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食と季節のはなし | 春・タケノコ


タケノコをもう少しだけちゃんと知りたい。

スーパーで当たり前に並ぶ春の味覚。でも意外と知らないことだらけだった。

毎年、春になると何となく食べている。煮物に入っていたり、炊き込みご飯になっていたり。でも考えてみれば、タケノコってどういうものなのか、きちんと立ち止まって向き合ったことがなかった。

スーパーに並ぶ土のついたかたまりを眺めながら、ふと思った。あれは何で、どこから来て、なんで春にしかないのだろう、と。調べていくうち、思っていたよりずっと奥深い世界が出てきたので、書き留めておく。

「竹の子」という、そのままの名前

タケノコは、竹が地面から顔を出したばかりの若芽のこと。漢字で書くと「筍」——竹かんむりが乗っていて、竹の幼いすがたを表す字だ。名前の由来もそのまま「竹の子」で、竹になる手前の段階、という意味がある。

日本でよく食べられているのは、孟宗竹(もうそうちく)という種類のもの。ほかにも淡竹(はちく)や真竹(まだけ)なども食用になるが、シェアとしては孟宗竹が圧倒的に多い。

竹の成長の速さについて種類によっては、1日でかなりの高さまで伸びることがある。昨日はなかったはずの場所に、翌朝ひょっこり顔を出している——そういう勢いがタケノコにはある。成長のピークを過ぎると繊維が増えて硬くなるため、食べるなら若いうちに限る。

掘ってすぐ、が正解らしい

タケノコに関して「鮮度命」という話をよく聞くが、これは本当のことで、収穫後に時間が経つほどえぐみが増しやすい。だから産地では「掘ったらすぐ茹でる」が鉄則とされている。

地面から大きく出てしまったものより、まだ土の中に深く埋まっているものの方が柔らかく、えぐみも少ない。旬の走りに出回る、先が黄みがかった小ぶりなタケノコが珍重されるのは、そういう理由がある。

茹でた断面に白い粉っぽいものが浮いていることがあるが、これはカビでも傷んでいるわけでもない。チロシンというアミノ酸の一種で、うまみ成分にも関わる物質だ。見た目にびっくりして捨てるのはもったいない。

春の食材として、理にかなっている

栄養面で見ると、タケノコは「ぎっしり詰まっている」というより、軽くて整える系の食材だ。低カロリーで食物繊維が多く、水分を豊富に含む。カリウムも含まれており、体内の余分な塩分を出す働きに関係する。

春という季節は、冬の間に溜め込んだものを少しずつ動かしていく時期でもある。そういう意味でも、軽くて食感があって、腸のはたらきをゆっくり助けるタケノコは、季節に合っている気がする。

栄養素の話ではなく、ただ「春らしい」という感覚——それは、俳句の世界でもタケノコが春の季語として使われていることからも伝わってくる。理屈ではなく、人の感覚がずっと前から知っていたのかもしれない。

今年の春は、土のついたタケノコを一本買って、自分で下茹でしてみようと思っている。特別なことではないけれど、なんとなくそうしたくなった。

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