江戸・明治に学ぶ、趣味の楽しみ(①手間暇をかける趣味)
1.江戸・明治時代の村人の趣味
いまの趣味で、トップ・スリーというと何が思い浮かぶでしょうか?
江戸・明治時代の農山漁村の人たちに人気の趣味は、俳諧、書道、絵画、生け花、茶道。さらに漢詩や謡曲、三味線や剣道を楽しんでいる人もいました。上品な感じがしますよね。
参考:渡辺尚志[2009]『百姓たちの江戸時代』筑摩書房
いずれも手間(労力)と暇(時間)をかけて、上達を喜ぶ趣味です。
(ヘッダーは『首尾の松』、国会図書館デジタルコレクション)
2.近代化で趣味は激変!
それを激変させ、映画などのお手軽な趣味を主流にしたのは、明治時代にはじまった工場労働でした。
当時=資本主義初期の工場労働者は過酷な労働を強いられました。
私たちは忙しくなったのです。
大城氏の論文ですべてが語られています。学術論文なので少々堅いですが引用します。
それまでは、手工業の時代ということもあり、職人という自分の腕一本で自分自身や家族の生活を養っている者が多数いた。
それゆえに、自分自身でモノを作り上げていくことに喜びを感じるため、娯楽もまた、プロ並みの知識を取り入れた玄人式習練を先行条件とする娯楽を好んだ。
しかし、資本主義社会が台頭し、協業や分業による大量生産・大量消費が主流になると、生活は「金がなく暇に乏しい」状態へと一転する。
また、協業や分業は単調な労働を生み出し、もはや、睡眠をとるだけでは鋭気を養うことは出来なくなった。
さらに、手工業時代のように玄人式習練を先行条件とする娯楽を楽しむ余裕も時間もなかった。
ゆえに、娯楽も新しい娯楽として誕生せざるを得なくなる。
工場で働きはじめると、クタクタで、習練が必要な趣味に使える時間もないということですね。
論文によると、そんな時期に登場したのが「寄席」「劇場」「活動写真」の3大民衆娯楽でした。
私たちの趣味は、見て聞いて楽しむものになったのです。
趣味ではありますが、気晴らしや時間つぶしなのかもしれませんね。

3.私たちもできる江戸・明治スタイルの趣味
見て聞いて楽しむ趣味が主流なった一方で、日曜大工や園芸、手芸やお菓子づくりなど、少なめのお金で、手間暇かけた趣味を楽しんでいる人はたくさんいます。
忙しい私たちでも、江戸・明治スタイルの趣味を楽しめるのです。
何事につけても「手間暇はかける価値がある」というのが私の意見で、趣味にも時間と労力をかける価値があると思っています。
最近、下記の記事を見て意を強くしました。みなさんも賛同されるでしょうか?
暮らしが便利になればなるほど、私たちの多くは満足しなくなる。
朗報もある。解決策も提示されている。
幸福への道はすべてを合理化することではなく、少しの不便さを意識的に選択することにあるのかもしれないというものだ。
まとめ
何でも手作りしようと考える江戸・明治時代の村人たちにとっては、趣味もお金をつぎ込むものではなく、手間暇をつぎ込んで楽しむものでした。
「長く楽しめるものに、金で手に入るものはない」というのはほぼ真実だと思っています。そんな彼ら彼女らの趣味を見ていきましょう。

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■私の書籍 2025年出版。本記事は「第6章 趣味の楽しみ」の一部です。書籍では現代生活への応用に重きを置いて書いています。

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