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RIZIN54で起きた2つの計量オーバー――ガジャマトフ1.75kg、ミックス2.85kg超。契約違反がもたらす「リスク」の現実

RIZIN54の開幕を前に飛び込んできた、2件の計量オーバーという不穏なニュース。

今回の公式計量で規定体重をオーバーしたのは、伊藤裕樹の対戦相手であるアリベク・ガジャマトフ(1.75kgオーバー)と、佐藤将光と対戦する元Bellator王者のパッチー・ミックス(2.85kgオーバー)の2名だ。

試合自体は「勝者のみ公式記録(敗北・引き分けはノーコンテスト)」「減点2(レッドカード)」などのペナルティ付きで成立したものの、格闘技界において「計量オーバーでも対応すればいい」という空気が定着してしまうことには強い危機感を覚えずにはいられない。

改めて言いたい。計量オーバーは単なる失態ではなく、明らかな「契約違反」であり、対戦相手にとっても格闘技界にとってもリスクでしかない。

1. アリベク・ガジャマトフ(1.75kg超過):伊藤裕樹の神対応に甘えていいのか

フライ級(57.0kg)の規定に対し、1.75kgオーバーの58.75kgで計量を失敗したアリベク・ガジャマトフ。

極限まで血の滲むような減量をやり切り、契約通りに身体を作り上げた伊藤裕樹に対し、体重を作れなかったガジャマトフ。フライ級における1.75kgという差は、打撃の衝撃波や組みの圧力において決定的な不公平を生む。

「試合を成立させるため」「ファンのため」と、圧倒的に不利で危険な条件を受け入れた伊藤選手の姿勢はまさに「神」対応だ。しかし、その男気に甘え、パスした側の選手にばかりリスクを背負わせる構造を絶対に美談にしてはならない。

2. パッチー・ミックス(2.85kg超過):世界トップ峰ゆえに重い罪

バンタム級(61.0kg)に対し、実に2.85kgオーバーの63.85kgで計量失敗となったパッチー・ミックス。

世界最高峰の猛者として圧倒的な実績を誇る超一流ファイターが、およそ1階級分に近い大幅な体重超過を引き起こしたという現実は、ファンや関係者に大きな衝撃を与えた。対戦相手の佐藤将光が「これはディスリスペクト」と静かな怒りを露わにしたのも当然である。

実績や格がある選手であればあるほど、その影響力は絶大だ。「トップ選手なら落とせなくても試合になる」という悪しき前例を作らないためにも、二度と繰り返せないレベルの重いペナルティが科されるべきだ。

「契約を守れないなら契約しない」――魔裟斗が語ったプロの絶対条件

K-1のレジェンド・魔裟斗氏も、以前計量オーバーについてこう語っていた。

 「契約した内容を守れないなら、契約しない。契約したなら約束守る。これが基本中の基本。」

至極当然の言葉だが、これこそがプロアスリートの根幹だ。

契約体重とは、お互いが対等な条件で命を預け合うために交わす「最低限の約束」である。「過酷な減量だから仕方ない」という言い訳はプロの世界では通用しない。減量も含めてのパフォーマンスであり、守れないのであれば最初から上の階級で契約すべきなのだ。

ファンがハラハラしたいのは「試合の勝敗」だ

前日計量の際、公式SNSを開くファンが抱く感情が「あいつ、体重パスしたかな……?」であっては絶対にならない。

なぜファンが計量ラインの数値を見て胃を痛めなければならないのか。なぜ「試合が流れるかもしれない」という恐怖に怯えなければならないのか。

私たちが格闘技に求めているのは、そんな場所でのハラハラではない。

リングの上で繰り広げられる、研ぎ澄まされた技術と意地がぶつかり合う「試合の勝敗」にハラハラしたいのだ。

健全な格闘技界の未来のために

RIZIN54で試合が成立したのは、伊藤裕樹や佐藤将光といった対戦相手たちのプロ意識と覚悟による「救済」に過ぎない。これを決して成功体験にしてはならない。

ファイトマネーの厳罰な没収、一定期間の出場停止措置、そしてルールの厳格化。選手が命を安全に預け合い、ファンが心から熱狂できるリングを取り戻すための改革が、今まさに求められている。


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