【日本語意訳版】Lighter創業者Vlad氏Podcast インタビュー(2025.11.25):誰もが多様な資産にアクセスできるようにするーという意味での”金融の民主化”だけじゃなくて、 「小さな個人のユーザーが、無料でそれを利用できるようにする」 ことも、 そのミッションの一部だと思っている。

Lighter CEO on 'democratizing finance' with a zero-fee, ZK perp DEX
https://www.theblock.co/post/380475/lighter-ceo-on-democratizing-finance-with-a-zero-fee-zk-perp-dex

2025年、筆者が最も取引を行ったperpDEXは2つ。

HyperliquidとLighter

Hyperliquidについては、ここのNoteやXでもかなり紙幅を割いて色々と年始から書いてきたけど、今回はLighter創業者のPodcastの中身がかなり興味深かったので(トレーダー視点でPerpDEXを語るなど)、意訳版として筆者の補足も入れながら、記事にしてみたい。

本題に入る前の予備知識としてLighterのCEOのVlad氏は、非常に珍しいタイプの人物で、天才的な頭脳の持ち主(ハーバードを飛び級卒業)で、連続起業家、エンジェル投資家(Rampほか有望な投資先が非常に多い)、さらに広範にわたる人脈(Citadel,Robinhood,Foundersfund,a16z,Lightspeedなど超一流が揃いも揃っている)を持ち合わせていて、まさに絵に描いたような超絶エリートである。

ただ彼はX上などでは時としてToxicとも取れる”毒舌家”で、例えば有名なハイリキマキシの一人を先の大戦で戦争が終わったことを知らされなかった日本兵のようだと茶化したり、FUDをポストしてたソラナマキシに皮肉を言ったりと、とにかくヒールを楽しむかのようにアンチなどとバチバチにやり合っている(笑)

これには理由があると思っていて、LighterはHyperliquidと同様にマーケチームは存在しない。(これは双方のチームが明言している)

そのため、あえてLighterのVlad氏はハイリキマキシやソラナマキシからのFUDを見つけて、"口論"をふっかけて燃えさせようとしてるーある意味、炎上マーケティングみたいなもので、ヒールを演じることを楽しんでるという変わり種である。

HyperliquidのJeffが眩い太陽のようなヒーローなら、Vladは漆黒の闇に鈍い光を灯す月のようなヒールである。

今回はそんなVlad氏がLighterにどんなミッションを持って取り組んでいるのかなど”真面目に”語っています。

では早速どうぞ。ーー読了目安時間/約10分 (約13000文字)

HFT(高頻度取引)の立ち上げを始めたばかりの Citadel のチームを紹介してもらって、そこで初期メンバーとして参加した。


聞き手:最初の質問は、あなたのすごく多様で面白いバックグラウンドについて聞きたいです。

これまでにも優秀なゲストはたくさん来てもらいましたが、あなたの経歴は、その中でもさらに一際ヤバいかもしれません。

数学と物理のオリンピックに出場して、ハーバードに行き、卒業後すぐにスタートアップを共同創業して、それが最終的に Lighter に発展していった。

なので、あなたの初期の日々、そしてそれが今 Lighter で作っているものにどうつながっているのか、そこを順に話してもらえますか?

Vlad:一言で言うなら

「クリプト出身でファイナンスに入った人」じゃなくて、「ファイナンス出身で、AI を経由して DeFi にたどり着いた人」

って感じだね。

もう少し分解して話すと――僕は競技的な数学・物理・情報オリンピックをたくさんやるところから始めた。

当時は今と違って、そういう大会のことを知っている人自体ほとんどいなかった。でもその活動を通じて、のちに業界で活躍することになる人たちとたくさん出会ったんだ。

ハーバード在学中にはトレーディングに興味を持ち始めて、友人2人と一緒にクオンツ・トレーディングを自分たちでいろいろ試した。

その後、ちょうどハイ・フリークエンシー・トレーディング/HFT(高頻度取引)の立ち上げを始めたばかりの Citadel のチームを紹介してもらって、そこで初期メンバーとして参加した。(※1)

僕がフォーカスしていたのは、FX と先物の HFT だった。今 Lighter でやっていることの、ちょっと面白い前段階みたいなものだね。

それから、HFTの分野で合計8年くらい働いた。最初は Citadel、そのあと別の会社で HFT のトレーディング・デスクを立ち上げた。

さっき言ったオリンピック仲間の多くがシリコンバレーに行ったこともあって、2012年に僕もシリコンバレーに移った。

そこで AI やフィンテックの領域で、最初はエンジニアリングのリーダーとして、後にはファウンダーとして、いくつかのプロジェクトに関わった。

最初にビットコインの論文に出会ったのは 2012年だった。「これは本当にクールだ」と思ったよ。

ヘッジファンドをやめた直後は、数年間は伝統的な資産は取引できなかったんだけど、その頃はどこの会社もビットコインなんて全然知らなかったからね(笑)

だから 2013年ごろ、友人と一緒にビットコインをトレードするボットを作ろうとしていた。今のマーケットを見ている人からすると信じられないかもしれないけど、当時ビットコインは 1枚 50ドルとかそのくらいだった。

僕らは取引しようとしたけど、あまりにもマーケットが小さくて、ビジネスとしては面白くなかった。だから一旦横に置いておくことにした。

それでも、ずっとこの領域は追い続けていて、イーサリアムやゼロ知識証明などについても勉強していった。

それから 2022年、チームのみんな――僕だけじゃなくて――ブロックチェーンやクリプトのさまざまな側面に興味を持っていて、「じゃあ、何か一緒に作ろう」となった。

そこから色々アイデアを考えていって、最終的に Lighter につながっていった、という感じかな。


(筆者注:Citadel(アメリカの株式取引高の約25%を占める)とLighterは現在同じマイアミ、それもすぐ近くにオフィスがある。物理的な近さを侮ってはいけないと筆者は認識していて、BinanceもHyperliquidもマッチングエンジンは東京リージョンに寄せているし、HFTの中にはコンマ数秒を争い取引所への専用線を敷くために土地を買収することもあるぐらいである。CitadelとLighterの物理的な近さは彼らのこれまでの関係と今後のLighterのビジョンを考えると決して偶然ではないことが推察される。)

最終的に僕らがこの領域にワクワクした理由の一つは、「検証可能で、セキュアな形の金融システム」を構築できること。


聞き手:では Lighter について教えてください。Lighter とは何ですか?

Vlad:Lighter は、イーサリアムの上に構築されたパーペチュアルDEX(perp DEX)だ。

一番大事なポイントは、コストが低い、レイテンシが低い、セキュアで、検証可能(verifiable)、そしてコンポーザブル(合成可能)であること。

最初の3つ――低コスト・低レイテンシ・セキュア――は比較的わかりやすいと思う。

でも「検証可能(verifiable)」という点が本当に重要で、起きるすべてのこと、すべての注文、すべてのキャンセル、すべての清算について、「正しく処理された」という証明が存在する。

イーサリアムの上に構築されたカスタム L2 という形で動いていて、そこで起きるすべての金融処理が正しく行われたことを示すために、僕らが作った ZK サーキットを使って証明している。

それが「検証可能(verifiable)」の部分。

そして「コンポーザブル(composable)」という点もすごく重要だ。僕らのゴールは、「何かをトレードするための、壁に囲まれた庭(ウォールドガーデン)」を作ることではない。

より大きな DeFi エコシステム――その大半はイーサリアムの上にある――とつながることだ。

最終的に僕らがこの領域にワクワクした理由の一つは、「検証可能で、セキュアな形の金融システム」を構築できること。

だからこそ、そのシステムの他のパーツとコンポーザブルであることが、すごく重要なんだ。

「レンディング」「ステーブルコイン」「ステーキング」「予測市場」などをゼロから作り直す必要はない。イーサリアムに存在しているなら、そのまま動くようになるからだ。


聞き手:なぜイーサリアムの上の L2 として、ZK プルーフを使った検証可能性を重視する構成にしたのか。

もっと速いチェーンの上に L2 を作ることや、独自の L1 を作るといった選択肢もあったはずだが、なぜ今の選択をしたのか?

Vlad:そうだね。独自 L1 を作るという選択肢について、さっき挙げた5つのゴールに照らして考えると――

検証可能性(verifiability)については、独自 L1 でも到達できると思う。

でもセキュリティとコンポーザビリティの面ではかなり厳しい。

イーサリアムの上にいなければ、そのセキュリティの恩恵は全部失ってしまう。

例えば、独自 L1 を作って、そのチェーンが停止したり、壊れたりしたら、それで終わりだ。(※2)

その場合、ユーザーは資金を取り戻す術がない。つまり、ユーザーの資産がセキュアではない。

一方、僕らが選んだアーキテクチャだと、仮に L2 に問題が起きても――もちろんそれは好ましくないが――致命的ではない。

なぜなら、最悪の場合でも、ユーザーはイーサリアム側から資産を引き出すことができるからだ。

コンポーザビリティの面でも同じだ。

独自 L1 を作ると、その L1 の上に他のプロジェクトを乗せるために膨大な努力が必要になる。

よく「Lighter の上にプロジェクトをどうやって呼び込むのか?」と聞かれるけど、僕らとしては「呼び込む必要はほとんどない」と答えている。

なぜなら、イーサリアムの上に構築されているものなら、必要なパーツ―スポット(現物)や ZKVM のサイドカーなど―が揃い次第、Lighter と自然にコンポーズできるからだ。

そのためにいくつか揃えるべきもの(スポットや ZKVM サイドカー)はあるけれど、イーサリアム上に存在しているものについては、

「レンディング」「ステーブルコイン」「ステーキング」「予測市場」などをゼロから作り直す必要はない。

イーサリアムに存在しているなら、そのまま動くようになるからだ。

もう一つの質問は、「なぜより速い L1 の上の L2 にしなかったのか」という点だよね。

ここについては、Vitalik も言っているように、L1 がセキュアであればあるほど、その上に載る L2 はより効率的になれる。

L2 は、ハードウェアが許す限り、いくらでも効率的にできる。


(筆者注:スタンダードチャーター銀行がオンチェーン化にあたりEthereumを選んだ理由として速さなどより”落ちない”ことを挙げていて、Vitalikも落ちないことが強みだと度々言及している。既存金融がオンチェーン化にあたり、こぞってEthereumを選んでいる理由ーとにかく”落ちない”ことが何よりも最優先である)

聞き手:Lighter のようなプロダクトにとって、「最強クラスのライフラインとセキュリティ保証」がないことはデメリットが大きすぎて、ほとんど譲れない条件になってる?

Vlad:そうだね。

「絶対に譲れない」とまでは言わないかもしれないけど、イーサリアムが存在する以上、その上に構築する方が圧倒的に良い選択だとは思っている。

もしイーサリアムが存在しなかったら、Solana の上に作っていたか?

たぶん、そうかもしれない。何もせず諦めることはなかったと思う。

でも実際にはイーサリアムが存在し、そこに 1,000億ドル以上の資産が存在している。

それには理由がある。セキュリティがその大きな要因の一つだと思うし、長い時間をかけて、多くの優秀な開発者がその上で構築してきた、という事実も大きい。


当時、「手数料ゼロ」はみんなにとってクレイジーに聞こえた。「そんなのただのギミックだろ」「どうやって成り立つんだ」と。でも実際にはうまくいった。


聞き手:
では、Lighter を「一般ユーザーはゼロ手数料、より高度なユーザー(低レイテンシなどを求める人)には小さな手数料」というモデルにした判断について聞きたい。

これは、ある意味 Robinhood のモデルにも似ている。

どういう経緯でこの決定に至ったのか、そしてそれによって何が達成できると考えているのか、教えてほしい。

Vlad:いくつかの要素がある。

一つは、僕自身のバックグラウンドに関係している。

高校時代、僕は Robinhood のファウンダーと同じ高校に通っていた。当時、僕らは「高校に2人いる Vlad」だったんだ。

その後、僕らはどちらもHFTの世界で働き、さらにその後、シリコンバレーに行った。

Robinhood の初期には、僕は最初期のアドバイザーの一人だった。僕が助言していたのは、今話している部分とは違う領域だけど、彼らがビジネスモデルをどう考えていたかは間近で見てきた。

当時、「手数料ゼロ」はみんなにとってクレイジーに聞こえた。「そんなのただのギミックだろ」「どうやって成り立つんだ」と。

でも実際にはうまくいった。

それどころか、伝統金融の他プレイヤーもそのモデルに切り替え始めた。

広告ビジネスなど他の業界を考えてみれば、ある意味自然な発想だ。

ユーザー側の体験は、できるだけ摩擦がなく、シンプルであるべき。

そして「トレードでビジネスをしている側」の参加者――例えばプロのトレーディングチームから裏側で収益を生む。

例として、あるトレーディング・チームが Lighter でトレードしていて、1日に 10万ドル稼いでいるとする。

そこに手数料を導入して、利益が 8万ドルに減ったとしても、彼らは 8万ドルを取りに来る。去っていくわけじゃない。

一方で、一般ユーザーにはたくさんの選択肢があり、10個の取引所を並行して使うようなことは基本的にはしない。

だから、一般ユーザーの体験は最大限”なめらか”であるべきなんだ。

二つ目の理由は、技術的な側面だ。

僕らのテックスタックはコストが低いから、他のプロジェクトでは維持できないような「リテール向けゼロ手数料モデル」をサポートできる。

実際、プライベートベータの初期段階では、リテールもプロも含めて、全員が手数料ゼロだった。

その後、HFT やマーケットメイカーにだけ手数料を導入した。

でも他のアーキテクチャのプロジェクトだと、おそらくそれをやるとビジネスとして持たない。

三つ目は、もっと哲学的な話で、「金融の民主化」というミッションだ。

誰もが多様な資産にアクセスできるようにする、という意味での金融の民主化だけじゃなくて、「小さなユーザーが、無料でそれを利用できるようにする」ことも、そのミッションの一部だと思っている。


僕らが見てきた例では、一部の参加者は既存の手数料構造を前提としたモデルをすでに作り込んでいて、それを変えたがらない。既存のモデルを変えるには手間がかかる。


聞き手:私は2017年からフルタイムでクリプトにいるんだけど、その頃から「コインベースが今の手数料を永遠に取り続けられるわけがない」と思っていた。

最終的にはゼロか、ゼロに近い手数料になるはずだ、と。でも8年経った今でも、彼らは相変わらずリテールに対してかなり高い手数料を取っている。

誰もそれを本質的には変えてこなかった。

2017年に Binance が伸びた一つの理由は、コインベースより少し安い手数料を設定したからだと思う。でもそれでも、しっかり手数料は取っていた。

TradFi と同じように、最終的にはクリプトでも手数料はゼロに近づくと思うか?そして、なぜまだそうなっていないと思う?

Vlad:実際、すでに変わりつつある部分もあると思う。

コインベースや Metamask にはかなり高い手数料の部分もあるけど、それらはプロトレーダー向けではない。

よりプロ向けの「アドバンス」なバージョンでは、ずっと合理的な手数料になっている。

じゃあ、なぜゼロではないのか?

実はTradFi(伝統金融) の世界でも、ゼロ手数料になるまで何十年もかかった。

だけど、一度変わり始めると一気に変わった。

クリプトでも「きっかけ(カタリスト)」が必要なんだと思う。

テクノロジーもその一つだ。

バックエンドでゼロ手数料を支えられる技術がなければ、ゼロ手数料モデルは維持できない。

「1ドルかけて 99セントしか売上が出ない」みたいなビジネスは続かない。

でも技術的にそれを支えられるなら、ゼロ手数料モデルは理にかなっている。

理論的には、このモデルによって参加できるトレーダーや戦略の種類が増え、最終的に生み出せる収益の総量も増える。

じゃあ、なぜまだ広く起きていないのか?これは良い質問で、レガシーな構造の問題が大きいと思う。

僕らが見てきた例では、一部の参加者は既存の手数料構造を前提としたモデルをすでに作り込んでいて、それを変えたがらない。

既存のモデルを変えるには手間がかかる。

「ゼロ手数料の取引所に行ったら儲からない」わけじゃないが、システムの作り直しが必要で、そのコストを嫌がる。

Lighter は当初、リテールもプロも全員が手数料ゼロだった。

そしてマーケットメイカーについても、最初は LLP(僕らが運営する流動性プール、誰でも出資できる)だけがマーケットメイカーだった。

この構造によって、プロトコル側はかなりの交渉力を持てる。

例えば、あるマーケットメイカーが「この手数料構造は好きじゃない、自分たちは昔ながらの構造の方がいいし、モデルも全部それに合わせてある」と言ったとする。

それなら「他で取引していいよ」という話になる。

ある創業者の言葉を引用するなら、「嫌なら他で取引すればいい」。

でも、Lighter 上で得られるアルファに参加したいと思うなら、最終的にはこちら側のルールに合わせる必要がある。

だから、こういうゼロ手数料モデルがこれまで広く普及してこなかったのは、今言ったような構造的理由も大きい。

でも、ある程度規模が大きくなってくると、そうした抵抗もなくなっていく。


Robinhoodのチームとは定期的に連絡を取り合っていて、アイデアを出し合ったり、一緒にできることを模索したりはしている。


聞き手:
Robinhood との関係に戻りたい。

さっき、高校が一緒だったと言っていたし、彼(Robinhood の Vlad)があなたの最初のスタートアップに投資して、Robinhood も Lighter の直近ラウンドに投資している。

さらに今、Robinhood はクリプト領域への進出を加速していて、Robinhood Chain も立ち上げようとしている。

そういう状況を見ると、「友人で、株も持っているなら、単なる資金的なサポート以上の何かがあるのでは?」と感じる。

例えば将来的に、Lighter が Robinhood Chain の上にのるとか、Lighter のマーケットが Robinhood アプリの中で使えるようになるとか。

もちろん、もしそういう計画があっても今は詳細を話せないと思うけれど、少なくとも、単なる財務的な出資以上のものなのか?戦略面でどれくらい密接につながっているのか?

Vlad:Robinhood は、かなり前から自社プロダクトにクリプトを組み込んできた。

最近はウォレット・プロダクトで DeFi にも踏み込んでいるし、それはとても良いことだと思う。

彼らはイーサリアムの上に構築しているし、Vitalik や Arbitrum の創業者とカンヌでイベントもやっていた。

だから、彼らの取っている技術的な方向性には僕も強く賛成している。

そのことは、将来的にチェーン間の相互運用を一緒にやっていくチャンスを与えてくれるだろう。

例えば、彼らがトークン化株式の分野でもっと前進したとき、そのトークン化株式に対するデリバティブをLighter 上で活用できるかもしれない。(※4)

あるいは、さらに深い相互運用の機会が出てくるかもしれない。

それがどこまで広がっていくかは、今後の展開次第だ。

ただ、彼らのチームとは定期的に連絡を取り合っていて、アイデアを出し合ったり、一緒にできることを模索したりはしている。

現時点で一番ありがたいのは、彼らの投資そのものと、「金融の民主化」というミッションに対する哲学的な一致だと思っている。

でも、ある程度規模が大きくなってくると、そうした抵抗もなくなっていく。


(※4/筆者注: 先日発表があり、Robinhoodは今後3段階に分けて株式のトークン化をパーミッションレスで進めていくというーこれはRobinhoodから持ち出した株式をLighter側の担保にしてPerpsでトレードしたり、Valutで運用できることを示唆している)

実際に取引・清算・ポジション管理などの金融的なロジックが走る金融システム基盤レイヤーにはかなりの価値が集約される


聞き手:
レイヤー1とレイヤー2の「共生関係」をどう作るべきかという点についても教えてください。

Ethereum が L2 ロードマップを進めたことで、価値の取り分(value accrual)のほとんどが L2 側に行ってしまい、本当は L1 自体がスケールすべきなのに、L2 が寄生的(parasitic)な存在になっているという主張がここ数年あります。

では Ethereum にとってそれは意味があるのか、あるいは意味がないのか?

Vlad:以前から業界には、「なぜこんなにたくさん L1 があるのか?」という問いがありましたよね。

もちろん、いくつかについてはその価値について明快に言えるものもあるけど、そうでないものもたくさんある。

同じ質問は、「なぜこんなにたくさん Ethereum L2 があるのか?」という形でも言えると思います。

これも同様に、ある L2 については「なぜ存在するのか」がはっきりしている一方で、そうでないものもある。

ただ、Ethereum の上で起きてきたことの多くは DeFi です。

価値の取り分(value accrual)について言えば、インターネットを例にすると分かりやすいと思います。

たとえば、コアインフラを作る Cisco のような会社があり、その上にGoogle や Meta のようなアプリケーションが乗っている。

多くの価値は、Google や Meta のようなアプリケーション側に行きます。

ただし、それはインフラ層の価値がゼロだという意味ではまったくない。

Web3 が最終的に Web2 と同じ構図になる、と言っているわけではないですが、たとえそうだとしても、セキュリティレイヤーの価値が低いということにはならない、と僕は思っています。

僕が考える「将来の金融の姿」は、3つのレイヤーに分かれるイメージです。

  1. 一番上がフロントエンドレイヤー

    • それは中央集権的フロントエンドかもしれないし、分散型フロントエンドかもしれない。

    • 僕らとしては、分散型フロントエンドがたくさん存在してほしいですが、いずれにせよ「フロントエンドの層」がある。

  2. その下が「金融システム基盤(financial plumbing)」のレイヤー

    • 実際に取引・清算・ポジション管理などの金融的なロジックが走る層。

    • Lighter のようなプロダクトはここに当たる。

  3. 一番下が「セキュリティレイヤー」

    • Ethereum のような L1 が担う部分で、最終的な安全性と決済保証を提供する。

僕は、金融システム基盤レイヤーにはかなりの価値が集約されると思っています。

なぜなら DeFi は透明だからです。

誰かがフロントエンドレイヤーだけに立って、既存のインフラの上に UI を被せるだけで 50bps(0.5%)も手数料を取る、みたいなことはできません。

もし誰かがそうしたら、それが完全に透明に見えてしまうので、「もっと安くて良いものを作る」別の誰かがすぐに出てきてしまう

だから、同じロジックを当てはめると、価値が「金融システム基盤レイヤー」と「セキュリティレイヤー」の間でどう分配されるかは、これから実際に明らかになっていくでしょう。

多くの人は Ethereum を 「ETH トークン」として見ます。

君たち(聞き手のこと)はこれから Vitalik と話すと思うけど、おそらく彼の関心は、「世界のコンピュータ」として提供している価値の方にあり、ETH トークンの日々の値動きにはそこまで重心を置いていないんじゃないかと僕は思っています。


Robinhood に関わった経験から、「ゼロ手数料であっても裏側では十分な収益が出る」ことは頭では分かっていましたが、実際にそれが目の前で起きているのを見るのはやはり気持ちがいいですね。



聞き手:
今「価値の取り分(Value Capture)」の話をしているので、TGE(独自トークン発行)について聞かないわけにはいきません。

トークン、そしてそのトークンを通じてどうやって価値を取りにいくのか。

現時点で僕が理解している限りでは、具体的なガイダンスはまだあまり出していませんよね。

  • 年末までには TGE を行うつもりだ」というざっくりしたタイムラインは出している

  • ただ、マーケットはかなり不安定で、BTC も 12万ドルから 8万ドルまで落ちてきている

まず1つ目の質問は:

  1. こうした相場状況は、TGE 計画に何か影響を与えていますか?
    この環境での上場を見直すチームも出てきていますが、どう考えていますか?

そして2つ目は:

  1. 手数料の話をこれまでしてきましたが、

    • マーケットメイカーには低い手数料

    • 一般トレーダーには手数料ゼロという前提で、自分たちのトークンに価値を付加させる設計をどう考えているのか?

Vlad:そうですね、そのあたりの一部には答えられると思います。

まずマーケットタイミングの話から。

これは正直、どちらの側にも「それなりに筋の通った議論」があると思っています。

マーケットのピークでトークンをローンチするのは、必ずしも理想的ではありません。

たとえば、BTC が 12万ドルの時点で TGE をしたチームがいたとして、今振り返ってみてそれがマーケットタイミングとして本当にベストだったかと言えば、必ずしもそうとは言えないでしょう。

逆に、アセット価格がある程度下がって、そこから再び上昇に向かい始めるタイミングであれば、それはそれで「良いタイミング」かもしれません。

もし今後さらに崩壊が続くと確信しているなら、その限りではないかもしれませんが、僕たちとしては、そこに賭けて意思決定をする立場ではない

そういう要素は、あくまで「マージンで少し考慮する程度」かなと思っています。

最終的には、エコシステム全体に価値を生む決断をしながら、ひたすらプロダクトを作り続けるしかない。

すでに「年末までに TGE をする」とコミットしているので、今はその実現に向けて全力で取り組んでいます。

個人的には、結果的にマーケットタイミングが良くなる可能性もあると思っています。

  • 今少し「洗い出し(shakeout)」が起きて

  • その後、2026年に向けたラリーの土台になる

そんなシナリオもあり得ます。

もちろん、どうなるかは誰にも分からないし、僕たちはトレーダーではなくビルダーなので、マーケットタイミングを当てにいくのではなく、価値を作ることに集中しています。

ただ、必ずしも「悪いタイミング」とは限らない、ということですね。

トークノミクスについては、年末までの間に、かなり多くのことを話せるようになると思います。

なので、今この場で具体的な発表をすることはしません。

ただ一つ言えるのは、ゼロ手数料モデルについて、

  • HFT やマーケットメイカーには手数料を課している

  • その手数料収入が、正直「想定以上」に出ている

ということです。

最初に手数料をオンにしたとき、僕らは「1日 25万〜30万ドルくらいかな」と考えていました。

ところが、実際にはその2倍、もしくはそれ以上になっています。

Robinhood に関わった経験から、「ゼロ手数料であっても裏側では十分な収益が出る」ことは頭では分かっていましたが、実際にそれが目の前で起きているのを見るのはやはり気持ちがいいですね。


今の時点で、僕がビルダーではなくただのトレーダーとして見たときLighterとHyperliquid、この2つは、多くの中央集権取引所よりも「使いやすいプロダクト」だと胸を張って言えると思っています。


聞き手:
ちょっと興味があるのは、前回のブルマーケットでの「勝ち組 perp DEX」は dYdX だったという点です。

当時、dYdX は

  • Ethereum L2 の上にあり

  • ZK 系の技術(たしか StarkNet スタック)を使っていた

はずです。

その後、ベアマーケットに入り、彼らは Cosmos に移りました。

そのタイミングで、ボリュームは一度リセットされ、アクティビティもリセットされたという印象があります。

その間に、RFQ 型 DEX のような実験もいくつかありましたが、特に大きく花開いたプロジェクトはなかった。

そうした中で、直近になって Hyperliquid が台頭してきた。

ベアマーケット中にかなり多くのユーザーアクティビティを獲得し、マーケットが再び盛り上がる局面ではそのポジションをうまくテコにして一気に伸びた。

今では perp ボリュームのかなりの部分が Hyperliquid に流れています。

そこで聞きたいのは、「リセット効果」があると思うか?ということです。

つまり、今回のような「Flush(洗い流し)」が起きるときに、

  • すでにTGE を行い、ポイントプログラムもフルに使い切っているプロジェクトは、次のサイクルに対して不利になるのか?

  • 一方で、新しく出てくるプレイヤーは良いプロダクトを持ちかつフレッシュなトークンを武器にユーザーを引きつけられる

その結果、新参が一気に勝ち切る、ということが起こり得るのか?

ざっくり言うと、ブル/ベアのサイクルと、プロダクト構築との関係をどう見ているか?という質問です。

Vlad:マーケットタイミングという意味では、確かに考えるべきことはいろいろありますね。

僕も昔はトレーダーだったので、"トレーダー視点"で考えれば、検討すべき要素はたくさんある。

でもビルダー視点では、ただひたすら「最高のプロダクトを作る」しかないという結論に戻ってきます。

「本当はこの機能を今月出せるけど、マーケットタイミング的に2ヶ月待った方がいいからローンチを遅らせよう」みたいな意思決定をすることは、僕らは決してしません。

確かに僕たちが Lighter を作り始めた頃、「自分たちが作りたいものに一番近い存在」は dYdX でした。

もちろん、そこにはたくさんのギャップがあるとも感じていました。

さっき挙げた

  • 低コスト

  • 低レイテンシ

  • 検証可能性(verifiability)

  • セキュリティ

  • コンポーザビリティ

こういったポイントです。

dYdX は、perp DEX で「検証可能性」を最初に真剣にやったプロジェクトでした。

マッチングエンジンまでは証明していなかったけれど、少なくとも清算・決済部分については ZK で証明していた。

そこから僕らも多くを学びました。

当時の dYdX は、

  • 手数料が特別安かったわけでも

  • レイテンシが極端に低かったわけでも

ありませんでしたが、それでも「その時点での他の選択肢と比べれば一番良い」プロダクトだったと思います。

ただボリュームに関しては「CeFi 対 DeFi 全体のボリューム」の方がより大きなストーリーだと思っています。

2022年に FTX が崩壊したとき、多くの人がこう考えたはずです。

「さすがにみんな分かっただろう。これからは DeFi に移行するんじゃないか?」

でも、実際にはそうならなかった。

これは何を意味するか?

それは、当時の分散型プロダクトのプロダクトマーケットフィットがあまりにも悪かったということだと思います。

当時の PerpDEXの UX や性能は悪かった。

ただ、今はそこから大きく変わったと僕は考えています。

今の時点で、僕がビルダーではなくただのトレーダーとして見たとき、

  • Lighter

  • Hyperliquid

この2つは、多くの中央集権取引所よりも「使いやすいプロダクト」だと胸を張って言えると思っています。

だから、僕にとっての「大きな話」は、CeFi → DeFi へのボリュームの移行なんです。

ベアマーケットだった 2023年でさえ、中央集権取引所全体の年間換算の収益は少なくとも 100億ドル以上あったと思います。

つまり、まだまだ奪えるマーケットシェアは巨大だということ。

ベアマーケットの中では、

  • 新しいプレイヤーが参入し

  • 以前からいたプレイヤーの一部は洗い流される

ということが起きるかもしれません。

その結果として、「DeFi 対 CeFi」のリセットが起こる可能性は、十分にあると思います。

一方でPerpDEX同士だけを見たとき、「来月ローンチする新プロジェクト」と「6ヶ月前にローンチしたプロジェクト」のどちらが有利か?

これは、さっきの CeFi 対 DeFi ほど明確ではないと思います。

面白いダイナミクスはあるだろうけど、そこまで簡単に「新参が必ず有利」とは言い切れない。

なので、僕が「まだ起きていないが、プロダクトの観点では起きる準備ができている」と考えている一番大きなリセットは、

CeFi から DeFi へのシフトです。

終わりに

筆者は今年の春頃にホワイトペーパーを読み、Vlad氏が何かのインタビューに答えていたのを見て興味を持ち、Vlad氏以外にもチームには物理、情報のメダリストがゴロゴロいるのを知り、”手数料無料のperpDEX”をやるだけのチームとはとても思えないというのが初期の印象でした。

そして今、彼らが何を目指しているのが徐々に明らかになりつつあるインタビューだったのではと思います。

Vlad氏が古くからの付き合いであるCitadelがLighterで取引したり、Robinhood経由で資金効率を上げられる相互運用性が実現するとき、どんな状況になっているのか、今から楽しみです。

現在HyperliquidもLighterもRWA✖️PerpDEXの道を切り開き始めていて(クリプトとは取引量もプレイヤーも桁違い)、ここからPerpDEXとして伝統金融との本当の闘いが始まるのではと個人的には見ています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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