⚾️3度の甲子園その栄光の裏話⚾️怪我がくれた青春の味😭夏の熱さ🔥
夏になると、テレビから流れるブラスバンドの音。 白球を追いかける球児たちの姿。
そのたびに、胸の奥で静かに目を覚ます記憶がある。
「もし、あの怪我がなかったら──。」
そう考えた日は、一度や二度じゃない。
だけど今ならわかる。
あの日失ったものだけじゃなく、 あの日だからこそ受け取れたものもあったことを。
3度の甲子園。その栄光の裏話。
小学時代、野球しか見えていなかった。
エースで四番。 そしてキャプテン。
毎日ボールを握ることが幸せだった。
中学では強豪クラブチームから声がかかる。
後に甲子園やプロ野球で活躍する選手たちが集まるチーム。
その中でも一年生から試合に出場し、
「このまま夢へ進んでいく。」
そう信じて疑わなかった。
ところが、ある日。
「あれ…?」
ボールが指先から抜ける。
ストライクが入らない。
痛みはない。
ただ、違和感だけがあった。
念のため病院へ行くと、
医師は迷うことなくギブスを巻いた。
「使い過ぎです。」
その一言で世界が止まった。
試合で投げた翌日も、 学校でドッジボール。
休むという発想すらなかった。
投げることが、とにかく楽しかったから。
病院の帰り道。
心配した母が、
大好きなケンタッキーを買ってくれた。
なのに…。
何を食べても味がしない。
人生で初めて、 好きなものが美味しく
感じなかった日だった。
学校へ行くと、 真っ白なギブスは
友達の落書き帳になった。
みんなの笑顔だけが救いだった。
ご飯は食べにくい。
字も書きづらい。
思うように生活できない。
でも…。
野球だけはやめなかった。
父は左利き用のグローブを買ってくれた。
アニメの影響だったのかもしれない。
でも、あのグローブは宝物だった。
左でキャッチボールをした。
球拾いもした。
ベンチから仲間を見た。
そこで初めて見えた景色があった。
「この選手は、こんな動きをしていたんだ。」
「監督は、こういう視点で見ていたのか。」
プレーしていた頃には気づけなかったことが、 次々と見えてきた。
苦しみの中で、 新しい役割を見つけた。
今、人を見る仕事が好きなのも。
相手の強みを見つけることが得意なのも。
あの時間が育ててくれたのかもしれない。
高校では強豪校へ進学。
怪我の影響で、 思うようなパフォーマンスは戻らなかった。
それでも、 自分にできる役割を全力で果たした。
そして三度、 甲子園に出場することになる。
アルプス席の歓声。
天然芝の感触。
スタンドいっぱいの景色。
まるで大きな舞台に立っているようだった。
暑さなんて覚えていない。
気づけば終わっていた。
永遠に続くと思っていた夏は、 本当に一瞬だった。
あの頃は、 怪我ですべてを失ったと思っていた。
でも違った。
夢は形を変えただけだった。
今でも毎年、 球児たちの涙を見るたびに
胸が熱くなるのは私だけではないはず。
あの熱さは、 夏の暑さじゃない。
人生を本気で駆け抜けた者だけが知る、
青春という名の温度なのかもしれない。
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