第2話:宮司と願掛け ーー願掛けのお焚き上げは依怙贔屓?
神は平等に見る。だが、拾うかどうかは別の話だ。
あらすじ
神社に戻った宮司と式神、そしてダメ神。
願掛けと護摩札を巡り、「祈りは誰のためにあるのか」が静かに、そして滑稽に暴かれていく。
(約55字)
冒頭
秋も終わりを告げる遠州の神社。
境内には、風に運ばれたイチョウや楓の枯葉が静かに積もり、朝の光が石畳を淡く照らしていた。
玉砂利を踏む足音が止まった瞬間、空気がわずかに張り詰める。
式神は背筋を伸ばした。
目の前に現れた男――宮司・神能。その所作は、どこか人間離れしており、無駄がなかった。
「この人は、神に近い人間だ」
そんな直感が、胸の奥を走る。
穏やかな挨拶の後、三人は社務所奥の和室へ通される。
畳の香りと線香の煙、机の上には祈願書と絵馬の山。
そこで語られたのは、「願い」と「成就」の現実だった。
すべての願いが叶うわけではない。
拾われない祈りもある。
式神は戸惑い、問いかける。
「それは、選り好みではないのですか?」
宮司は静かに答える。
神々は平等に見る。
だが、運は魂の輝きに引き寄せられるのだと――。
その一方で、当の神様はというと、姿勢正しく居眠りをしていた。
神聖と俗、厳粛と漫才。
神社という舞台で、祈りの本質が少しずつズレて露わになっていく。
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今回の世界観ミニ設定(3行)
願掛けは「成就」か「御焚き上げ」に仕分けされる
拾われなかった祈りは、時間と共に消える
神の平等と、人の不平等は同時に成立している
God-Eye観測(第2話)
【対象:恵比寿神】
分類:乙類社格主神/存在確認済
コード:EBS-001
役職:遠江神社主神
勤務評価:C
勤務姿勢:F
観測コメント
姿勢を正したまま眠る技術は、もはや神業。
反省よりも開き直りが先行する傾向あり。
【対象:式神(通称ウサギ神)】
分類:従属神格/高精度観測型
コード:MIK-11
役職:主神補佐官(式神大学 首席卒)
勤務評価:S
勤務姿勢:S
観測コメント
正しさを信じすぎる危険性が顕在化。
「気にし過ぎでは?」が口癖。
【対象:宮司・神能】
分類:人間
コード:天界コードなし
役職:宮司
勤務評価:A
勤務姿勢:A
観測コメント
人でありながら神界に近い視座を持つ。
この男、何かを知っている。
おまけ
神様「ねぇ、式神君。」
式神「はい、なんでしょう」
神様「作者と打合せしたとき、確か題名は「神様と式神の不思議な話」だった記憶あるけど、なんでいつの間にか題名が変っているの?」
式神「先日作者に会って、変えてもらいました。」(ドヤ
神様「は? 何勝手に会って、勝手に題名変えているの?」
式神「第一話で確信したのです。「神様と式神の不思議な話」では読者的なインパクトなくバズらないと判断しました。なので、「ダメ神と呼ばれていますが、何か」に変更してもらいました。」(ドヤ
神様「あれだけ、クラクラ寿司を手持ちで打合せしたのに・・・。」
式神「私は、寿司まんざいで接待しました。」
神様「・・・。主役は僕だよね・・・。」
式神「マーケティングや顧客層から判断して、データ分析と根拠を提示した結果、私主役の方が良いみたいなこと言ってましたよ。私、一応首席で卒業してるもので、この手は得意です。」
神様「さらっと、自慢ぶっ込んでくるねぇ、式神君」(イラ
式神「そうですか? 意識し過ぎでは?」
神様「開き直りも、首席級だな。まぁ、それはいい。あいつ・・・、今度会ってくる。会って話してくる」
式神「会いに行くのは構いませんが、奉務は怠りなく・・。」
神様「あの野郎・・・。」(イライラ
式神「あのぉ神様、読者が見ておられますが。」
神様「えっ⁉」
ケフンケフン。
「まぁ、一度きちんと会って話をして来るよ式神君」
式神「(あの神様でも、読者は意識するんですね・・・)はぁ」
制作秘話
第2話は、「願い」というテーマを真正面から扱いました。
ただし、説教にはしたくなかった。だからこそ、護摩札や絵馬の中身をあえて俗っぽく、少し笑えるものにしています。
人の願いは切実で、同時に身勝手です。
神の判断は冷酷に見えて、実はとても事務的。
そのズレを、宮司という“神に近い人間”を通して描きました。
また、この話から「ダメ神」と「式神」の関係性が、完全な上下ではなく、ズレた相棒になっていきます。
神聖と滑稽が同居する、このシリーズの方向性を固めた回でもあります。
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