンドとして裏でLighterを使う、みたいなことは起こり得る?将来的にそうなる可能性はあると思う?
ヨハン:はい、私たちがずっとフォーカスしてきたことの一つです。たとえば、私たちは、裏側の取引所そのものより、ディストリビューションと成長に、ずっとよりフォーカスしてきました。暗号資産のリテールでは、多くのマーケットメイカーや取引所があって、今年になってようやく、bitstampの買収で自分たちの取引所を持ったけど、それまでは必ずしも必要だと感じていませんでした。複数の取引所があると、流動性の安定性が上がるし、単一障害点を避けられるし、タイトな価格も出せます。
いまEUで提供しているプロダクトは、perpetualの流動性にbitstampを使っているけど、将来的には、より多くのプロダクトとより多くの安定性のために、追加することも考えられる。だから、Lighterは選択肢の一つ、Hyperliquidはもう一つの選択肢、他にもたくさんある。
でもDeFi領域では私たちにとっては、perpsがどう進化しているかを理解すること、そしてこの種のプロダクトへのアクセスをお客さんにどう提供するかを理解することが、より大きな焦点です。
それによってレバレッジを提供することもできる。そして最終的に彼らはお金を節約できる。だから、これは大きなゲームチェンジャーになると思います。
聞き手:最後に、まだ触れていないプロダクトとして、ロビンフッドは暗号資産担保ローンを提供する可能性はある?
ヨハン:ええ、それはますます最近、聞かれるようになっていることです。私たちとしては、長い間必ずしも主な焦点ではありませんでした。なぜなら、需要がそこまで多くなかったからです。
でも今は資産がかなり値上がりして、そういう声が増えている状況になってきていると思います。
さっき言ったことに似ていますが、DeFi上にはそれをやる方法がたくさんあります。なので私たちにとっての問いはむしろ、「このタイプの商品へのアクセスを顧客にどう提供するか」、そして「彼らが自分が何をしているのかを理解していることをどう確実に認識してもらうか」です。
現状はお金を借りるためのローンを申し込むには、たくさんの書類作業が必要で、あなたが用意するのにも時間がかかるし、読む人にも時間がかかるし、さらに審査する人にも時間がかかる。
これはスマートコントラクトやオンチェーンの技術で、もっと自動化できます。
だから、あらゆるトークン化されたアセットの担保ローンは多くの人にとって大幅にコストを節約できるし、リスクに応じて低いレバレッジ/高いレバレッジを提供することもできる。
そして最終的に彼らはお金を節約できる。だから、これは大きなゲームチェンジャーになると思います。
まとめ
沢山のFUDを集め、持続可能じゃないと言われ続けたRobinhoodは今や2700万人以上のユーザー、1億ドル以上の利益をあげる事業を10個以上を有するアメリカを代表する金融サービスにまでになりました。
そして今、SECの議長や米政府クリプト担当のDavid sacksは既存金融のオンチェーン化を急速に進めています。
既存金融とクリプトが融合していく、ここからの数年は非常に刺激的で歴史的な時代ーHyperliquidの創業者jeffの言葉を借りれば黄金時代ーになるのかもしれないと筆者はとてもワクワクしています。
(なおファンダメンタルとトークンや株式の価格は必ずしも連動しないので、その点は注意が必要)
終わり
