青いトマトと、ボツボツきゅうり、太っちょナス
夏になると、実家のハウスには
トマトやきゅうり、ナスがたくさん実っていた。
夕方になると、カゴを持って
お母さんやばあちゃんとハウスへ行き、
野菜を収穫する。
ハウスを開けると、ムンとした空気と共に、
野菜の匂いが漂ってくる。
青いトマトは、なんだか消毒みたいな匂いがした。
「それ、もう大丈夫だ。」
ばあちゃんはそう言って、青いトマトをカゴへ入れる。
きゅうりは大きくて、トゲがボツボツしている。
さわると手がチクチクする。
私は禿げたハサミで茎をちょんぎる。
ナスは、ずいぶん太っている。
たまに虫がぺろっと食べたのか、
白い部分が見えている。
たくさんの野菜を収穫して、台所まで運ぶ。
ハウスの中は暑くて、
ばあちゃんも、
お母さんも、
私も汗びっしょりだった。
ばあちゃんとお母さんが台所に立ち、
採れたばかりの野菜を料理していく。
ばあちゃんが野菜を洗い、
お母さんが焼く。
私は野菜を見ながら、
「これは曲がりすぎ。」
「これは大きいから、きゅうりもみだね。」
そんなことを思いながら、
野菜を仕分けしていた。
毎日食卓には、
採れたての野菜を使った料理が並んだ。
きゅうりもみ。
きゅうりとわかめの酢の物。
きゅうりの漬物。
油味噌。
なすの味噌汁。
なすの揚げ浸し。
なすの天ぷら。
焼きナスの生姜醤油。
なすの漬物。
なすとミョウガのうどん。
青いトマトは、じいちゃんが塩をつけて、
そのままかじる。
お父さんは、きゅうりもみをずっと食べていた。
私は、ちょっと青臭いトマトが苦手だった。
毎日野菜料理が続くと、たまにはパスタや、
おしゃれな料理が食べたいなと思う時もあった。
大人になった今でも、
実家や近所、親戚から
たくさんの野菜をいただく。
こんなに食べきれるかなと思いながら、
何を作ろうかな。
そんなことを考える。
けれど、結局、
私は今日もきゅうりもみを作り、
ナスを焼いて、トマトに塩をかけて食べている。
あの頃のようにトゲが痛くないきゅうり。
ちょうどいい大きさのナス。
そして、赤いトマト。
今なら、青いトマトもおいしく食べられる気がする。
あの頃の食卓が、懐かしい。
