花嫁の母になるまであと 80日小さい頃の話①
ふうちゃん2歳頃
ある晴れた日、朝ごはんをしっかり食べてご機嫌なふうちゃん。
食後に機嫌よく、色んな音の出るおもちゃで遊んでいる。
よし、この間に洗濯物を干そう。
ベランダにでて洗濯物を干していた。
私がベランダに出ると、ふうちゃんも窓際までおもちゃを持って移動してきた。少しでも私の姿が見えていると安心するみたい。
遊びながらたまにベランダの掃き出し窓からひょこっと覗いて、
『ママぁ、ふうちゃん、トントンしゅゆー』
『ママぁ、ふうちゃん、ピッピしゅゆー』
『ママぁ、ふうちゃん、もしもししゅゆー』と話しかけてくる。
ふうちゃんがおもちゃにくっついている金槌を持って、そこについているボタンをおすとトントントン。レジのバーコードリーダーのおもちゃを手にとってボタンをおすとピッピッピ。携帯電話の形のおもちゃからはプルプルプルーといろんな音が聞こえてきてにぎやか。
なにかふうちゃんが話しかけてくるたびに
『ピッピするの?上手だねえ。』
『トントンするの、上手だねえ。』
と洗濯物を干す手は止めず、相槌のような返事を返していた。
『ママぁ、もしもしーって』
『もしもししてるのー?上手だねえ』
『ママぁ、もしもしー』
『もしもししてるの?パパですかー?って言ってごらん』
ふうちゃんの食べこぼしたエプロン、お外で遊んで汚れたパーカー、洗濯物はまだまだある。
ふうちゃんのことも、気にしつつ引き続き洗濯物を干していた。
『ママぁ、』『すうぱあまつもとお』
???????
すうぱあまつもとお?
スーパーマツモト?
ばあちゃんとよくいくあのスーパーの名前?
突然どうした??
洗濯物はまだあったけど、気になって
すぐ、お部屋に一歩足を踏み入れてみた。
みると、小さな手に家の電話の受話器を持って立っているふうちゃん。
え????手が届かないと思っていたのに、なんでふうちゃん持ってるの?
えー、届くようになったんだー。
いや、そんなことより、もしや、その電話鳴ってた?もしや、つながってる?!
すぐ受話器をふうちゃんから受け取った。
『もしもし?』と話してみた。すると
『あー。もしもし、スーパーマツモトではないんですけど、ホンダの松本ですう~。おはようございます。(笑)』
電話の向こうで大笑いしている、ディーラーの営業担当の松本さん。
『わああああ、ごめんなさい。すごいお待たせしましたよね。ごめんなさいっ!』ひたすら謝る。
『いえいえ、かわいかったですー』
あー、恥ずかしい。きっと私が『パパですかーっていってごらん』とか言ってたのも聞こえてたでしょう。
『いやいや、おかあさん早く電話でて』って思ってたでしょう。ほんとにごめんなさい。
電話を切ってから、ふうちゃんを抱っこして、
『ふうちゃん、もしもし出たの?』『うん、もしもしーでたの』
『何回もママにもしもしだよって教えてくれてたのにごめんね』『うん』
『でも、おもしろかったねえ』『うん』
しばらく大笑いしてる私を見てふうちゃんも訳がわからないけど『あはは』と笑っていた。
でも、相手が担当の営業さんだからよかったものの、不審な電話だったらと思うととても怖くなり、それ以来電話はさらに高いところに置くようになった。
このエピソードは、ふうちゃんが大きくなった今も、ばあちゃんの家に行くときに、必ずスーパーマツモトの前を車で通り過ぎるのでそのたびに思い出しみんなで大笑いする話となった。あの時の小さなふうちゃん、かわいかったな。
スーパーマツモトの前を通るたびに思い出しては大笑いしてしまうこの話だけれど、次にスーパーマツモトの前を通る時、私たちの車の後部座席にふうちゃんはもう乗っていないよなぁ。
あー。小さな頃の話って宝物だ。
